感情の無い僕が恋をした

サクラ

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貴方は今、スタートラインにも立ってはいないのですよ

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今、学校は卒業式ムード一色だった。
この物語の中には、季節や僕の歳とかに関することが一切出てない。
単純に出したくない。というのが一番の理由だった。
しかし、この後を説明するには書かなければならなかった。
僕は、中学3年生。卒業する人間だった。義務教育の9年間が終わる。
喜ばしいとは思っていない。確かに成長することは嬉しいが、義務教育をまだ受けていたかったと思ってやまない。
別に受験に失敗したとかではない。
特別選抜者入試で誰よりも早く、合格が決まっている。
それでも、高校生になって成功するとは思えなかった。
そんなくらい面持ちのかな、僕とは対照的に明るい奴が1人。
もう言わなくても分かると思う。感売だ。
いつでも僕とは対照的でしかも、僕にも同じ顔をしろと言っているのかやたらとその顔を向けてくる。
鬱陶しいな。担任が今の席をそのまま卒業まで続けるという。
いつもは、席替えなどどうでもいいと思うのだが、今回ばかりはそうともいかなかった。
心の底から、まじか。と呟いている。どうやら僕はよほど、感売が嫌いらしい。
感売の良いところは言えずとも、悪いところなら無限に言える。そんな感じだ。
まぁ、最後ぐらいは笑顔でお別れというのも良いかもしれないとは思った。
実行に移すかは別として。学校の卒業式ムードはかなりうざかった。
音楽の時間では、卒業式用の同じ歌しか歌わないし、先生達が同じことしか言わなくなった。
受験生はとても面白くない。
1年中同じことしか言われないのだ。そんな1年の何が楽しい。
自分が受験生と言えば、勉強しろ勉強しろ。
卒業の時期になれば、早いね、もう卒業!そんなのばかりだ。
何度も何度も練習をさせられる卒業式に感動することがない。
頭上からかすかに聞こえる、泣き声。自分の台詞の言葉を鼻声で言う人。
小学生で既に飽きてしまった。同じ中学校に行くのに何がそんなに悲しいのか全く分からなかった。
僕は絶対にカウンセラーに向いていないのだ。
僕とは対照的な考え、感じ方に理解出来ない。
何度も練習して、やっと予行の日となった。
たかが予行ぐらい長々しい話なんてとばせばいいと思うのだが、何故かこの学校は、全て再現するのだ。
長々しい校長の話。長々しい来賓の話。長々しい保護者挨拶。在校生代表の挨拶。卒業生代表の挨拶。
とにかくすべてが長い。しかも、毎年同じ話しだ。飽きる。
子供が話を1年で忘れると思えば大間違いだ。
何となく聞いたことがある。どこかで聞いたぞ。そんなふうに思う人が多い。
同じ話を聞き、長時間座らせ、長時間同じ体勢でいなければならない。
これを拷問以外の何というのだろうか。
そして何より可哀想なのは、卒業するわけでもないのに集められる在校生の方だ。
僕も、昨年まで散々な思いをしたよ。
「3年生を泣かせろ!」
とか、
「主役を目立たせろ!」
とかその他色々。自分の時にそんな態度でいいのか!と叱られたこともあったな。
つか、僕達がちゃんとしても、それを見るの2年生だけだからね。
在校生の半分だけに、ちゃんとしていた姿を見せて何になるんだ?
それに、僕達がちゃんとしなくとも、先生達がちゃんとさせるんだから。
卒業式の練習が終わり、全校生徒が体育館から出ていく。
「いやー。やっと終わりましたね。長い長い。」
と僕の隣で愚痴をこぼすのは感売だ。珍しく、意見があった。
感売と意見が合うのも、快くは思っていないが。
「感売、ちょっといいか。」
と先生に呼ばれ、走っていく。実は、感売は成績がよく、卒業生を代表し、前で話をするそうだ。
本人は嫌がっていたが。全員の推薦によって問答無用で決まった。
ざまぁと心の中で笑っている自分がいる。
どんどん汚い人間になっていく気がする。
あそこで売るべき感情はこんな感情なのではないのだろか。
「僕はまだここに来て間もないのにも関わらず、卒業生代表だなんて偉そうなことできませんよ。」
と言っていた。確かに、感売は最近来た転校生だ。
そこを見ても、感売がいいとなったのだ。誰だけ成績がいいんだか。
そんな感売の横を僕は通り過ぎていった。
後ろから、視線を感じながら、早足に逃げていった。
「まだまだ安心するのは早いですよ。貴方が成長されるのはここからなんですから。
貴方は今、スタートラインにも立ってはいないのですよ。」
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