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生倉 湊
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その日の放課後。私は迷いながらヘアサロン「Hu-Ka」にたどり着いた。
「ふう、ここね」
間違いはない、ちゃんと看板に「Hu-Ka」って書いてあるし。
街の外れと言うほどでもないけど、お店よりも住宅が目立つようになり始めた地域にある「Hu-Ka」は、智さんのイメージとは違い、落ち着いた住宅街の中でもそれほど違和感のない存在だった。
少し昭和っぽい雰囲気のある「Hu-Ka」に入るのを少しためらいながらも、私は意を決してドアを開けた。
開けるとカランカラン、と昔の喫茶店のような音が鳴った。
「こ、こんにちは」
なんとなく場違い感のある店内に、私は尻込みしながら挨拶した。
「いらっしゃい。あら?予約してないわよね」
と椅子に座って呑気に雑誌を見ている綺麗なお姉さんが話しかけてきた。
「は、はい・・・智さんに、呼ばれて・・・」
「ああ、智のお客さんね。智!また女の子が来たわよ!」
「上がってもらって!」
上の階から、智さんらしき声が聞こえた。
「だって。そこからどうぞ。智は二階にいるはずよ」
「は、はい・・・あ、あの、智さんのお姉さん、ですか?」
私は、その綺麗なお姉さんに恐る恐る尋ねた。
「ぶっ!」
といきなりそのお姉さんは吹き出した。
「と、智!この子面白いわね!」
と2階にいるはずの智さんに向かって大きな声で話すお姉さん。
その声を聞きつけたのか、智さんが顔を出した。
「ねえ、智。この子、私のこと『智さんのお姉さん』だってよ」
お姉さんは、相変わらずケラケラと笑っている。
「あんたって・・・この人は、私のかあちゃんよ。早くいらっしゃい!」
「え?お、おかあさん?だだだって、キレイだし、若いし・・・」
「ありがと。女子高生にそんな風に言ってもらえるなんて、なんか嬉しいわ」
お姉さん、改めお母さんは、嬉しそうに笑顔を向けてくれた。
「いいからいらっしゃい!早くしないと教えてあげないわよ!」
と2階から智さんの声。
「す、すいません。すぐ行きます!」
私は慌てて靴を脱いで2階へ向かった。
2階に上がると、すぐ智さんの部屋があった。
私の部屋より片付いててずっとキレイ・・・
「まったく・・・どこのお姉さんよ」
智さんは呆顔で呟いた。
「だって、キレイだし・・・」
ちょっと悔しくなった私は、ぷくっとほおを膨らませながら呟いた。
「まあ・・・間違ってはいないけどね」
自分の母親を褒められて、悪い気分ではないようだった。
「まあいいわ、まずはこれ使ってらっしゃい」
智さんは私にメイク落としを渡した。
「しっかり落としてくるのよ。洗面所は奥にあるわ。洗顔もそこに置いてあるの使って」
「はい」
言われるままに私は奥にある洗面所に向かった。
それから数分後。
「落としてきました」
すっぴん見られるの恥ずかしいなと思いながら、私は智さんのところに戻ってきた。
「あら、やっぱりお肌はきれいね。これならかなり化けられるわよ」
「えっ・・・」
智さんがいきなり私のほっぺを触ってきたので、私は恥ずかしくて動けなくなってしまった。
「ほらほら、早くここお座んなさい!」
智さんはポンポンとドレッサーの前の椅子を叩いた。
「はい!」
智さんに言われるまま、私は椅子に座った。
「じゃあ、私が半分だけメイクするから、よく見てるのよ。ちゃんと説明もしてあげるから。それからスマホ貸して」
智さんは私からスマホを受け取ると、何か操作をして鏡の横にある棚に置いた。
「メイクの動画も撮っとくから、わからなくなったらこれで確認しなさい」
「は、はい!ありがとうございます。よろしくお願いします!」
何から何まで行き届いた智さんだった。
「まずは化粧水からね・・・」
それから智さんは一つ一つ丁寧に説明しながらメイクをしていった・・・
「ふう、ここね」
間違いはない、ちゃんと看板に「Hu-Ka」って書いてあるし。
街の外れと言うほどでもないけど、お店よりも住宅が目立つようになり始めた地域にある「Hu-Ka」は、智さんのイメージとは違い、落ち着いた住宅街の中でもそれほど違和感のない存在だった。
少し昭和っぽい雰囲気のある「Hu-Ka」に入るのを少しためらいながらも、私は意を決してドアを開けた。
開けるとカランカラン、と昔の喫茶店のような音が鳴った。
「こ、こんにちは」
なんとなく場違い感のある店内に、私は尻込みしながら挨拶した。
「いらっしゃい。あら?予約してないわよね」
と椅子に座って呑気に雑誌を見ている綺麗なお姉さんが話しかけてきた。
「は、はい・・・智さんに、呼ばれて・・・」
「ああ、智のお客さんね。智!また女の子が来たわよ!」
「上がってもらって!」
上の階から、智さんらしき声が聞こえた。
「だって。そこからどうぞ。智は二階にいるはずよ」
「は、はい・・・あ、あの、智さんのお姉さん、ですか?」
私は、その綺麗なお姉さんに恐る恐る尋ねた。
「ぶっ!」
といきなりそのお姉さんは吹き出した。
「と、智!この子面白いわね!」
と2階にいるはずの智さんに向かって大きな声で話すお姉さん。
その声を聞きつけたのか、智さんが顔を出した。
「ねえ、智。この子、私のこと『智さんのお姉さん』だってよ」
お姉さんは、相変わらずケラケラと笑っている。
「あんたって・・・この人は、私のかあちゃんよ。早くいらっしゃい!」
「え?お、おかあさん?だだだって、キレイだし、若いし・・・」
「ありがと。女子高生にそんな風に言ってもらえるなんて、なんか嬉しいわ」
お姉さん、改めお母さんは、嬉しそうに笑顔を向けてくれた。
「いいからいらっしゃい!早くしないと教えてあげないわよ!」
と2階から智さんの声。
「す、すいません。すぐ行きます!」
私は慌てて靴を脱いで2階へ向かった。
2階に上がると、すぐ智さんの部屋があった。
私の部屋より片付いててずっとキレイ・・・
「まったく・・・どこのお姉さんよ」
智さんは呆顔で呟いた。
「だって、キレイだし・・・」
ちょっと悔しくなった私は、ぷくっとほおを膨らませながら呟いた。
「まあ・・・間違ってはいないけどね」
自分の母親を褒められて、悪い気分ではないようだった。
「まあいいわ、まずはこれ使ってらっしゃい」
智さんは私にメイク落としを渡した。
「しっかり落としてくるのよ。洗面所は奥にあるわ。洗顔もそこに置いてあるの使って」
「はい」
言われるままに私は奥にある洗面所に向かった。
それから数分後。
「落としてきました」
すっぴん見られるの恥ずかしいなと思いながら、私は智さんのところに戻ってきた。
「あら、やっぱりお肌はきれいね。これならかなり化けられるわよ」
「えっ・・・」
智さんがいきなり私のほっぺを触ってきたので、私は恥ずかしくて動けなくなってしまった。
「ほらほら、早くここお座んなさい!」
智さんはポンポンとドレッサーの前の椅子を叩いた。
「はい!」
智さんに言われるまま、私は椅子に座った。
「じゃあ、私が半分だけメイクするから、よく見てるのよ。ちゃんと説明もしてあげるから。それからスマホ貸して」
智さんは私からスマホを受け取ると、何か操作をして鏡の横にある棚に置いた。
「メイクの動画も撮っとくから、わからなくなったらこれで確認しなさい」
「は、はい!ありがとうございます。よろしくお願いします!」
何から何まで行き届いた智さんだった。
「まずは化粧水からね・・・」
それから智さんは一つ一つ丁寧に説明しながらメイクをしていった・・・
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