あなたが初めて

はなおくら

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「マリーさんだね、待っていましたよ。」

「よろしくお願いします。」

 ロイドさんは厳格でありながらも優しい笑顔を浮かべて頷いてくれた。

「旦那様と奥様が今旅行中でいないから、ご子息にご紹介しますよ。」

 わたしは頷いてロイドさんについていった。

 ご子息と言ったらノア様しかいない。

 突然会ってどう思われるか不安では、あったけれど覚悟を決めて会う事にした。

「ノア様、新しい使用人をお連れしました。」

「入ってくれ。」

 緊張しながらロイドさんに続いて部屋に入った。

「…君は…!」

 ノア様はわたしの顔をみるなり、目を見開き驚いた表情を浮かべている。

 わたしは何も言わずにお辞儀を返した。

「…お知り合いですか…?」

 戸惑うロイドさんを横目にわたしは何も言わずにいると、ノア様が話し出した。

「ロイド、すまないが少し席を外してくれ。」

「あの…わかりました…。」

 不思議そうに戸惑った様子で頷くとロイドは部屋を出ていった。

「マリー嬢、なぜ君が使用人としてここにいるんです?」

 低い声で問い詰められて、わたしは胸が痛んだが正直な気持ちを話した。

「わたしはノア様が好きです。あなたに気持ちがなくても諦めたくありません…見返りは期待しません…しばらくでいいんです。どうかあなたを好きでいさせてください。」

 彼を見つめると困った表情をされた。

「君の気持ちに応える気はないんだ。帰ってくれ…。」

 ノア様は顔を背けた。

 わたしは諦めたくなくて口を開いた。

「諦めません…見返りなんていりません!気が済んだら出ていきます!」

「マリー嬢…。」

 わたしの勢いに押されてノアはそれ以上何も言わなかった。

「君の好きにするといい…。」

 そう言って部屋を出るように言われる。

「ありがとうございます…。」

 わたしは気落ちして部屋を出た。

 拒絶されるとわかっていても実際に聞いてしまうとかなり応えるものだと思った。

 それからわたしは誰よりも朝から早く起きて業務に勤しんだ。

 一緒に働く同僚はわからないことは丁寧に教えてくれるので、困ることはなかった。

 その間ノア様に会うことは無かった。

 そんなとある日、わたしは朝起きて水辺で顔を洗おうとした時、少し離れたところに声を殺して泣いている少女が見えた。

「どうされたのですか?」

 私が話しかけると、その子はでいじめられて耐えられず泣いていたのだとはなした。

「洗濯です。」

 よくみると大きい桶1人では処理しきれないほどの量の洗濯物がはいっている。

「一緒にやります。」

 止める彼女の横でわたしは手を動かした。
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