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4-3. 新たな天啓と朝食
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神の姿はいつも見えない。
神は、彼女の旋毛の上に降り、無機質で荘厳な声を響かせる。
『沈黙していたカナリアが各々に啼き出した。その旋律は人々を魅了し、その背に大いなる翼を授けるだろう。鳥人達は慣れない翼をはためかせ天上へと昇る。だが、身の程を弁えなければならない。神の領域へ土足で上がり込む不埒者には、太陽の憤激に触れることになるだろう』
目蓋を開けたラリアを出迎えたのは、窓から差し込む白い日差しだった。
天啓を聞いているときは時間感覚が狂うらしく、体感では数分しか経ってないのに、実際には数時間経過しているという事がよくある。
「お早いお目覚めで」
ラリアが目を覚ましたのを察知し、ゆっくりと上体を起こしたディエスは、まだ半分ほどしか開かない目を擦り、首を回して眠気を飛ばす。
「あれ、起こしちゃいましたか」
「一応、あなたの監視が私の仕事なんでね。あなたが休んでいないときに、私が休むわけにはいかないのですよ」
ディエスは、ベッドから伸びてくる誘惑の魔の手を振り払うように勢いよく立ち上がる。
「私の事、信用していないんですね」
「逆の立場だったら、あなたは私を信用するんですか」
「しませんね。絶対に」
ディエスが二度寝する気でない事が分かったラリアも立ち上がり、自分の鞄から灰色のカーディガンを取り出して羽織る。
「出発は、一階で朝食を食べてからにしましょう」
この宿屋の一階は食堂となっており、早朝から宿泊客や近隣住民向けに料理を提供している。
その情報を、二人は昨日部屋を借りる際に店主から聞いていた。
急勾配な階段を下り、受付の前を通り過ぎて着いた食堂には、既に食事をする人の姿があった。
テーブル席に座り、薄緑色に塗られた壁に書かれたメニューの中から、ディエスは朝食にしては少し重めな肉料理を、ラリアはパンとスープとサラダを注文する。
食事中、ラリアは今朝聞いた天啓についてディエスに話した。
今回の天啓は、今までよりも更に抽象度が高く、この文言から未来を予測するのは困難だという事。この事を教会に報告したとしても、枢機卿達も私と同じ結論しか下せないだろうという事。だからやる事は昨日までと変わらないという事。
ディエスは、ラリアの話を聞き流しながら、料理を胃に流し込んでいた。
話の最後にラリアが、
「何か質問ありますか?」
と問いかけた時、ディエスは
「いいえ何も。あなたが何をどうしようとも、私はそれを教会にありのまま報告するだけですから」
と言うだけだった。
その後は二人とも無言で、皿の上にある様々なカロリーを腹の中に納める作業を続けた。確かに、貧民街での移動中に食べた保存食より温もりがあって、味も複雑で舌が喜んでいる気がするけれど、喉を通ってからは同じ栄養だ。寧ろ、保存食の方が効率的な面では優れている。
要は気分の問題。そして、人間にとって気分は結構重要な要素だ。
食後にコップ一杯の水を飲み干してから、ラリアは数分前に切り上げたの糸口を再び紡ぎ出した。
「教会への報告があなたの任務ならば、先ほど私に何か質問すべきだったんじゃないですか。教会のお偉い方が聞いたら歓天喜地しそうなあれこれを」
ディエスは、最後の一口分の肉を噛みしめて呑み込んでから、ラリアの目を見ずに言う。
「私の仕事はあなたの行動の監視して報告することです。それ以上でも、それ以下でもありません」
「殊勝な考え方ですね」
本心なのか皮肉なのか分からないラリアの言葉を、ディエスは額面通りに受け取った。
神は、彼女の旋毛の上に降り、無機質で荘厳な声を響かせる。
『沈黙していたカナリアが各々に啼き出した。その旋律は人々を魅了し、その背に大いなる翼を授けるだろう。鳥人達は慣れない翼をはためかせ天上へと昇る。だが、身の程を弁えなければならない。神の領域へ土足で上がり込む不埒者には、太陽の憤激に触れることになるだろう』
目蓋を開けたラリアを出迎えたのは、窓から差し込む白い日差しだった。
天啓を聞いているときは時間感覚が狂うらしく、体感では数分しか経ってないのに、実際には数時間経過しているという事がよくある。
「お早いお目覚めで」
ラリアが目を覚ましたのを察知し、ゆっくりと上体を起こしたディエスは、まだ半分ほどしか開かない目を擦り、首を回して眠気を飛ばす。
「あれ、起こしちゃいましたか」
「一応、あなたの監視が私の仕事なんでね。あなたが休んでいないときに、私が休むわけにはいかないのですよ」
ディエスは、ベッドから伸びてくる誘惑の魔の手を振り払うように勢いよく立ち上がる。
「私の事、信用していないんですね」
「逆の立場だったら、あなたは私を信用するんですか」
「しませんね。絶対に」
ディエスが二度寝する気でない事が分かったラリアも立ち上がり、自分の鞄から灰色のカーディガンを取り出して羽織る。
「出発は、一階で朝食を食べてからにしましょう」
この宿屋の一階は食堂となっており、早朝から宿泊客や近隣住民向けに料理を提供している。
その情報を、二人は昨日部屋を借りる際に店主から聞いていた。
急勾配な階段を下り、受付の前を通り過ぎて着いた食堂には、既に食事をする人の姿があった。
テーブル席に座り、薄緑色に塗られた壁に書かれたメニューの中から、ディエスは朝食にしては少し重めな肉料理を、ラリアはパンとスープとサラダを注文する。
食事中、ラリアは今朝聞いた天啓についてディエスに話した。
今回の天啓は、今までよりも更に抽象度が高く、この文言から未来を予測するのは困難だという事。この事を教会に報告したとしても、枢機卿達も私と同じ結論しか下せないだろうという事。だからやる事は昨日までと変わらないという事。
ディエスは、ラリアの話を聞き流しながら、料理を胃に流し込んでいた。
話の最後にラリアが、
「何か質問ありますか?」
と問いかけた時、ディエスは
「いいえ何も。あなたが何をどうしようとも、私はそれを教会にありのまま報告するだけですから」
と言うだけだった。
その後は二人とも無言で、皿の上にある様々なカロリーを腹の中に納める作業を続けた。確かに、貧民街での移動中に食べた保存食より温もりがあって、味も複雑で舌が喜んでいる気がするけれど、喉を通ってからは同じ栄養だ。寧ろ、保存食の方が効率的な面では優れている。
要は気分の問題。そして、人間にとって気分は結構重要な要素だ。
食後にコップ一杯の水を飲み干してから、ラリアは数分前に切り上げたの糸口を再び紡ぎ出した。
「教会への報告があなたの任務ならば、先ほど私に何か質問すべきだったんじゃないですか。教会のお偉い方が聞いたら歓天喜地しそうなあれこれを」
ディエスは、最後の一口分の肉を噛みしめて呑み込んでから、ラリアの目を見ずに言う。
「私の仕事はあなたの行動の監視して報告することです。それ以上でも、それ以下でもありません」
「殊勝な考え方ですね」
本心なのか皮肉なのか分からないラリアの言葉を、ディエスは額面通りに受け取った。
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