死越者の行進

具体的な幽霊 

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5-1. 廻り出した運命

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 調査開始から六日目の朝、教会から一枚の封書が第三騎士団本部ファイロットの元へ送られてきた。

 封書の概要は『魔法卿マギア・ロード級の魔法を扱う、若い女性のような外見をした魔獣が街中に出現した。恐らく、第三騎士団の騎士四名を殺害したのも、この存在だと考えられる。この魔獣の討伐に、第三騎士団の全面的な協力を要請する。魔獣がいる位置や、他の仲間がいるかどうか等の情報は、現在鋭意調査中であり、分かり次第すぐに伝えるため、何時でも出撃できる用意をしていて欲しい』というもの。

 それを読んだハーデンは、苦悶の表情を浮かべた。 

 「遅すぎなんだよ」

 調査に向かった騎士達の一部の消息が途絶えた事が判明したのは、昨日の夜だった。
 
 「魔法卿マギア・ロード、単独で一個大隊以上の戦力となり得る魔導士ですか。それならば、第三騎士団の騎士を消す事が出来ても不思議じゃありませんね」

 いつも冷静なシェーラの口調にも、少しだけ怒りの感情が混じっている。

 第三騎士団は、決して今回の事件を侮っていたわけではない。
 捜査を行った騎士達は常に三人一組以上で行動し、事件の実行犯らしき存在を見つけても、自分達だけで捕えようとするのではなく、仲間への連絡を優先させるよう指示を出していた。
 にもかかわらず、調査を行なっていた騎士の三分の一が行方不明になっている。

 そう、行方不明になっているのだ。死体が見つかっているわけではない。だから、事態を把握するのに時間がかかった。
 
 「現在、事件の調査は中断させています。これ以上人員を削られては、通常業務にも差し支えが出ますから」

 第三騎士団の本来の職務は、辺境の村や町に住む人々を魔獣の脅威から守る事。凶悪犯を見つけ出して捕まえる事ではない。

 渋々と言った表情で、バーデンは決断する。
 
 「この際、調査は教会に任せよう。情報収集能力だけならどの組織よりも優れている教会が、こんな封書を寄越したって事は、我々第三騎士団の武力が事件解決に必要だという判断できる程度には調査が進んでいるんだろうしな」

 第三騎士団には、得体の知れない敵に味方が各個撃破されているような現状を打破する策が必要だった。

 「そうですね。教会の指示で動くのは癪ですが、あの組織の情報の精度だけは信用できますから」

 ゆえに第三騎士団は、教会の申し出が後数日早ければ、第三騎士団の騎士達がこれほどの犠牲を払う事も無かった、という意見を呑み込み、消化不良を起こしながらも、教会から差し出された掌を掴んだ。

 彼らに、この事件から手を引くという選択肢は残されていない。
  
 「では、教会にその協力要請を引き受けると連絡しておいてくれ。俺は討伐部隊を編成する。今回は俺が部隊を率いる。魔導士相手では数の利を生かしにくいからな」
 
 「わかりました」

 彼らの胸の内に宿る死んでいった仲間の魂が、撤退を許させない。
 
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