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「あなた方は、何が目的で私をここへ…?」
恐る恐る尋ねると、監視の1人が何も言わずに立ち上がり部屋を出た。
後を追おうとしたがもう1人の監視に止められる。
下手に行動してはと私はおとなしくすることにした。
しばらくすると、ドアが開いた。
ドアの向こうの人物を見たとき、わたしは驚いた。
「あなたがなぜここにいるのですか…?」
それは、ハーブ嬢の父ルーマー男爵だった。
私の顔を見て、ルーマー男爵は申し訳なさそうに膝を床について涙を流していた。
「プライアー公爵夫人…申し訳ありません…。」
目の前で涙を流す男は何を考えてるのかわからなかった。
「ルーマー男爵…何故この様な事を?…何か事情があるのですか?」
私がそう尋ねると、ルーマー男爵は監視を外に出して言った。
「申し訳ありません…。わたしめがこの様な事を言うのはおかしいとは思いますが、プライアー公爵と離縁してください…。」
どういう事なのわからない。
「何故あなたが…?…それにこんな事をすればただでは済まないのですよ?」
「わかっております…しかし…わたしは愛する娘の望みを叶えてやりたいのです。」
ルーマー男爵は、身体を震わせて懇願してくる。
わたしは、戸惑いながらもそこに首を振った。
「それはできません…。いっときはハーブ嬢に頼んでしまい迷惑をかけましたが、私達は今ようやく思い会えたのです。できません…。」
私の返答を聞くと、ルーマー男爵はおもむろに立ち上がった。
「…どうしてもダメなのですか?あなたなら他にもたくさんの出会いがあるはずです。それにこのおいぼれの願いでもあります…どうか娘に譲ってやってください。」
彼に言われてもわたしの意見は揺るがなかった。
「…ごめんなさい…。」
彼の父親としての娘への愛に、同情したがそれでも譲れないものがあった。
わたしの返答に、ルーマー男爵は手の拳を握りしめて言った。
「……でしたら仕方ありません…。ここであなたには…消えてもらいます。」
「えっ…?」
戸惑うわたしの目の前で、ルーマー男爵は指を鳴らすと先ほどの護衛達が入ってきた。
彼らは、大きな剣を構えて私に近寄ってくる。
一歩下がれば、一歩近づいてくる。
気づけばわたしは部屋の窓際に立たされていた。
目の前の剣を振り翳されれば私は終わりだろう。
生命の危機を感じた時、私の脳裏にはわたしを待ってくれているハリアの顔があった。
恐れに負けてはダメだと、彼の元へ必ず帰ると心の中で近い、後ろ手で、窓の鍵を静かに空けた。
ジリジリと近づく2人を見つめながらタイミングを探した。
恐る恐る尋ねると、監視の1人が何も言わずに立ち上がり部屋を出た。
後を追おうとしたがもう1人の監視に止められる。
下手に行動してはと私はおとなしくすることにした。
しばらくすると、ドアが開いた。
ドアの向こうの人物を見たとき、わたしは驚いた。
「あなたがなぜここにいるのですか…?」
それは、ハーブ嬢の父ルーマー男爵だった。
私の顔を見て、ルーマー男爵は申し訳なさそうに膝を床について涙を流していた。
「プライアー公爵夫人…申し訳ありません…。」
目の前で涙を流す男は何を考えてるのかわからなかった。
「ルーマー男爵…何故この様な事を?…何か事情があるのですか?」
私がそう尋ねると、ルーマー男爵は監視を外に出して言った。
「申し訳ありません…。わたしめがこの様な事を言うのはおかしいとは思いますが、プライアー公爵と離縁してください…。」
どういう事なのわからない。
「何故あなたが…?…それにこんな事をすればただでは済まないのですよ?」
「わかっております…しかし…わたしは愛する娘の望みを叶えてやりたいのです。」
ルーマー男爵は、身体を震わせて懇願してくる。
わたしは、戸惑いながらもそこに首を振った。
「それはできません…。いっときはハーブ嬢に頼んでしまい迷惑をかけましたが、私達は今ようやく思い会えたのです。できません…。」
私の返答を聞くと、ルーマー男爵はおもむろに立ち上がった。
「…どうしてもダメなのですか?あなたなら他にもたくさんの出会いがあるはずです。それにこのおいぼれの願いでもあります…どうか娘に譲ってやってください。」
彼に言われてもわたしの意見は揺るがなかった。
「…ごめんなさい…。」
彼の父親としての娘への愛に、同情したがそれでも譲れないものがあった。
わたしの返答に、ルーマー男爵は手の拳を握りしめて言った。
「……でしたら仕方ありません…。ここであなたには…消えてもらいます。」
「えっ…?」
戸惑うわたしの目の前で、ルーマー男爵は指を鳴らすと先ほどの護衛達が入ってきた。
彼らは、大きな剣を構えて私に近寄ってくる。
一歩下がれば、一歩近づいてくる。
気づけばわたしは部屋の窓際に立たされていた。
目の前の剣を振り翳されれば私は終わりだろう。
生命の危機を感じた時、私の脳裏にはわたしを待ってくれているハリアの顔があった。
恐れに負けてはダメだと、彼の元へ必ず帰ると心の中で近い、後ろ手で、窓の鍵を静かに空けた。
ジリジリと近づく2人を見つめながらタイミングを探した。
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