路地裏生活をしていた私ですが、実は騎士様の実の娘でした

第二章

合宿

　「団長！俺たちもう歩けませんよ」

　「少し休憩を！」

　「死ぬゔ！」

　「何甘ったれたこと言っている?他の騎士を見てみろ。貴様たちみたいにへこたれてないぞ！」

　皆さんこんにちはアリスです。私たちは今、合宿の宿に向かうために山中を登っているのですが、開始二時間でうちの騎士団たちがもう無理。歩けないと駄々を捏ね始めているのです。

　「まだ二時間しか歩いていないのになんだこのていたらくは！」

　「だって......」

　「だってじゃない！しのごの言わずに歩け‼︎」

　「り、了解⁉︎」

　「全くなんてだらしないやつらだ」

　「お前の騎士たちは怠けてるな」

　「全くです。私がいない間にこうも堕落してたなんて......」

　「まぁ、あのクソよりかはまだ根性ありそうだ」

　「へっ?」
　　
　「あーあー疲れた！もう歩きたくないなぁ！」

　「......」

　団長があんなこと言っていいの⁉︎

　「かれこれ二時間はずっとああだ」

　「......」

　「だが、夏の騎士団たちはあいつを押してでも登ってるぞ」

　「うちも夏の騎士団たちみたいに根性があればいいのですが......」

　「まぁ、この合宿で嫌と言うほどに鍛えられるからいいじゃねぇかよ」

　「はい」

　さらに三時間後

　「や、やっと着いた」

　「五時間歩くなんて聞いてない！」

　「わかってたら馬で行ったのに......」

　グゥー

　「お腹すいた」

　「何をしている。早く飯の支度をするぞ」

　「ええええー！」

　「俺たちでやるっすか⁉︎」

　「ここに管理人とかいないのですか‼︎」

　「そんなものいない。掃除も洗濯も全部自分でやる。それがここでのルールだ」

　「鬼！」

　「悪魔！」

　「獣！」

　「だったらお前ら全員で団長である俺たちを倒すんだな。そうしたら今回は俺たちがお前らの身の回りにやってやるよ」

　「えっ⁉︎」

　聞いてないんですけど⁉︎

　「やるぞ！」

　「うおおおお！」

　「特に冬の騎士団たちがやる気だな」

　「面目ないです」

　数分後

　全滅

　「う、嘘だろ?」

　「全員で襲いかかったのにかすり傷すらない」

　「異次元の強さ」

　「もう力が出ない」
　　
　「......」

　「流石に強くやるすぎたかなぁ?」

　少し申し訳なさを感じるアリス。

　「いや。これでいい。五分も持たずに全滅するなんて情けないやつらだ」

　「あは、あはは、あははは」

　「団長って強さや観察力そして、素早さで決まるからね」

　「あと、準ケルベロスを団長にしたのは間違えだったけどな」

　「うるさい。根暗野郎」

　「喧嘩はメッです！」

　「......」

　アリス。これは完全に幼い子供をあやすときの言葉だよ。

　「お前らとっとと立てよ！」

　「もう動けませんよ！」

　「足が痛い！」

　「死ぬ！」

　「団長介抱してくださいよ‼︎」

　「早く立て。じゃないと今からこの山を百周は確定だな」

　「今すぐに動きます！」

　「ヴィーナ団長すごい」

　「あいつはああ見えて仲間想いだよ」

　「そうなんですか‼︎」

　「ああ、仲間が死んだら必ず手を握りこう言うんだ」

　「あの世で俺を待っていてくれ。その時が来たらいろんな話をしような」

　「......」

　ヴィーナ団長がそんなことを?漫画でもかなり冷血でクールで毒舌の多い人だって描かれてたし、夏の騎士団長とはかなり仲が悪いって描いてあった。

　なにげに失礼。

　「お前らも早く動けよ」

　「了解‼︎」

　「ヴィーナ」

　「なんだよ。ウリエル」

　「私らってさぁ、団長になってから喧嘩が増えたよね?なんでだと思う?」

　「お前が嫌いだからだよ」

　「そう。そうだよね！私もお前が嫌いだ」

　「知ってる」

　「まぁ、いざって時は助け合う仲だよね」

　「死ね」

　「酷くない！」

　「うるせ。早く中に入れよ」

　「ふーん」

　耳が少し赤くなってる。あー。照れているだけか。

　ボソ

　「全く可愛いところもあるじゃん」

　明日からは本格的にスキルアップをするために実戦あるのみ！