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第2章
第22話
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主役未満モブキャラ以上こと、親友ポジであるオレ千尋司と、その他4人はこともあろうか観覧車の目の前まで来ていた。
「いやー来ちゃいましたね!楽しみですねタイヨウ先輩」
「まあこういうのは勢いが大事だしな」
「なにか私の個人的な事に、皆を付き合わせてしまったようで悪い気がするわね」
「え~全然そんなこと無いよ」
観覧車―――。
それはラブコメに置いて忘れ去られたシチュエーションなのかもしれない。
そしてなぜ忘れ去られるかというと一言で言えば、観覧車というシチュエーションにラブコメ的なうま味が今日この頃の世の中では、あまり無いということに尽きるのだろう。
先刻の雨宮鈴花のごとくヒロインがオバケを怖がるというところには一定の根強い【萌え】があるのだが、なぜか高いところを怖がるというところには【萌え】は存在しないのだ。
オバケという本当に存在するかどうかわからない未確認なものへ恐怖するヒロインを『おいおい、そんな非科学的なもんに…』というある種の優越感を満たすような好意的な反応が出来ても、高所から落ちたら確実に危険であるという重力的なものへは『論理的に恐怖を覚えるのは正しい』という現実的な反応をするばかりである…。
『オバケこわーい』を、『きゃわええ~』と思っても
『高所こわーい』には真顔で『え、大丈夫っすか?』なのである。
つまり、その2つには天と地もの差があるのだ。
と言っても、本来、高い所のほうが【天】っぽくて、逆に天にめされず地上に居座り続けるオバケのほうが【地】っぽいのでややこしいのだが…。
と、まぁ色々言わせていただいたがオレにとっての問題はそれらでは無く、たった1つ。
たった1つの理由なのだ。
それは観覧車が4人乗りであるということだ…。
もうおわかり頂けただろうか?
では問題です。
男の子が2人と女の子が3人というグループが観覧車に乗ろうとしています。
観覧車は1台につき最大で4人までしか乗れません。
この時、何通りの乗り方があるか答えなさい。
ここまでならば普通の数学の問題だ。
なかなか複雑な問題だが、時間をかければたいがい誰でも解けうるだろう。
しかし、現実ってやつは数学よりもよっぽど複雑なのだ…。
こんな文が加わる。
ただし男の子の1人は主人公で、もう1人はその親友。
女の子は全員ハーレムラブコメのヒロインとする。
こうなった時の観覧車の乗り方は、1通りなのだ。
その答えを出すのに、足し算、引き算、その他一切の計算を用いる必要は無いのだ。
あえて言うのであれば、親友ポジの男の子が【欠ける】のである…。
オレという親友ポジの男の子を、さしずめ虚数に見立て、存在しないものとして扱うかのごとく、主人公1人とヒロインの3人で4人。
この乗り方で乗車するのがアンサー。
揺るがざる答えであり、あらがえざる現実なのだ。
「でもこの観覧車4人乗りだから。どう乗ろうかしら…」
「じゃあ乗りかたはグッパーで決めようよ」
――それは例えグッパーのような運の要素に身をまかせようが……いや、むしろ運などという不確実なものに身をまかした時ほど確実になのだ…!!
オレは知っている。
一見、平凡な男子高校生に見えるこの夏目太陽という男がハーレムラブコメの主人公の星の元に生まれた男であり、そう言われる由縁である超人的な主人公力を…。
「「「グッっとパー!」」」
そんなことを知らずにタイヨウたちは元気よくグッパーのかけ声をかける。
……ちなみに声を出してないのは、意気消沈のオレと、雨宮だ。
雨宮に関しては、他のやつらが声を出すから自分が出す必要はないだろうとでもいった感じだろうか。
声は出さずも、5人とも、ちゃんとグーなりパーを出している。
……さて、確認してみますか。
「ん?グーはオレと…泉と、雨宮と…日南で、ツカサだけパーか」
「1人だとさすがにアレだしもっかいだね~」
「そうね。もう一度ね」
「…なるほど。そうですね…」
再びグッパー。
今度は一応、さっきのパーから変えて、グーを出してみる。
「よし、パーだしたの誰だ?オレと……泉、雨宮、それに日南か。またツカサだけ1人かよ!」
「2回連続って、すごい偶然だね~。よしもっかいもっかい。せーの、グッとパー!」
今度はオレはあえてさっきと同じパー。
そしてグーはタイヨウと雨宮と野々村と日南の4人だった。
「えー!またちひろんだけだ。スゴイ偶然!」
「確かに3回連続はかなりの確率ね…」
「ミラクルな偶然が重なるな?なんだツカサお前グッパー苦手か?」
「いやグッパーに苦手とかいう概念ねーから」
「……ですね…アハハ…」
いや、気づけよ。
昨日今日知り合った雨宮はともかく。
タイヨウ本人と野々村が偶然、偶然て…。
どうやら日南はすでに気づいたようだ。
悲しいが、凄いのはオレじゃ無くてタイヨウなのだ…!
彼のハーレムラブコメ主人公力にかかればこの程度の出来事は朝飯前。
この偶然は、偶然であり必然なのだ。
しかし、このハーレムラブコメ主人公のご都合主義的なパワーに、オレは今回それほど抗おうという気になっていない。
なぜなら、この乗り方は、主人公を目指すオレにとってそこまで悪い乗り方じゃないのだ。
オレが主人公から遠ざかる最悪のパターンは、タイヨウと雨宮でワンセット。オレ、野々村、日南でワンセットという組み合わせなってしまうパターンなのだ。
そうなると最悪で、転校生ヒロインは主人公と着々とラブコメのストーリーを進めてしまう。
ついでに、タイヨウと乗ることしか考えていないであろう日南には観覧車に乗ってる間中ずっと『なんとかなんなかったんすか?コレ…』と使えないやつ扱いで見られること間違いなし。
雨宮鈴花のヒロイン力と夏目太陽の主人公力を持ってすれば、そんな組み合わせにもなってしまうかと危惧していたぐらいだが。
どうやらタイヨウのハーレムラブコメの主人公力のほうが強すぎたのか、個人ルートよりもハーレムルートのほうを引き当てたようだ。
それならば下手に抵抗せず、逆にその強すぎる主人公力を利用してタイヨウとヒロインをみんな乗せてしまったほうがいい。
そうすれば全ヒロインが各々ヒロインをはからずとも牽制する形になり、ヒロインレースにも大した動きも無く観覧車イベントを終了させることができる。
題するなら、『乗れぬなら、みんな乗せちゃえホトトギス』作戦だ。
ならばオレにできることは自ら進んで1人になることだ…。
「よし、グッパーだし、3回連続ならば仕方ない。神様が言ってるんだろう。オレは1人で乗る!」
「いや、普通にもう1回やれば、さすがにちゃんとわかれるだろ」
オレの提案をタイヨウがすかさず否定にはいる。
わかれねーの!!
お前、自分の主人公力をナメんなよ!!?
「…よし、じゃあポイ」
なぜか、アホの子大食いヒロイン野々村が1人でパーを出した。
いや、グッとパーって言ってから出すのよ?
ルールまで食べちゃったのかキミは…?
てか、もう何回やっても同じなんで…。
「わたし、やっぱりさっきのパーにしたからちひろんとチームね」
あ゛…?
「いやー来ちゃいましたね!楽しみですねタイヨウ先輩」
「まあこういうのは勢いが大事だしな」
「なにか私の個人的な事に、皆を付き合わせてしまったようで悪い気がするわね」
「え~全然そんなこと無いよ」
観覧車―――。
それはラブコメに置いて忘れ去られたシチュエーションなのかもしれない。
そしてなぜ忘れ去られるかというと一言で言えば、観覧車というシチュエーションにラブコメ的なうま味が今日この頃の世の中では、あまり無いということに尽きるのだろう。
先刻の雨宮鈴花のごとくヒロインがオバケを怖がるというところには一定の根強い【萌え】があるのだが、なぜか高いところを怖がるというところには【萌え】は存在しないのだ。
オバケという本当に存在するかどうかわからない未確認なものへ恐怖するヒロインを『おいおい、そんな非科学的なもんに…』というある種の優越感を満たすような好意的な反応が出来ても、高所から落ちたら確実に危険であるという重力的なものへは『論理的に恐怖を覚えるのは正しい』という現実的な反応をするばかりである…。
『オバケこわーい』を、『きゃわええ~』と思っても
『高所こわーい』には真顔で『え、大丈夫っすか?』なのである。
つまり、その2つには天と地もの差があるのだ。
と言っても、本来、高い所のほうが【天】っぽくて、逆に天にめされず地上に居座り続けるオバケのほうが【地】っぽいのでややこしいのだが…。
と、まぁ色々言わせていただいたがオレにとっての問題はそれらでは無く、たった1つ。
たった1つの理由なのだ。
それは観覧車が4人乗りであるということだ…。
もうおわかり頂けただろうか?
では問題です。
男の子が2人と女の子が3人というグループが観覧車に乗ろうとしています。
観覧車は1台につき最大で4人までしか乗れません。
この時、何通りの乗り方があるか答えなさい。
ここまでならば普通の数学の問題だ。
なかなか複雑な問題だが、時間をかければたいがい誰でも解けうるだろう。
しかし、現実ってやつは数学よりもよっぽど複雑なのだ…。
こんな文が加わる。
ただし男の子の1人は主人公で、もう1人はその親友。
女の子は全員ハーレムラブコメのヒロインとする。
こうなった時の観覧車の乗り方は、1通りなのだ。
その答えを出すのに、足し算、引き算、その他一切の計算を用いる必要は無いのだ。
あえて言うのであれば、親友ポジの男の子が【欠ける】のである…。
オレという親友ポジの男の子を、さしずめ虚数に見立て、存在しないものとして扱うかのごとく、主人公1人とヒロインの3人で4人。
この乗り方で乗車するのがアンサー。
揺るがざる答えであり、あらがえざる現実なのだ。
「でもこの観覧車4人乗りだから。どう乗ろうかしら…」
「じゃあ乗りかたはグッパーで決めようよ」
――それは例えグッパーのような運の要素に身をまかせようが……いや、むしろ運などという不確実なものに身をまかした時ほど確実になのだ…!!
オレは知っている。
一見、平凡な男子高校生に見えるこの夏目太陽という男がハーレムラブコメの主人公の星の元に生まれた男であり、そう言われる由縁である超人的な主人公力を…。
「「「グッっとパー!」」」
そんなことを知らずにタイヨウたちは元気よくグッパーのかけ声をかける。
……ちなみに声を出してないのは、意気消沈のオレと、雨宮だ。
雨宮に関しては、他のやつらが声を出すから自分が出す必要はないだろうとでもいった感じだろうか。
声は出さずも、5人とも、ちゃんとグーなりパーを出している。
……さて、確認してみますか。
「ん?グーはオレと…泉と、雨宮と…日南で、ツカサだけパーか」
「1人だとさすがにアレだしもっかいだね~」
「そうね。もう一度ね」
「…なるほど。そうですね…」
再びグッパー。
今度は一応、さっきのパーから変えて、グーを出してみる。
「よし、パーだしたの誰だ?オレと……泉、雨宮、それに日南か。またツカサだけ1人かよ!」
「2回連続って、すごい偶然だね~。よしもっかいもっかい。せーの、グッとパー!」
今度はオレはあえてさっきと同じパー。
そしてグーはタイヨウと雨宮と野々村と日南の4人だった。
「えー!またちひろんだけだ。スゴイ偶然!」
「確かに3回連続はかなりの確率ね…」
「ミラクルな偶然が重なるな?なんだツカサお前グッパー苦手か?」
「いやグッパーに苦手とかいう概念ねーから」
「……ですね…アハハ…」
いや、気づけよ。
昨日今日知り合った雨宮はともかく。
タイヨウ本人と野々村が偶然、偶然て…。
どうやら日南はすでに気づいたようだ。
悲しいが、凄いのはオレじゃ無くてタイヨウなのだ…!
彼のハーレムラブコメ主人公力にかかればこの程度の出来事は朝飯前。
この偶然は、偶然であり必然なのだ。
しかし、このハーレムラブコメ主人公のご都合主義的なパワーに、オレは今回それほど抗おうという気になっていない。
なぜなら、この乗り方は、主人公を目指すオレにとってそこまで悪い乗り方じゃないのだ。
オレが主人公から遠ざかる最悪のパターンは、タイヨウと雨宮でワンセット。オレ、野々村、日南でワンセットという組み合わせなってしまうパターンなのだ。
そうなると最悪で、転校生ヒロインは主人公と着々とラブコメのストーリーを進めてしまう。
ついでに、タイヨウと乗ることしか考えていないであろう日南には観覧車に乗ってる間中ずっと『なんとかなんなかったんすか?コレ…』と使えないやつ扱いで見られること間違いなし。
雨宮鈴花のヒロイン力と夏目太陽の主人公力を持ってすれば、そんな組み合わせにもなってしまうかと危惧していたぐらいだが。
どうやらタイヨウのハーレムラブコメの主人公力のほうが強すぎたのか、個人ルートよりもハーレムルートのほうを引き当てたようだ。
それならば下手に抵抗せず、逆にその強すぎる主人公力を利用してタイヨウとヒロインをみんな乗せてしまったほうがいい。
そうすれば全ヒロインが各々ヒロインをはからずとも牽制する形になり、ヒロインレースにも大した動きも無く観覧車イベントを終了させることができる。
題するなら、『乗れぬなら、みんな乗せちゃえホトトギス』作戦だ。
ならばオレにできることは自ら進んで1人になることだ…。
「よし、グッパーだし、3回連続ならば仕方ない。神様が言ってるんだろう。オレは1人で乗る!」
「いや、普通にもう1回やれば、さすがにちゃんとわかれるだろ」
オレの提案をタイヨウがすかさず否定にはいる。
わかれねーの!!
お前、自分の主人公力をナメんなよ!!?
「…よし、じゃあポイ」
なぜか、アホの子大食いヒロイン野々村が1人でパーを出した。
いや、グッとパーって言ってから出すのよ?
ルールまで食べちゃったのかキミは…?
てか、もう何回やっても同じなんで…。
「わたし、やっぱりさっきのパーにしたからちひろんとチームね」
あ゛…?
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