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悪意の持ち主
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「うん、うん……それじゃあお願いします」
かのん君の電話が終わるまで、私は身動きが出来なかった。
「マネージャーに削除要請とこれからの対応を考えて貰ってるから」
「……ありがと」
かのん君の指が優しく私の髪を梳く。
「ごめんね。迷惑かけないつもりだったのに……」
「悪いのはかのん君じゃないよ」
「今日、俺泊っていこうか」
「ううん……大丈夫」
情けない顔をこれ以上見せたくなくて私はそう言った。かのん君は心配そうな顔をして、何度も何かあれば連絡するように、と何度も念を押して帰っていった。
『桜井さん、連絡ありがとう。かのん君が対処してくれました』
一報を知らせてくれた桜井さんにも連絡を入れておこう。メッセージするとすぐに返信が来た。
『知らせておいてなんだけど、ネット見ないようにね』
そうだなぁ……一体なんて書かれてあるのか。貼られてたっている写真も半目でなんか変な顔してるし、どうせ叩かれてるんだろうな。私は桜井さんにダメと言われたにも関わらず、検索してしまった。
「なにこのブス、普通すぎ、これはありえない……」
案の定、罵倒の言葉が並んでいる。写真一枚でよくこんなに騒げたものだ。所詮、ネット上の無責任な発言だと思いながらも……見ているとやっぱり動悸がする。まるで重い鉛を飲んだような気分になった。
「くっそ! へこんでたまるか」
私は洗い物とトイレ掃除と風呂場の排水溝と湯船を一気に洗った。へとへとになってとっとと寝てやる。
『真希ちゃん、大丈夫。俺そろそろ寝るよ』
風呂掃除のついでに入浴もして髪を拭いていると、かのん君からそんなメッセージが流れて来た。
『うん、悩んでも仕方ないから私ももう寝る』
そう返信する。それでも、なかなかその日は寝付かれなかった。
「おはよう、桜井さん」
「長田……、やっぱりネットで調べちゃったんでしょ」
「ごめん、気になっちゃって」
朝、出社して桜井さんと顔を合わせるとやっぱり言われた。桜井さんは頭をかきながら、やっぱりねと呟いた。
「見てもいいことないのに……この間かのん君の連絡先聞いとけば良かったかな」
「なんで?」
「かのん君ならこういうのの対処に慣れてるだろうし」
「慣れるもんなの?」
「いや、それは知らんけど。顔出してモデルなんて居ている以上、かのん君だって色々言われること多いだろうから」
そっか、有名人だもんね。それもメイク男子っていう特殊な立ち位置でもある。だからあんなに落ち着いていたのか。
「とにかく平常心! クソみたいな暇人に惑わされちゃだめよ」
「うん、もちろん」
そこからは気持ちを切り替えて、仕事に集中する事にした。
『真希ちゃん、一応中途報告』
昼休みを見計らったように、かのん君からメッセージが届く。
『今回、真希ちゃんが一般人という事で、事務所から弁護士に連絡してもらっています』
「弁護士……」
これは穏やかでない単語が出てきた。
『書き込み相手と、悪質な誹謗中傷の書き込みをした人物の特定に動いて貰っているから真希ちゃんは安心して』
『かのん君、そんなことして大丈夫なの?』
言っても、かのん君は人気商売だ。あんまり過激な事をするのはマイナスにならないだろうか。
『言ったでしょ、こそこそしてまでモデルはしたくないって。それに真希ちゃんを守るのは俺にとっては当然のことです』
「かのん君……」
かのん君の頼もしい言葉にちょっとホッとして、私はハートいっぱいのスタンプを連打した。このまま犯人が見つかって、二度とこんなことをしないで居てくれたらいい。その時の私は、単純にそう考えていたのだ。
かのん君の電話が終わるまで、私は身動きが出来なかった。
「マネージャーに削除要請とこれからの対応を考えて貰ってるから」
「……ありがと」
かのん君の指が優しく私の髪を梳く。
「ごめんね。迷惑かけないつもりだったのに……」
「悪いのはかのん君じゃないよ」
「今日、俺泊っていこうか」
「ううん……大丈夫」
情けない顔をこれ以上見せたくなくて私はそう言った。かのん君は心配そうな顔をして、何度も何かあれば連絡するように、と何度も念を押して帰っていった。
『桜井さん、連絡ありがとう。かのん君が対処してくれました』
一報を知らせてくれた桜井さんにも連絡を入れておこう。メッセージするとすぐに返信が来た。
『知らせておいてなんだけど、ネット見ないようにね』
そうだなぁ……一体なんて書かれてあるのか。貼られてたっている写真も半目でなんか変な顔してるし、どうせ叩かれてるんだろうな。私は桜井さんにダメと言われたにも関わらず、検索してしまった。
「なにこのブス、普通すぎ、これはありえない……」
案の定、罵倒の言葉が並んでいる。写真一枚でよくこんなに騒げたものだ。所詮、ネット上の無責任な発言だと思いながらも……見ているとやっぱり動悸がする。まるで重い鉛を飲んだような気分になった。
「くっそ! へこんでたまるか」
私は洗い物とトイレ掃除と風呂場の排水溝と湯船を一気に洗った。へとへとになってとっとと寝てやる。
『真希ちゃん、大丈夫。俺そろそろ寝るよ』
風呂掃除のついでに入浴もして髪を拭いていると、かのん君からそんなメッセージが流れて来た。
『うん、悩んでも仕方ないから私ももう寝る』
そう返信する。それでも、なかなかその日は寝付かれなかった。
「おはよう、桜井さん」
「長田……、やっぱりネットで調べちゃったんでしょ」
「ごめん、気になっちゃって」
朝、出社して桜井さんと顔を合わせるとやっぱり言われた。桜井さんは頭をかきながら、やっぱりねと呟いた。
「見てもいいことないのに……この間かのん君の連絡先聞いとけば良かったかな」
「なんで?」
「かのん君ならこういうのの対処に慣れてるだろうし」
「慣れるもんなの?」
「いや、それは知らんけど。顔出してモデルなんて居ている以上、かのん君だって色々言われること多いだろうから」
そっか、有名人だもんね。それもメイク男子っていう特殊な立ち位置でもある。だからあんなに落ち着いていたのか。
「とにかく平常心! クソみたいな暇人に惑わされちゃだめよ」
「うん、もちろん」
そこからは気持ちを切り替えて、仕事に集中する事にした。
『真希ちゃん、一応中途報告』
昼休みを見計らったように、かのん君からメッセージが届く。
『今回、真希ちゃんが一般人という事で、事務所から弁護士に連絡してもらっています』
「弁護士……」
これは穏やかでない単語が出てきた。
『書き込み相手と、悪質な誹謗中傷の書き込みをした人物の特定に動いて貰っているから真希ちゃんは安心して』
『かのん君、そんなことして大丈夫なの?』
言っても、かのん君は人気商売だ。あんまり過激な事をするのはマイナスにならないだろうか。
『言ったでしょ、こそこそしてまでモデルはしたくないって。それに真希ちゃんを守るのは俺にとっては当然のことです』
「かのん君……」
かのん君の頼もしい言葉にちょっとホッとして、私はハートいっぱいのスタンプを連打した。このまま犯人が見つかって、二度とこんなことをしないで居てくれたらいい。その時の私は、単純にそう考えていたのだ。
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