元勇者パーティの料理人〜追放されたけど料理スキルがカンストしている俺は王都1を目指して料理店始めます〜

月乃始

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Cランクになろう

3-1 初クエストを終えて

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 昼過ぎに王都に着いて早々に、セレスは俺に深々とお辞儀をした。


「ロイズさま、お料理もクエストも、本当にありがとうございましたわ」

「えぇ? 何言ってるんだ。セレスのおかげで今こうして生きていられるんだから俺の方こそありがとうだろ」


 そういうと、セレスは少し照れたように顔を背ける。


「わ、私は何もしていません。その、またぜひどこかでお会いできたら嬉しいですわ」

「先にギルドまで行かないのか?」

「ええ、し……家に1度帰らないといけないので」

「そうか……寂しいけど、また会えるといいな」

「さ、寂しい? ……もう! ロイズさまってば破廉恥ですわ!」

「何が???」


 怒ったり笑ったり本当に表情がコロコロ変わるな。
 初のクエストだったみたいだし、そりゃあ年頃の娘が帰ってこないとご両親も心配するよな。


「……ではロイズさま、ごきげんよう」

「あぁ、セレスもどうか元気で」


 セレスを無事に見送り、俺はギルドへと向かう。

 ギルドに着くとドラカがいつも通りカウンターに座っているのが目に付いた。


「おやぁ? おかえりじゃないかぁ。随分時間がかかったねぇ。けけ」


 ドラカは俺を見るなり楽しそうに笑い、さらに酒を煽る。


「俺を肴にするな。ルシアさん、これクエストの薬草です」

「おかえりなさい! ……はい、確かにお預かりいたします! こちらが報酬です」


 この笑顔で疲れも少しは吹っ飛ぶ。
 そうだ、オオカミの件を話さないと。


「そういえばアルテナの森でオオカミが出たんですけど、そんな報告って入ってましたか?」

「ええ!? だ、大丈夫でしたか!? お怪我などは……」


 奥で薬草を確認していたルシアさんが大慌てで戻ってくる。


「あ、いや2匹討伐したので特に怪我とかはないんですけど、もしなんの報告も入ってなかったら危ないなと……」

「に、2匹も討伐できたんですか!?」

「偶然他の冒険者と出会って協力して……」

「そうだったんですね……今のところオオカミの情報は来ていませんでした。危険なクエストに行かせてしまい申し訳ありません」


 ルシアさんは深々と頭を下げた。
 すると隣で酒を飲んでいたドラカががたっと立ち上がる。


「ルシアちゃぁん、それ討伐してきたらさぁ、ここの酒代チャラにしてくれたりするかい?」

「ドラカさん……チャラにするには額が大きすぎますので、3分の1ならいいですよ」


 どんだけ飲んでるんだこの女……。


「けけ、それでも有難い話さねぇ。そんじゃちょっくら行ってくるからさぁ、あんた次のクエストどんどん受けときなあ」

「あ、ああ。大丈夫なのか?」

「心配かい? けけけ、あたしを誰だと思ってんのさぁ。気持ちだけ肴に貰ってくよぉ」


 そう言ってご機嫌な足取りでギルドを出ていったドラカだが、まぁオオカミだしSランク冒険者ならすぐに帰ってくるだろう。
 俺は俺でさっさとクエストを進めよう。


「えーと次のクエストは……」


 今日中に終わらせたいし、王都内で何かあればいいんだが……。


「お、これにしよう」


 俺が選んだのは配達と、ついでに鍛冶屋での鉱石磨きだ。
 報酬は1400ルピと2000ルピ。悪くない。


「お願いします」

「はい、確かに承りました! こちらが配達の品物です。お気をつけて。行ってらっしゃい!」


 ルシアさんの笑顔に見送られ、俺はギルドを出た。
 1度宿に戻って荷物だけ置いて行きたかったが、時間が無駄になってしまうためそのまま配達物を配りに行く。

 記憶とは違う王都に慣れようと思う気持ちもあり受けたはいいものの、やはり道を間違えたりすることが多々あった。
 なんとか順調に配って行き、ようやくあとひとつ。
 最後はとある料理店だった。


「すいませーん、配達でーす」


 呼びかけても返事がない。


「すいません、冒険者ギルドの配達クエストなんですけどー」


 おかしいな。ここの住所で合っているはずなんだが……。


「お兄さん、店主は今ジュシュティーツィに行ってるよ」


 隣の店の人がそう話しかけてきた。


「ジュシュティーツィ?」

「おや、新米かな。王都で1番でかい料理店だよ。多分食材の使用許可を取りに行ってるんじゃないかな」

「てことは料理人のところに?」

「そうだ。あんた料理人さまを呼び捨てなんてやめときな。見つかったら捕まっちまうよ」


 小声で教えてくれたことに感謝する。
 いつから料理人という立場はそんなに偉くなったのだろう。とモヤモヤする。


「店主もまた却下されると思うけどな。可哀想に。店がもうギリギリってぼやいてたよ」


 却下されることもあるのか。
 それでもこんな昼間に料理店が営業できなきゃ稼げないだろうに、なんの食材を使いたいのだろうか。

 それにしてもこの街の料理店は料理人の配下みたいだな。
 いや、王都の人間全てが料理人に頭が上がっていないようだ。


「荷物ならそこの郵便受けに入れといたら後で受け取ると思うよ」

「そうなのか。ありがとう店主」


 俺は気のいい店主に礼を言い、その場を後にする。
 配達は終わったが、時間にまだ余裕があるので鉱石磨きに行こう。
 今日中に報告まで終わらせたい。


「ここか」


 店頭にいた人間に話しかけ、鉱石が大量に保管されている奥の部屋に通された。

 そのまた奥の部屋から鉄の熱気がまとわりついてくるような熱い音がする。


「見本はこちらです。10個磨いたら終わりなのでまた声をかけてください」

「分かりました」


 俺は早速取り掛かる。

 2時間ほど経っただろうか。

 このくらい磨けば十分かな。
 昔ボイドが磨いていた鉱石のような輝きを放つ10個の石ができた。

 様子を見にやってきた店頭の人は目を丸くして「十分すぎます。ありがとうございます!」と感激していた。

 鍛冶屋を後にし、俺はギルドに戻る。


「おかえりなさい! 報酬はこちらになります」


 ルシアさんから報酬を貰う。

 あれ? キョロキョロと見回す。


「まだドラカは戻ってきていないんですか?」

「そうですね、まだ1度も帰ってきていません」


 あれから数時間経っているが、まあ探すのに時間がかかっていたり数が多かったら時間もかかるか。

 1度宿に戻り、明日また次のクエストから始めよう。
 Dランク昇給まであと少しだ。

 そういえば村長からもらった報酬をまだ見ていないな。

 そう思い宿に戻って包みを開けると、そこには2万ルピ入っていた。
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