引き篭もり姫

上野佐栁

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不安定な心

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 私はアッミンドに抱きつきそのまま泣いてしまった。何時間もの間泣き続け何も話せずにただただひたすらに泣きじゃくることしかできなかった。

 「フェリーナ。少しづつでいいから話してごらん」

 「は、はい......わ、私は......アッミンドが私以外の他の誰でもない人と結ばれるのが怖ったんです」

 「うん......」

 「怖くして......そんな時にダウナー伯爵令嬢が私はアッミンドにふさわしくないって言ったんです」

 「うん」

 「な、何も言い返せずにただ俯くことしかできなくて......グスン。情けなくて......アッミンドの隣に居られる自信がなくなってしまったんです」

 「そう......だったんだ。全然気付かなかった。ごめんね。僕がもっと気にかけていれば......」

 「アッミンドは何も悪くありません。シクシク。私がいけなかったんです。グスン。弱くて......いつも不安定だから......だから閉じ籠ることしかできなくて......」

 「君の気持ちはわかったよ。僕も気付かなかったけど......そんなになるまで自分を追い詰める必要はなかったと思うよ?」

 「わかっているんです。わかっていながらあの部屋に引き篭もったんです」

 「......」

 「ごめんなさい。怖いからといつまでも逃げ続けるのはいけません。立ち向かわなければいけなかった。その勇気を持つのができなかった。この国の姫失格です」

 「そんことない!僕は君だからこそ国民に愛されているんだと思う!」

 「そんなはずありません。私はこの歳になるまで社交界デビューをしていません。だから私の存在などとうの昔に忘れ去られたんです」
 
 「......フェリーナ」

 「まだ怖いです。この手を離したらアッミンドが何処か遠くへ行ってしまうのではないのかと不安で仕方ありません」

 「それにしても驚いたな?」

 「何がですか?」

 「フェリーナがあんなに大きな声で大泣きするなんて......」

 「あ、あれは......アッミンドを見たら安心して気が抜けただけです」

 「そう?ならよかった。僕以外の男に縋る君を見たくないからね」

 ドキッ

 「......ずるいです」

 「え?」

 「そんな寂しそうな顔とそのセリフはずる過ぎます」

 「あははは‼︎」

 「何がおかしいのですか⁉︎」

 「再開した時の君はどこか人間味が無かったんだ。でも今の君はとても人間らしい」

 「ぐっ......」

 「君を愛しているからこそフェリーナには笑っていてほしい。まだ君は僕に笑いかけてくれてないよね⁇」

 「ゔっ‼︎」

 私は今できる精一杯の笑顔でアッミンドに笑いかけれた。

 「こ、こうですか?」

 フニャ

 「ぶっ!」

 「なっ⁉︎」

 「クスクス。ご、ごめん。あまりにも可愛くてつい......クスクス」

 「アッミンド‼︎」

 「フェリーナ⁇」

 「うふふ。あははは‼︎アッミンドの笑いに釣られてしまいました」

 「フェリーナ‼︎」

 「私以外の女の人を絶対に見ないでください。私も貴方以外の人とは踊ったりしません」

 「フェリーナ......」

 「愛しています」

 「僕もだよ」

 私達は顔を近づけてそして......。

 コンコン

 「はっ⁉︎」

 「フェリーナ。私だ。ここを開けてくれないか?」

 「お、お父様⁉︎」

 あと少しでアッミンドとキスできたのに......とても残念です。

 「フェリーナ」

 「はい⁇」

 チュッ
 
 「......」

 「今はほっぺたで我慢してね?」

 「な、なな、ななな......なあああああ⁉︎」

 あまりにも恥ずかしさに変な声を出してしまったフェリーナなのであった。
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