感情の無い僕が恋をした

サクラ

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本当に、残念です

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は?また俺は、ここで感情を売るのか?
今日はそんなつもりで来たわけではないし、ましてやここで、感情だけは売りたくないと思っていたのだ。
「貴方の物を口に入れることに対する感情。こちらが買い取って差し上げます。」
と更に丁寧に言ってきたが、内容は何も変わらない。
しかし僕が気になっているのは、『差し上げる。』と上から目線なことだ。
なぜお客様であるはずの僕に対して上からなのだ。
僕の方が上であるはずでは?まぁ僕だって、敬語は得意ではないが……。
外国人の日本語が出来ない最もの理由である、敬語なんて日本人の僕でも苦手だ。
謙譲語だとか、尊敬語だとか、美化語だとか……。訳が分からない。
「それでは料金は、10万円になります。」
と勝手に話が進んでいた。学校との性格の違いはなんなのだ。
学校に行くことで変わるのか?性格が?どれだけ脆いんだ。
感情に関わる仕事をしている人間だとは思えない。
本当にしているのだろうか。この仕事。貯古齡糖に全てを任せていそうである。
「ちょっちょっと待ってください。僕はまだ感情を売るなんて……。」
「いらない。そう思ってるだろ。」
言葉が詰まる僕に鋭い一言をついてくる。確かに、思っているのだ。

いらないと。

「亜爾加里様の『いらない』という感情が食べ物を食べることに関して不快に思わせる感情を傷付けているのです。」
と説明してくれたが、余計話がややこしくなってしまった。
つまりは、感情が感情を傷付けているということらしい。
かなり簡単にまとめたが……。まぁ僕の国語力なんてそんなものだ。
「売った方がいいよ。君の感情は泣いている。」
最もらしいことを言うのが感買でなければ、感動ものなのだが……。
壁ドンや顎クイだってイケメンだから成立するのと同じように、感情がコロコロと変わってしまう人間が感情のことを言うのは説得力にかけるというものだ。
「失礼ですね。私にだってちゃんとした感情はまりますよ。」
と胸を貼る。いやいや、だからそれが変わってるんだって。
まぁ、何を言っても意味ないことは分かっているので何も言わないでおこう。
「それでは、巍城様。こちらを。」
と封筒を差し出された。恋という感情を売った時と同じだ。
茶封筒の中にはきっちり10万円が入っていた。

僕は、不快の感情を売った。

外に出ると、やはり空は暗かった。
僕はとぼとぼと帰り道を歩く。

一番端の部屋にある、窓から外を眺める感買が小さく呟く。
「今日はあなたのテストたったんですよ。巍城さん。
あなたが感情を売ったことを後悔しているか調べるためのテスト。
残念ながらあなたは不合格です。
巍城さん。あなたはここで感情を売ることで人間でなくなっていくというのに。
あなたはまだ、それに気がついていないようだ。本当に、残念です。」
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