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 近寄る2人の動きを見つめながら、窓の扉を開けた。

 その瞬間監視の2人が飛びかかってきた。

「っ…ハリア…!」

 あまりの恐ろしさに身体をこわばらした。

「まてっ!」

 目を開けると、悲しそうにしているルーマー男爵が、こちらを見ている。

 監視の2人は、ルーマー男爵に止められてこちらの様子を伺っている。

「……行ってください…。」

「えっ…?」

「……申し訳ありません…。」

 ルーマー男爵はそう告げると、監視を連れて部屋からでていった。

 置いてかれたわたしの頭は何が何だかわからず混乱している。

 でも命が助かった事を安心した途端、ハリアに会いたくなった。

 部屋を出ると誰もいない、屋敷の外の門に行っても誰もいなかった。

 わたしは近くの街に行き、ハリアの待つ屋敷へと馬車に乗った。

 御者にここはどこかと尋ねると、そこはルーマー男爵の領地であり、わたしの住む屋敷のすぐ近くだということがわかった。

 正直、もうルーマー男爵家には、関わりたくないと思ったが、彼が見せた父親としての想い、そして最後わたしの命を取らなかった事を考えるとなんとも言えない寂しさを感じていた。

 自分の屋敷に着いた時には身体もフラフラだった。

 身体を引きずりながら、屋敷の中に入ると、玄関ではわたしがいないと大騒ぎになっていた。

 屋敷の執事はわたしを見ると、驚いた様子で近づいてきた。

「奥様、よくご無事で…急ぎ公爵様をお呼びします。」

 それに小さくうなずく。

 屋敷の給仕に支えられて、ソファに座らされた。

 しばらく待っていると、ハリアが入ってきた。

「…ハリアっ…!」

 彼の顔を見てとても安心した。

 そして生きて会えたことが嬉しくて彼に力いっぱい抱きしめた。

 するとハリアもわたしの背中に手を回して、抱きしめてくれた。

 彼の手が震えているのを背中で感じていた。

「…心配かけて…ごめんなさい…。」

「セレーナ…もう大丈夫だから…。すまない…君をこんな目にあわせて…。」

 彼の口ぶりから何かわかっている様子だった。

「セレーナ…よかった…。」

 再びわたしの身体を抱きしめる彼にわたしも縋るように抱きしめ返した。

 数日後、ルーマー男爵とハーブ嬢が屋敷を訪れた。

 ハリアが不在の為、私の部屋に内内で招き入れた。

 ルーマー男爵とハーブ嬢は、私の顔を見るや否や、床に手をついた。

「プライアー公爵夫人、取り返しのつかない事をしてしまい申し訳ありませんでした。」

 涙ながらに謝るルーマー男爵の隣で、訳を聞いたのかハーブ嬢も悲痛の表情で頭を下げていたのだった。
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