健康的でファンタジックな最低限度の生活

天照てんてる

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転居指導

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 翌日、役所に行って訊いてみた。

「あの……昨日、保護決定通知書が届いたんですけど、家賃扶助が金貨1枚と書かれていまして、うちの家賃は金貨2枚なのですが……」
「家賃が金貨2枚?
 この村の保護では家賃扶助の上限は1枚ですよ?
 ご相談のときにちゃんと話されましたか?
 ……とはいえ、こちらの手違いですね、転居してください」

 手違い。
 申請時に家賃のことは話したはずだ。すらできていないじゃないの。
 まぁ、晴れて家賃も税金も医療費も要らなくなった身分なのだ。従うしかない。

「て、転居……と言いますと、ええと、引越のこと、ですよね?」
「はい。生活保護の転居指導だと言えば手続はもろもろ大丈夫ですから。
 賃貸物件を探すのがご面倒でしたら、暫く寮に住みますか?」

 ん? 寮、かぁ。なんか面白そう。どうせ引っ越すなら、面白い方がいい! 人生、楽しまなくっちゃ!

「えっと、じゃあ、寮でお願いします」
「いまご紹介できる寮をお調べしますので少々お待ちください」
「はい」

 なんだろう、お役所仕事って、淡々。
 まぁ、情緒あふれるお役所仕事というのも、なかなかに意味がわからないものがあるだろうけれど。

「お客様、お待たせしました。
 3食付きで金貨3枚の寮がご紹介できます。残りの金貨1枚をその他の生活費に充ててください。
 軽い面談がありますが、これから行きますか?」

 、か。
 あたしはお金を払ってるわけじゃない。むしろ、これから貰う側になるのだ。
 それをと呼ばれるのは、なんだかむず痒い。

 そんな本音はしまっておいて、あたしは本心から答えた。

「すみません、心の準備ができていないので明日でお願いします」
「わかりました、では明日またお越しください。寮の方には連絡しておきますので」
「よろしくお願いします」

 ……ところで、家賃扶助の上限が1枚で、食費が要らないとはいえ金貨3枚の寮……なんか、ぼったくられてないかな?
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