感情の無い僕が恋をした

サクラ

文字の大きさ
18 / 23

自分のことを理解するのも、何でも知っているのも、自分以外居ないんですよ

しおりを挟む
と長ったらしい、卒業式はざっくりと飛ばし、皆が泣いている横を早足に通り、僕は通学路を歩いている。
やっぱりなんとも思わなかった。泣かなかった。
まぁ、今どき男の子が卒業式ぐらいでわんわん泣いていたら皆びっくりするだろう。
そりゃあもう、涙なんか引っ込んでしまうぐらい。
それに僕には、一緒に悲しむ相手もいないのだ。
さっさと帰ってしまった方がいい。僕の両親は仕事で来るはずがない。
今までの学校行事という行事を散々すっぽかしてきた両親だ。
今更、期待も何もしていない。ただ、僕はいつも通りの道を歩いて帰るだけだ。
ただ違うのは、今日は土曜日でいつもより人が少し多いということぐらいだ。
いつもは見ない子供連れの家族が僕の横を通り過ぎていく。
僕も小さい頃はあんなんだったのだろうか。と心の中で思ったが、そんなわけがなかった。
学校行事にさえ参加しない仕事人間な親が子供と遊ぶわけがない。
遊んだとしても、そんな幸せな頃の記憶なんて忘れてしまっているし、覚えていたとしても今の僕を惨めにしただけだろう。
別に、親と遊びたいわけではないが。
ただ、人との接し方を誰からも教わることが出来なかった。とだけ言っておこう。
ボッチ体質を親のせいにした。と思ってもらって全然構わない。
が、実際教えてもらっていない。誰とどう話せばいいのか、どんなふうに笑えばいいのか。
僕には全く分からない。
ある意味、僕の両親は子育てに失敗したと言っていい。
本人達は全く気にしていないようだったな。
子供が警察沙汰にさえならなければ何をしてもいいと考えているのだろう。
実際、僕は警察沙汰になるような事件を起こしたことは無い。
まぁ、両親の言い付を守っていると言えばかっこいいかもしれないがそういう訳でも無い。
チキンなだけだ。怖いだけだ。弱虫なだけだ。それだけだ。
言い付けられた覚えも、ことも無い。
ただただ、僕の性格が事件を起こさなかっただけだ。
そんな僕を、母は何故か言い付けを守る賢い子と思い込み、勝手に自慢の息子と言っているらしい。
父に関しては、自分が居なくても、しっかりやれるちゃんとした子と言われているらしい。
どっちもハズレだ。そもそも、2人共僕のことなんて何にも知らないだろう。
僕が何を好きなのか、
僕が何を美味しいと思って食べているのか、
僕がどんなテレビが好きなのか、
僕が自分と目を合わせもしない両親をどう思っているのか、

僕が感情を売ったこととか。

何も知らないだろう。でも、それは僕も同じだ。
僕も両親のことを何も知らない。
それでも、家族として成立している。いや知らないからこそ、成立しているのかもしれない。
きっと僕達は、僕達よりも、他人の方が僕達のことを知っている。

「やれやれ、貴方が私を置いて先に帰ってしまうので焦りましたよ。
せっかく、僕の作文の感想を聞きたかったのに。まぁ仕方ありませんね。
それにしても、巍城颱虞甕さん。貴方は本当に他人や家族が自分のことを理解し、何でも知っていると思っているのですか。
いやー、悩みが小学3年生レベルですよ。
そんなわけないでしょう。
自分のことを理解するのも、何でも知っているのも、自分以外居ないんですよ。」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...