上 下
13 / 61

姫と言うソンザイ1

しおりを挟む
私には荒れていた時期があった。

私は毎日外に出ては喧嘩ばかりしていた。

自分が何者かも解らなくて、

自分の存在意義が解らなくて、

どうすればいいか迷っていた。

いつも通り路地に行って悪いことしてる奴を殴っていた。

「あんたたち何やってんの。」

「あ゛あ゛?なんだこのクソガキ。」

「だから何してんだって聞いてんだよ。」

こいつらは言葉遣いは普通だけど目は虚ろだ。

(どうせクスリでもやってんだろうな)

「あーあ。お前のせいで逃げちゃったじゃねーか。どうしてくれんだよ。」

いつの間にか捕まっていた女性は逃げ出していた。

「知らねぇよそんなの。」

「お前らこいつを捕まえろ!」

男どもは私を捕まえようとしていた。

私は周りを囲まれて逃げ出せなかった。

そんな時に声が聞こえた。

「なーにやってんの?」

優しくて、でも少し威圧するような声。

「あ゛?ひっ・・・」

「寄ってたかって女の子をイジメて恥ずかしくないの?」

(お・・・んな?俺の・・・ことか?)

「「「ひぃっ・・・すみませんすみませんっ」」」

「謝るのは僕じゃなくてこの子にね?」

(かばってくれたのか?)

「「「すみませんでしたー!!」」」

男どもはそういって逃げて行った。

「大丈夫?」

彼は私に優しく話しかけた。

「あぁ。もとは俺から仕掛けたしな。」

「それで逃げられなかったら元も子もないけどね?」

「べつに・・・俺が生きてる意味なんてないし逃げれなくてもどうでもいい。」

「そんなこと言っちゃ駄目だよ。人は誰しもが生きる意味を持っているんだから。」

そんな感じのこと言われたのは二回目だった。

「それにさ・・・君は可愛いんだから人生棒に振っちゃもったいないよ?」

可愛いとか言う人なんて響介ぐらいしかいなかった。

けれど彼はいとも簡単に言ってのけた。

「てかあんた誰。」

「僕?僕は鍵谷 双(かぎたに そう)。君は?」

私は彼のことを信じ切れていなかった。

「篠葉。」

「篠葉ちゃんね。」

彼はそのことを分かっているのか名字を聞くことなんてしなかった。

「僕の家来ない?」

彼は突然そんなことを言い出した。

「行ってやらないこともない。」

今思えばなぜ初対面の奴の家に行こうと思ったのかが分からない。

「ふふ。じゃあ行こっか。」

家には彼のバイクで行った。

初めて乗るバイクは楽しくて、また乗りたいと思った。

「着いたよ。」

私はまだ乗っていたかったが降りることにした。

「何飲む?オレンジと炭酸とイ「イチゴ」早いね。はいどうぞ。」

「ん。」

私は彼の家で何もせずじっとしていた。

「ふぁー眠くない?」

彼が話しかけてくれるまで何もしないでいた。

「ねむい・・・」

「じゃあ寝よっか。おいで。」

帰らないといけなかったはずなのに帰りたくなかった。

彼ともっといたいと思った。

「一緒に寝よ?」

誰かと寝る夜は心地よくて私はすぐ眠りに着いた。



ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

篠葉の話ですが、現在の話ではなくて昔の話にしてみました。

いつもは「ハナシ」なんですが、今回のは「ソンザイ」にしました。

「姫だったころのハナシ」でもよかったんですが、

やっぱり「ソンザイ」のほうがかっこよかったのでこっちにしました。

次も「姫と言うソンザイ」を書きますので、読んでください。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,572pt お気に入り:139

異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》アルファ版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:584

私はあなたの母ではありませんよ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:9,790pt お気に入り:3,617

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,290pt お気に入り:91

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,810pt お気に入り:4,186

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:688pt お気に入り:305

処理中です...