ごめんね、足りなかったよね。

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3章 こんな私でも

159話 報い

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159話 報い
「あなたたち、来なさい」
 一方、ハイスクールの教室。放課後の自由な時間、あの3人組は今日も談笑していた。彼女たちは何かよくわかっていないようで、首をかしげている。そう言う先生の顔は鬼のそれ。ご立腹だ。
「なんですか、先生」
「いいから来なさい。3人ですよ」
「……?」
 頭上にハテナ。心当たりがない。先生は先を歩き、3人はおとなしくついていく。放送室だ。ドアを開け3人を入れると、しっかりとドアを閉めた。
「あなたたちのことはずっと見たり聞いたりしてきましたよ。一体、これは何ですか」
「……?」
 テーブルに広げられた、大小さまざまなレコーダー。全部手のひらサイズのもの。ここまで来ても3人はしらばっくれる。先生は、さらに言葉で追い詰めるほか選択肢がなかった。
 こういう人は、変われない。
「これはあなたたちの音声データです。もちろん覚えていますよね? 忘れるはずがありませんよね?」
「何のことですか?」
「忘れるはずがない? 何をおっしゃっているのですか?」
「さっさと帰らせてください」
 先生は溜め息をつくと、ひとつのレコーダーを手に取った。再生ボタンを押すと、ジジッと音がして音声が流れる。
『暇~。面白いことない?』
『ほんとそれ。なんかないの?』
『それならあれじゃない? あそこの人、なんか~ズレてるよね?』
 彼女たちは過去のことなんて何も覚えていない。ただ、3つの声は同じで、言い逃れなんかできなかった。いや、そもそも、なぜ、こんなもの――。
『ん?』
『顔が醜い』
『わかる~』
『声小さいし、なんて言ってるのか分かんないんだよね』
『わざとじゃない?』
『男に媚びてるらしいよ』
『気持ち悪い!』
『あの顔で? ないわ~。鏡見るといいよ』
『自信過剰~』
『ねえねえ、新しい遊び思いついちゃった……!』
 続きはあるのだけど、長くなるから、と先生は停止ボタンを押した。
「あなたたちの会話を録音したレコーダーを集めました。まだ逃げますか? 言い訳をしますか?」
「何ですかこれ!」
「偽物です! こんな発言!」
「私は何もしていません!」
 ひとりが口を開き、ふたりと違うことを言う。ふたりは一斉にひとりを見つめ、さっと青ざめた。
「この人たちが悪いんです! 私は乗せられて……!」
 あまりに必死だったけど、3人とも同罪で。
「いいえ! 先生! ふたりが悪いんです!」
「私は口車にのせられただけです!」
「やめなさい。うるさい口を閉じてください」
 突き放した一言に、3人は貶し合いをやめる。
「先生!」
「事実でしたね。では、私は上に報告します」
「待ってください!」
 慌てて追いかけたとしても、行き過ぎた彼女たちに止める資格はなかった。先生は鍵を解除し、外の冷たい風を部屋に取り入れた。
「私たちは無罪です!」
 先生は溜め息をつき、ドアをゆっくり閉めて言い残す。
「ああそうでした。自主退学をお勧めしますよ。これを公にしたくなければ、ね」
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