引き篭もり姫

上野佐栁

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舞踏会

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 私が倒れた日から一ヶ月結局私はあの部屋から一歩も出られなくなってしまった。

 「このままではいけない。私も変わらなくてはないのです。私はこの国の唯一の姫なのだから......」

 次の舞踏会には必ず出席しなければいけません。このまま引き篭もっていればいいなどと思ってはなりません。フェリーナ!

 そう自分に言い聞かせてさらに数日が経過した。

 「......今日こそはここから出る」

 一歩でもいい。その一歩を踏み出したい。

 「フェリーナ」

 「王子様。私に力を貸してください」

 この部屋から出る勇気の一歩を私にください。

 コツ

 「......」

 夕方

 「はぁー。今日もあの部屋から一歩も出られなかった。私は情けない人です。勇気すら持てないなんて......駄目駄目です」

 「そんなことはないよ。フェリーナ」

 「お父様!」

 「今日も部屋から出ようとして入れたのだろ?」

 「はい。ですが、やっぱり怖くて最後には怖じけついてしまうんです」

 「大丈夫だ。そのうち出られるようになる」

 「......お父様」

 「さぁ。今日は寝なさい」

 「はい」

 陛下の部屋

 「......」

 こないだの言葉ば失言だった。なぜあんなことを言ったのか理解できない。

 「フェリーナがこの部屋から出られなくなった本当の理由を知りながら......」

 あの言葉さえなければフェリーナは何も知らない何もわからない娘だったのかもしれない。

 「フェリーナはユウリと似て頑固で臆病で誰よりも人の心を大事にする子だ。あの日を思い出す」

 その話をまた後程に。

 そして舞踏会当日

 「フェリーナ。本当に平気か?」
 
 ガタガタブルブル
 
 「だ、大丈夫ではないのかもしれません。ですが、ここで怖じけついたら何も変わりません」

 「そうだな」

 まさか。本当にあの部屋から自ら出て来るとは思わなかった。

 「お前は本当の変わろうとしているのだなぁ?」

 「お父様⁇」

 「いやなんでもない」

 「フェリーナ姫様」

 「王子様⁇」

 「僕と一曲踊ってください」
  
 「......はい」

 誰とも踊ろうとしなかった自分を叱りたい。勇気の一歩はもう踏み出したのだから。だからまだ変われる。

 「まあ!フェリーナ姫様がアルムース王国の王子と踊っているわ!」

 「なんてお美しいのかしら⁇」

 「あ、あの。陛下の顔をご覧になりました?」
  
 「え?陛下の顔ですか?」

 「はい。物凄く恐ろしい形相で王様と姫様を睨みつけています」

 「娘が可愛くて仕方ないのですね?」
  
 この日を境に陛下は子離れができない父親と噂された。

 もちろん。そんな噂を流した奴ら全員極刑を喰らったのであった。

 「フェリーナは変わらないな?」

 「......」

 「フェリーナ⁇」

 「貴方は本当に私の知っている思い出の王子様なのですか?」

 ニヤリ

 「それは......」

 
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