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貴方方は、この世界の住人の誰の目を使い、この世界を覗き見ているのでしょうか
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僕のクラスは1年2組になった。
別に何の問題もなさそうなクラスだった。中学校とそう変わらない。
新人の先生が担任で、1年団の中で唯一若い先生だった。
童顔で、頑張れば大学生にも余裕で見える。
「新任で不安になると思いますが、よろしくお願いします。」
と、真面目な新任の先生が言いそうなことを言ってホームルームは終わった。
自分の席は窓側の一番奥になった。
窓から中庭を見る。3階からでも枝先が見える大きな木には葉桜が残っていた。
「まだ桜は残っているものなんですね。」
なんて僕なんかに話しかけてきたのは、説明するまでもない。感売だ。
こいつとの縁は中学校で終わっていると思っていたのに。
まさか、受験した学校が同じだったなんて。
後悔なんて言葉では言い表せない。今から退学してしまおうか。
いや、流石に1日目で退学はないな。受験料の無駄遣いだ。
ため息をつきながら、外の小鳥を眺める。
中学生時代も嫌なことがあれば外を見ていた気がする。
外を眺めるだけが中学生時代のほとんどの活動だった気がする。
最後の最後で狂わせてくれた人もいたがな。
きっと、高校でもそんなふうにして高校生活を終わらせるんだろうな。
と思っていたのに、感売が居るのならそうとはいかない。
中学校の時のように僕の時間をぶち壊されるのではないかとビクビクしてしまう。
なんて情けない。
まぁ、それが僕という存在だと区切りをつけて付き合うしかない。
これは一種の諦めだ。自分を見下して、価値を下げて。
自分に対する全てを諦める。期待も、希望も。
傷つかないように、上手に生きている。
僕は、上手に生きられたとしても綺麗には生きられない。
あの桜のように僕は綺麗に散ることは出来ない。
ひらひらと舞う、あの桜の花びらは誰の心に残るというのだろうか。
あれほど美しい桜でも、散る姿は誰にも覚えてもらえない。
桜のような美しさなんて持っていない僕が、誰かに覚えていてもらえるのだろうか。
別に悲しいなんて思わない。
誰かに覚えてもらいたいと思ったことはない。
これは、僕の強がりだろうか。
きっと、強がりだろう。誰にも覚えてもらえない人間は死んだも同然だ。
覚えてもらいたくはなくとも生きていたいと思う。
それは明らかな矛盾だ。
忘れられれば、死んだのも同然なのにも関わらず、死にたくないと思っている。
明らかな矛盾だ。
僕は、死んでいるのだろうか。
それとも、誰かが僕のことを覚えているのだろうか。
どちらも、必要ないことのように感じる。
僕は、本を開く。
なにか考えるのを止めたい時には本を読むのが一番だ。
本の中に作者が創り出した世界を覗き見る。
素晴らしい世界だろうか。
平和な世界だろうか。
美しい世界だろうか。
戦争が起こっている世界だろうか。
荒々しい世界だろうか。
暗い世界だろうか。
重たい世界だろうか。
そんな全ての世界で生きる人達の感情やストーリーが書かれている。
ドキドキとはしない。
ハラハラもしない。
僕はただ、本を読むことで本の世界で生きる一人の住人になるだけだ。
そうするとまた、違う物語が見えてくる。
どんな感情を売ったとしても、本を好きという感情はなくしたくないと思う。
もう既に、クラスの中心人物となった感売が不気味な笑顔で笑っている。
「全く、本に逃げていてはいけませんよ。
本は正解なんて1つも書いていないんですから。
人が創り上げた幻想と現実は違うものなんですよ。
貴方は、現実を恐れ幻想を逃げ場所にしている。
現実逃避を一生懸命にしている。
貴方は自分が現実から逃げるために大好きであるはずの本を利用しているんですよ。
この物語も、例外ではないのかもしれませんね」
そう言って、感売は空を見る。
何も無い空をひたすら見ている。
そして、最後に誰に行っているのか分からない一言を空に向けて言った。
「貴方方は、この世界にいる住人の誰の目を使い、この世界を覗き見ているのでしょか。」
別に何の問題もなさそうなクラスだった。中学校とそう変わらない。
新人の先生が担任で、1年団の中で唯一若い先生だった。
童顔で、頑張れば大学生にも余裕で見える。
「新任で不安になると思いますが、よろしくお願いします。」
と、真面目な新任の先生が言いそうなことを言ってホームルームは終わった。
自分の席は窓側の一番奥になった。
窓から中庭を見る。3階からでも枝先が見える大きな木には葉桜が残っていた。
「まだ桜は残っているものなんですね。」
なんて僕なんかに話しかけてきたのは、説明するまでもない。感売だ。
こいつとの縁は中学校で終わっていると思っていたのに。
まさか、受験した学校が同じだったなんて。
後悔なんて言葉では言い表せない。今から退学してしまおうか。
いや、流石に1日目で退学はないな。受験料の無駄遣いだ。
ため息をつきながら、外の小鳥を眺める。
中学生時代も嫌なことがあれば外を見ていた気がする。
外を眺めるだけが中学生時代のほとんどの活動だった気がする。
最後の最後で狂わせてくれた人もいたがな。
きっと、高校でもそんなふうにして高校生活を終わらせるんだろうな。
と思っていたのに、感売が居るのならそうとはいかない。
中学校の時のように僕の時間をぶち壊されるのではないかとビクビクしてしまう。
なんて情けない。
まぁ、それが僕という存在だと区切りをつけて付き合うしかない。
これは一種の諦めだ。自分を見下して、価値を下げて。
自分に対する全てを諦める。期待も、希望も。
傷つかないように、上手に生きている。
僕は、上手に生きられたとしても綺麗には生きられない。
あの桜のように僕は綺麗に散ることは出来ない。
ひらひらと舞う、あの桜の花びらは誰の心に残るというのだろうか。
あれほど美しい桜でも、散る姿は誰にも覚えてもらえない。
桜のような美しさなんて持っていない僕が、誰かに覚えていてもらえるのだろうか。
別に悲しいなんて思わない。
誰かに覚えてもらいたいと思ったことはない。
これは、僕の強がりだろうか。
きっと、強がりだろう。誰にも覚えてもらえない人間は死んだも同然だ。
覚えてもらいたくはなくとも生きていたいと思う。
それは明らかな矛盾だ。
忘れられれば、死んだのも同然なのにも関わらず、死にたくないと思っている。
明らかな矛盾だ。
僕は、死んでいるのだろうか。
それとも、誰かが僕のことを覚えているのだろうか。
どちらも、必要ないことのように感じる。
僕は、本を開く。
なにか考えるのを止めたい時には本を読むのが一番だ。
本の中に作者が創り出した世界を覗き見る。
素晴らしい世界だろうか。
平和な世界だろうか。
美しい世界だろうか。
戦争が起こっている世界だろうか。
荒々しい世界だろうか。
暗い世界だろうか。
重たい世界だろうか。
そんな全ての世界で生きる人達の感情やストーリーが書かれている。
ドキドキとはしない。
ハラハラもしない。
僕はただ、本を読むことで本の世界で生きる一人の住人になるだけだ。
そうするとまた、違う物語が見えてくる。
どんな感情を売ったとしても、本を好きという感情はなくしたくないと思う。
もう既に、クラスの中心人物となった感売が不気味な笑顔で笑っている。
「全く、本に逃げていてはいけませんよ。
本は正解なんて1つも書いていないんですから。
人が創り上げた幻想と現実は違うものなんですよ。
貴方は、現実を恐れ幻想を逃げ場所にしている。
現実逃避を一生懸命にしている。
貴方は自分が現実から逃げるために大好きであるはずの本を利用しているんですよ。
この物語も、例外ではないのかもしれませんね」
そう言って、感売は空を見る。
何も無い空をひたすら見ている。
そして、最後に誰に行っているのか分からない一言を空に向けて言った。
「貴方方は、この世界にいる住人の誰の目を使い、この世界を覗き見ているのでしょか。」
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