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7-1. 暁の出撃
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教会から情報が送られてきたのは、円卓会合を行ってから二日後の早朝、まだ空が白み始めたほどの頃だった。
万全の準備をして待っていた四人の騎士達は、目立たないよう艶消しされた灰輝銀製の甲冑に身を包み、腰には金剛鉄で出来た剣を差し、出撃の準備を済ませた。
「では、後の事は頼む」
ディエスは、自分がいない間、騎士団長代理として第三騎士団本部の責任者となるシェーラに声をかけた。
「そちらこそ、気を付けて下さい」
シェーラは、胸の内で沸き起こる不安や期待や恐怖といった感情を全て抑え込み、四人の騎士達が無事に帰ってくる事を切実に祈った。
教会から告げられた魔獣の位置は、ここから南西に位置する貧民街:フラジェイス。神の死んだ街とも呼ばれるその街の中でも、特に混沌とした場所にある廃墟が、魔獣の住処となっているらしい。
「フラジェイス、神が死んだ街ですか。いかにも魔獣が隠れていそうな場所ですね」
徒歩での移動の最中、無言に耐えられなくなったヒュムスが会話の口火を切った。
「分かっていると思うが、今回討伐する魔獣は瞬間移動の魔法を使う。先手を打って殺しきらなければ、逃げられる可能性がある」
先頭に立って歩くバーデンがそう言う。
フラジェイスまでは徒歩で四時間ほどかかる。その間中ずっと張り詰めていては疲れてしまう。
「だから今回は馬で移動しないんですよね。貧民街で馬は目立ちすぎますから。というか、よく考えたら、瞬間移動できるんなら、もう対象がフラジェイスにはいない可能性もありませんか?」
ヒュマスはお喋りで、あまり考えないで話す癖がある。脊髄反射で口が動き、声帯が震えるタイプの人間なのだ。
だから、少し考えればわかりそうな質問をする。
「いなければ、それを教会に報告して次の情報を待つだけだ。瞬間移動のように強力な魔法は、使用者の魔力を大きく消費させる。伝説で語られるような大魔導士でなければ連発は出来ないのだ。ゆえに、瞬間移動した後しばらくは、民衆を大量虐殺するような大魔法を使う事も出来なくなるはずだ。それだけで充分に価値があるだろう」
ディエスに代わって、ギムレットがヒュマスの疑問に答える。
「でも、とっとと終わらせられるに越したことは無いわ。不毛な追いかけっこは嫌だもの。そう思わない?」
ギムレットの問いかけに、ヒュマスに代わって答えたのはシアン。
シニカルな笑みを浮かべたシアンに、ギムレットは顔を顰めた。
ギムレットとシアンは馬が合わない。自己犠牲の精神が強いギムレットと、正直な利己主義者であるシアンが対立するのは、ある意味必然だと言える。
そんな二人が同じ部隊にいるのは、バーデンのカリスマによるものだ。彼の圧倒的な実力と、理想を追いかける姿には、人を惹き付ける力がある。
「なんにせよ、敵がいる前提で乗り込む事に変わりはない。我々がやっているのは命のやり取りだ。しくじったら次は無い以上、眼前の仕事に全力に取り組む事に集中すべきだ」
バーデンの仲裁で、二人の論戦の口火は消化された。
このような口論はいつもの事だ。それどころか、論戦が始まる前に終わった分、いつもより穏やかだと言える。
バーデンは普段通りの二人の会話を聞いて、安心していた。
自分を含む四人の騎士に緊張や不安などの瞬時の動きに迷いを生じさせる負の感情がほとんど無く、この任務を達成するのに万全な状態だと分かったから。
万全の準備をして待っていた四人の騎士達は、目立たないよう艶消しされた灰輝銀製の甲冑に身を包み、腰には金剛鉄で出来た剣を差し、出撃の準備を済ませた。
「では、後の事は頼む」
ディエスは、自分がいない間、騎士団長代理として第三騎士団本部の責任者となるシェーラに声をかけた。
「そちらこそ、気を付けて下さい」
シェーラは、胸の内で沸き起こる不安や期待や恐怖といった感情を全て抑え込み、四人の騎士達が無事に帰ってくる事を切実に祈った。
教会から告げられた魔獣の位置は、ここから南西に位置する貧民街:フラジェイス。神の死んだ街とも呼ばれるその街の中でも、特に混沌とした場所にある廃墟が、魔獣の住処となっているらしい。
「フラジェイス、神が死んだ街ですか。いかにも魔獣が隠れていそうな場所ですね」
徒歩での移動の最中、無言に耐えられなくなったヒュムスが会話の口火を切った。
「分かっていると思うが、今回討伐する魔獣は瞬間移動の魔法を使う。先手を打って殺しきらなければ、逃げられる可能性がある」
先頭に立って歩くバーデンがそう言う。
フラジェイスまでは徒歩で四時間ほどかかる。その間中ずっと張り詰めていては疲れてしまう。
「だから今回は馬で移動しないんですよね。貧民街で馬は目立ちすぎますから。というか、よく考えたら、瞬間移動できるんなら、もう対象がフラジェイスにはいない可能性もありませんか?」
ヒュマスはお喋りで、あまり考えないで話す癖がある。脊髄反射で口が動き、声帯が震えるタイプの人間なのだ。
だから、少し考えればわかりそうな質問をする。
「いなければ、それを教会に報告して次の情報を待つだけだ。瞬間移動のように強力な魔法は、使用者の魔力を大きく消費させる。伝説で語られるような大魔導士でなければ連発は出来ないのだ。ゆえに、瞬間移動した後しばらくは、民衆を大量虐殺するような大魔法を使う事も出来なくなるはずだ。それだけで充分に価値があるだろう」
ディエスに代わって、ギムレットがヒュマスの疑問に答える。
「でも、とっとと終わらせられるに越したことは無いわ。不毛な追いかけっこは嫌だもの。そう思わない?」
ギムレットの問いかけに、ヒュマスに代わって答えたのはシアン。
シニカルな笑みを浮かべたシアンに、ギムレットは顔を顰めた。
ギムレットとシアンは馬が合わない。自己犠牲の精神が強いギムレットと、正直な利己主義者であるシアンが対立するのは、ある意味必然だと言える。
そんな二人が同じ部隊にいるのは、バーデンのカリスマによるものだ。彼の圧倒的な実力と、理想を追いかける姿には、人を惹き付ける力がある。
「なんにせよ、敵がいる前提で乗り込む事に変わりはない。我々がやっているのは命のやり取りだ。しくじったら次は無い以上、眼前の仕事に全力に取り組む事に集中すべきだ」
バーデンの仲裁で、二人の論戦の口火は消化された。
このような口論はいつもの事だ。それどころか、論戦が始まる前に終わった分、いつもより穏やかだと言える。
バーデンは普段通りの二人の会話を聞いて、安心していた。
自分を含む四人の騎士に緊張や不安などの瞬時の動きに迷いを生じさせる負の感情がほとんど無く、この任務を達成するのに万全な状態だと分かったから。
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