8 / 29
夢の過去
しおりを挟む
「私たちは昔にテンペストに襲われました」
「……」
夢さんは今にも泣き出しそうな顔でゆっくりと過去に起きたことを話してくれました。
「夢香は本当に私よりも実力があり階級もすぐに上位に行くと思っていたんです」
夢香さん。さっきいたあの人の名前。
「だけど、上級クラスのテンペストと戦って戦死しました」
夢さんから自分を責めている。自分を許せないっていう感情が伝わってくる。
「私は二回も夢香に命を救われています」
「……」
私も砥部さんも何も言わずにただ黙って夢さんの話を聞くしかできない。
「一度目は両親が殺された日のことです。テンペストはいきなり我が家にやって来て、両親を殺し周囲の人たちも殺して周りました」
夢さんの顔が怒りで満ちている。
「私と夢香は村の外れてある牢屋だった場所に身を潜めてことなきを得ました。あの時、夢香がここに隠れようって言わなければ私は……私たちは今頃死んでいました」
誰かが死ぬのは悲しい。私には記憶がないけど、記憶の中にあるあの人が泣いている理由を知りたい。そして誰なのかも知りたい。
「両親が亡くなって一年後に私と夢香はテンペスト学園に入学しました。私は科学。夢香は医学のクラスにそれぞれ入り、夢香は怪我人の手当てをメインに技を極めていました」
「……」
姫乃が自分の過去を明かすとは思わなかった。俺がここに来た時は姫乃姉妹とはほとんど接点がなかった。
だが、一度だけ大怪我をした時に姫乃姉妹に助けられた。
あの時俺を看病してくれたのは姫乃姉ではなく姫乃妹だったのか?今になってはわからない。
「夢香は運動神経が良く、私はいつも置いてかれてばかり。だけど、私も運動は人より少しできた方なのでそこまで困りませんでした」
「……夢さん」
もう見てられない。夢さんが壊れそうになってる。ずっと自分を責めている。
「二度目は私が上級クラスのテンペストと最初に対面した時ですよ。あの時私は手も足も出なかった。ただやられるだけで何もできずに死ぬのだと思いました」
「姫乃。それ以上は……」
「でも私を庇って助けてくれた夢香を死なせてしまった。何もできずに。何もなし得ないまま夢香を死なせてしまった。結局あのテンペストに逃げられましたよ」
目から大粒の涙からこぼれ落ちる。夢さんは無理やり笑っているが、涙は止まっていない。
「夢さん!!!!!!!」
私は耐えきれずに夢さんを抱きしめた。
「大丈夫。大丈夫ですよ」
その言葉には何の意味もない。ただの慰めの言葉にすぎない。
「うぅ。ヒクッ!わ、私は強く、なろうと頑張りました。グスン。誰よりも強くなりたくて……努力して。医学も勉強、して。夢香の想いを、継ぎたかった」
夢さんの体が震えている。わかる。何もできなかったから何も動けなかったから誰かを悲しませてしまったからだから自分を責めるしかなくて怖くて痛くて苦しい。
「夢さん。私はテンペストだけど、人間を守るテンペストになります」
私の言葉を聞いて少し落ち着いたのか夢さんは私をぎゅっと抱きしめ返しこう言った。
「テンペストは嫌いだけど、風華さんは好きです。あなたの心は優しい。だからあなたは他のテンペストとは違います」
「姫乃。お前は(誰よりも痛みを知っている。だから)強いやつだ」
「クスクス。ありがとうございます」
夢さんの過去を聞いたすぐに後にアディさんたちがやってきた。
「な、なにこれ⁉︎」
「おいおい。雨晴。お前……怪我増えたないか?」
私は心配しているのか二人は私たちの方へと駆け寄って来た。
「すみません。私が油断したのがいけないんです。責めるのなら私だけにしてください」
夢さんはそう言った。
「そんなことありませんよ!誰だって身内が……」
これ以上は言えなかった。言ってはいけない気がした。
「テンペストはこの学園を襲撃する」
砥部さんがいきなりそう言った。
「はあ?」
びっくりしすぎてその場に固まった松本さん。
「今日入ってきたテンペストがそう言ったのか⁇」
アディさんは冷静にそう言った。
砥部さんは頷き治療室の荒れに荒れた惨状を特別部隊の人たちが片付けていく。
「雨晴。お前、手足を切断されたのか?」
アディさんは私の目を見てそう質問した。
「はい。あのテンペストはきっと、上級クラスのテンペストです」
核が見てなかった。それに動きも早くて対処でなかった。
「俺も見たが(気配や殺気が)凄まじかった」
「と、砥部さん」
少し呆れた表情になった夢さんだが、とりあえず。みんな疲れているだろうからとアディさんが言い、明日緊急会議を開かれることになった。
つまり明日は上級の一のみなさんと顔を合わせることになる。私が今知っているのは四人だけ。後の九人はどんな人なのか少し怖いけど楽しみでもある。
「雨晴 風華。あの娘。芯が強い」
悔しい。
「私は呪いに負けたのに、なんであんたは呪いに負けないの?私だって……夢を守りたいのに!」
「……」
夢さんは今にも泣き出しそうな顔でゆっくりと過去に起きたことを話してくれました。
「夢香は本当に私よりも実力があり階級もすぐに上位に行くと思っていたんです」
夢香さん。さっきいたあの人の名前。
「だけど、上級クラスのテンペストと戦って戦死しました」
夢さんから自分を責めている。自分を許せないっていう感情が伝わってくる。
「私は二回も夢香に命を救われています」
「……」
私も砥部さんも何も言わずにただ黙って夢さんの話を聞くしかできない。
「一度目は両親が殺された日のことです。テンペストはいきなり我が家にやって来て、両親を殺し周囲の人たちも殺して周りました」
夢さんの顔が怒りで満ちている。
「私と夢香は村の外れてある牢屋だった場所に身を潜めてことなきを得ました。あの時、夢香がここに隠れようって言わなければ私は……私たちは今頃死んでいました」
誰かが死ぬのは悲しい。私には記憶がないけど、記憶の中にあるあの人が泣いている理由を知りたい。そして誰なのかも知りたい。
「両親が亡くなって一年後に私と夢香はテンペスト学園に入学しました。私は科学。夢香は医学のクラスにそれぞれ入り、夢香は怪我人の手当てをメインに技を極めていました」
「……」
姫乃が自分の過去を明かすとは思わなかった。俺がここに来た時は姫乃姉妹とはほとんど接点がなかった。
だが、一度だけ大怪我をした時に姫乃姉妹に助けられた。
あの時俺を看病してくれたのは姫乃姉ではなく姫乃妹だったのか?今になってはわからない。
「夢香は運動神経が良く、私はいつも置いてかれてばかり。だけど、私も運動は人より少しできた方なのでそこまで困りませんでした」
「……夢さん」
もう見てられない。夢さんが壊れそうになってる。ずっと自分を責めている。
「二度目は私が上級クラスのテンペストと最初に対面した時ですよ。あの時私は手も足も出なかった。ただやられるだけで何もできずに死ぬのだと思いました」
「姫乃。それ以上は……」
「でも私を庇って助けてくれた夢香を死なせてしまった。何もできずに。何もなし得ないまま夢香を死なせてしまった。結局あのテンペストに逃げられましたよ」
目から大粒の涙からこぼれ落ちる。夢さんは無理やり笑っているが、涙は止まっていない。
「夢さん!!!!!!!」
私は耐えきれずに夢さんを抱きしめた。
「大丈夫。大丈夫ですよ」
その言葉には何の意味もない。ただの慰めの言葉にすぎない。
「うぅ。ヒクッ!わ、私は強く、なろうと頑張りました。グスン。誰よりも強くなりたくて……努力して。医学も勉強、して。夢香の想いを、継ぎたかった」
夢さんの体が震えている。わかる。何もできなかったから何も動けなかったから誰かを悲しませてしまったからだから自分を責めるしかなくて怖くて痛くて苦しい。
「夢さん。私はテンペストだけど、人間を守るテンペストになります」
私の言葉を聞いて少し落ち着いたのか夢さんは私をぎゅっと抱きしめ返しこう言った。
「テンペストは嫌いだけど、風華さんは好きです。あなたの心は優しい。だからあなたは他のテンペストとは違います」
「姫乃。お前は(誰よりも痛みを知っている。だから)強いやつだ」
「クスクス。ありがとうございます」
夢さんの過去を聞いたすぐに後にアディさんたちがやってきた。
「な、なにこれ⁉︎」
「おいおい。雨晴。お前……怪我増えたないか?」
私は心配しているのか二人は私たちの方へと駆け寄って来た。
「すみません。私が油断したのがいけないんです。責めるのなら私だけにしてください」
夢さんはそう言った。
「そんなことありませんよ!誰だって身内が……」
これ以上は言えなかった。言ってはいけない気がした。
「テンペストはこの学園を襲撃する」
砥部さんがいきなりそう言った。
「はあ?」
びっくりしすぎてその場に固まった松本さん。
「今日入ってきたテンペストがそう言ったのか⁇」
アディさんは冷静にそう言った。
砥部さんは頷き治療室の荒れに荒れた惨状を特別部隊の人たちが片付けていく。
「雨晴。お前、手足を切断されたのか?」
アディさんは私の目を見てそう質問した。
「はい。あのテンペストはきっと、上級クラスのテンペストです」
核が見てなかった。それに動きも早くて対処でなかった。
「俺も見たが(気配や殺気が)凄まじかった」
「と、砥部さん」
少し呆れた表情になった夢さんだが、とりあえず。みんな疲れているだろうからとアディさんが言い、明日緊急会議を開かれることになった。
つまり明日は上級の一のみなさんと顔を合わせることになる。私が今知っているのは四人だけ。後の九人はどんな人なのか少し怖いけど楽しみでもある。
「雨晴 風華。あの娘。芯が強い」
悔しい。
「私は呪いに負けたのに、なんであんたは呪いに負けないの?私だって……夢を守りたいのに!」
0
あなたにおすすめの小説
「美少女157人も召喚できるだと!?」社畜の俺、尖ったトラウマを全部『まあるく』収めて大賢者になる。── やっぱりせかいはまあるいほうがいい
あとりえむ
ファンタジー
『ヒロイン全員 挿絵付き』の異世界セラピーファンタジー。あなたの推しのヒロインは誰ですか?
「やはり、世界は丸いほうがいい……」
過労死した元データアナリスト参 一肆(まいる かずし)が女神様から授かったのは、アホみたいな数式から導き出された究極のハーレム召喚だった。
157人のヒロインたちに埋もれて、尖った世界を『まあるく』浄化しくしていく……
Dカップの村娘からIカップの竜の姫君まで、あらゆる属性のヒロイン達と一緒に、襲い来る「社畜のトラウマ」に立ち向かう。
全人類の半分の夢が詰め込まれた、極上のスキンシップの冒険譚が今開幕する!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と側室母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
不定期投稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる