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「父の行いを聞き、急いで謝罪に参りました。どんな厳罰も受ける覚悟です。」

「いえっ!娘は何も知りませんっ!私が1人で行った事、どうかわたしにっ!」

 2人の姿を見ていると、命を狙われたことも気にならなくなった。

「ここまで反省しているのなら大丈夫でしょう…。二度と同じ過ちは繰り返さないと誓うならっ…。」

 最後まで言いかけた時だった。

「セレーナ、許す必要ないよ。」

 気づけば、ドア前で恐ろしいほど冷たい雰囲気を醸し出しているハリアがいた。

 彼のこの姿を見ると嫌な予感しかなかった。

 ルーマー男爵親子もハリアのこんな姿を初めて見たのか戸惑っている。

「ハリア…もう終わったことよ…事を大きくするのは…。」

 私は、必死に頼んだがいつも甘いハリアはそこにはいなかった。

「君が良くても、僕は許さないよ。この親子のせいで君を失うところだったんだから…。」

「ハリアっ…!」

 なんとかハリアの怒りを鎮めたくて手を掴むが彼には効かない。

 目の前のルーマー親子を見据える。

「セレーナが優しいからと、調子に乗ったみたいだね…僕はね、前から君たちの事を気に入らなくてしょうがないのを我慢してたんだ…。君たちはセレーナが頼まなければ相手にもしていない。」

 きつい言葉を並べるハリアに、ルーマー男爵は俯いていたが、ハーブ嬢は、傷ついた表情を浮かべていた。

「どう誠意を見せてくれるのかな?」

 ハリアの言葉に、ルーマー男爵は覚悟したように言った。

「如何様にも受けます…ですが…娘だけはお助けください。娘は何も知らなかったのです。」

「………。」

 何も答えないハリアを、わたしは見つめていた。

 その後、ルーマー男爵を裁判にかける事になり、2人を半ば強引に帰らせた。

 わたしの部屋で、ハリアは窓の外を見つめている。

「やっぱり、気づいてたのね…。」

「…あぁ…。」

「…いつから?」

 私がそう聞くとハリアは頭を抱えて答えた。

「君が連れ去られてすぐだよ。八つ裂きにしてやりたくて、行動を起こそうとした直後君が戻ってきた。」

 ハリアはこちらに目を合わせないが、ひどく怒っている様子だった。

「心配かけてごめんなさい…。でもわたしを解放してくれたのはルーマー男爵でもあるの…彼泣いてた…。」

「…だからなんだというんだ…!僕から大切なものを奪ったんだ。」

 手を握り怒る彼を後ろから抱きしめる。

「ごめんなさい…。でも許してあげてほしい…もう二度とこんな事しないはずよ…。」

「君は僕の気持ちをわかってないっ…!」

 そういうと、ハリアは部屋を出ていった。
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