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10-1. 信者の信じる神
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第三騎士団本部で革命が起こった夜、勇者とその監視役は、貧民街から更に郊外へと進む最中、突然の雨に曝されていた。
雨宿りが必要だと思われるほど強い雨脚では無かったのだが、閑散とした道中で雨宿りに最適な営業中の宿屋を運命的に見つけ、幸いにも空き部屋が二部屋分あったため、ラリア達はこの宿屋で一晩を明かす事にした。
お世辞にも睡眠に適しているとは言い難い硬いベッドと、木製の簡素な椅子とテーブルだけが室内にあり、薄い壁越しに雨音がよく聞こえる簡素な部屋だった。歩くたびに床板の木が悲鳴を上げているかのような音を出した。店番をしていた店主曰く、「これでも、この宿の内で最も良い部屋なんだ」という。
部屋に入ったディエスは今日の出来事を纏めた報告書したためた後、泥のように眠ってしまった。
昨日までは、ラリアがいつ起きても物音で分かるように、最低限の睡眠以外は取っていなかったのだが、流石のディエスも体力の限界だった。心のどこかで、もし熟睡してしまったとしても、ラリアは起こしてくれるだろうという気がしていたのかもしれない。
一方でラリアは、明日からの行動に備え、すぐにベッドに横になった。
微睡んでいる最中、ラリアは神の声を聞いた。いつもと同じ、無機質で荘厳な声音で、神は次のように告げた。
『鳥人の翼の秘密を教えよう。すぐに一人で東へ向かえ。さすれば君は、私の唯一の理解者と成り得るだろう。あるいは君は、私の唯一の敵対者となるだろう』
今までの天啓とは違い、自分一人だけに語りかけてくるような言葉遣いや、具体的な行動指針が示されていることに、ラリアは戸惑った。だが、神からの御言葉に疑義を呈するという選択肢は、敬虔な神の信徒であるラリアには無かった。
天啓を聴き終えて目が覚めたラリアは、告げられた言葉に従い、ディエスを残して一人で宿屋を出た。店番がいなかったため、部屋に宿代を置いておいた。
未だ暗闇と雨音が周囲を支配する中、東に向かって進む。王国全土の地図を暗記し、自分が地図上のどこにいるのかを理解しているラリアは、どの方向が東かを正確に認識しているため、迷う事はない。
整備が整っていない泥濘んだ道を歩きながら、ラリアは先ほどの天啓の意味を考えた。
過去の天啓を鑑みるに、『鳥人達』とは、恐らく以前会った女性やムルドのような存在を示唆しているのだと思われる。ならば『翼の秘密』とは、人間とムルドのような存在との違いに関する秘密だろう。この秘密を知ることが出来れば、無罪の『鳥人達』を、救済すべきか断罪すべきかが分かるはずだ。
だが、その秘密を知った時、神に対して敵対する可能性が出てくるとはどういう事なのだろう。たとえ何を言われようとも、神に敵対するなどという愚かな行為を取るはずがないというのに。
雨宿りが必要だと思われるほど強い雨脚では無かったのだが、閑散とした道中で雨宿りに最適な営業中の宿屋を運命的に見つけ、幸いにも空き部屋が二部屋分あったため、ラリア達はこの宿屋で一晩を明かす事にした。
お世辞にも睡眠に適しているとは言い難い硬いベッドと、木製の簡素な椅子とテーブルだけが室内にあり、薄い壁越しに雨音がよく聞こえる簡素な部屋だった。歩くたびに床板の木が悲鳴を上げているかのような音を出した。店番をしていた店主曰く、「これでも、この宿の内で最も良い部屋なんだ」という。
部屋に入ったディエスは今日の出来事を纏めた報告書したためた後、泥のように眠ってしまった。
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一方でラリアは、明日からの行動に備え、すぐにベッドに横になった。
微睡んでいる最中、ラリアは神の声を聞いた。いつもと同じ、無機質で荘厳な声音で、神は次のように告げた。
『鳥人の翼の秘密を教えよう。すぐに一人で東へ向かえ。さすれば君は、私の唯一の理解者と成り得るだろう。あるいは君は、私の唯一の敵対者となるだろう』
今までの天啓とは違い、自分一人だけに語りかけてくるような言葉遣いや、具体的な行動指針が示されていることに、ラリアは戸惑った。だが、神からの御言葉に疑義を呈するという選択肢は、敬虔な神の信徒であるラリアには無かった。
天啓を聴き終えて目が覚めたラリアは、告げられた言葉に従い、ディエスを残して一人で宿屋を出た。店番がいなかったため、部屋に宿代を置いておいた。
未だ暗闇と雨音が周囲を支配する中、東に向かって進む。王国全土の地図を暗記し、自分が地図上のどこにいるのかを理解しているラリアは、どの方向が東かを正確に認識しているため、迷う事はない。
整備が整っていない泥濘んだ道を歩きながら、ラリアは先ほどの天啓の意味を考えた。
過去の天啓を鑑みるに、『鳥人達』とは、恐らく以前会った女性やムルドのような存在を示唆しているのだと思われる。ならば『翼の秘密』とは、人間とムルドのような存在との違いに関する秘密だろう。この秘密を知ることが出来れば、無罪の『鳥人達』を、救済すべきか断罪すべきかが分かるはずだ。
だが、その秘密を知った時、神に対して敵対する可能性が出てくるとはどういう事なのだろう。たとえ何を言われようとも、神に敵対するなどという愚かな行為を取るはずがないというのに。
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