37 / 44
37
しおりを挟む
嬉しい…。
これまでの事が、何もかもどうでもよく思えてきた。
今までこんなに自分の事を思ってくれた彼を見るのは初めてだった。
すると彼は、私の背中に手を回して抱き寄せると柔らかい口調で言った。
「もう、周囲の人間の事は気にしなくていい…。ジェニと私がどうしたいかを考えよう…。」
彼の言葉が、自分の中にすーっと入ってきた。
「はい…私もそれを望んでいます…。」
それからは驚くほど素早く事が進んだ。
アレクは、周りの反対を押し切り私との婚約をするや否や、私の実家に絶縁状を送った。
彼の両親は、彼の行動に何も言わずにお互いの愛人と余生を、過ごすため隠居した。
わたしが彼の側に居たいと頼んだアレクの母も、苦手ではあったが、
「貴方は愛する人を見つけたのね…。」
そう私に言い残し、花束の祝福を手渡してくれ早々に屋敷を出た。
彼女にも私の知らない想いがあったのだろうと思った。
そして私の実家に絶縁状を送った事を私は後に聞かされた。
彼はなんともいえない顔で私をみてすまないと謝ってきたが、既に縁を切られている。何も気にしなかった。
「君から家族を奪ってしまったな…。」
「元より縁を切られていた身です。アレク様がそうしてくださって私は感謝しています。」
「……。もし…いつの日か分かり合える日が来るのなら、その時は力になろう…。」
「ありがとうございます。」
何も言わずに行動した割にはその事を反省している姿が可愛らしくて私は柄にもなく彼の頭をそっと抱いた。
「………。」
しばらくして彼が何も言わないことに気がついた。
「アレク様…?」
まずい事をしてしまったのではないかと手を離そうとしたその時、彼が私の動きを止めるようにして、私の胸の間から顔を覗かせた。
彼は真っ赤な顔をしながら熱烈な瞳で私を見つめていた。
「あまり見つめないで…恥ずかしい…。」
私がそう言って視線を逸らしても彼はこちらを見つめて手の力も込めて逃げられないようにされる。
「アレク様…。」
そう私が口にすると今度は不満な顔をもろに出して言った。
「その呼ばれ方は好きじゃない。」
彼の冷たい視線に、婚約を破棄された時の気持ちを思い出して慌ててしまう。
「で…ですがなんとお呼びしていいのか…。」
すると彼は、私の心中を察したのかわたしに軽くキスを落とすと、わたしの耳元で低く囁いた。
「アレク…。君にはそう呼ばれたいな…。」
身体の芯から熱くなった。口が開いたまま塞がらない。
「アレク様…そっ…!」
言葉を返そうとしたその時。
これまでの事が、何もかもどうでもよく思えてきた。
今までこんなに自分の事を思ってくれた彼を見るのは初めてだった。
すると彼は、私の背中に手を回して抱き寄せると柔らかい口調で言った。
「もう、周囲の人間の事は気にしなくていい…。ジェニと私がどうしたいかを考えよう…。」
彼の言葉が、自分の中にすーっと入ってきた。
「はい…私もそれを望んでいます…。」
それからは驚くほど素早く事が進んだ。
アレクは、周りの反対を押し切り私との婚約をするや否や、私の実家に絶縁状を送った。
彼の両親は、彼の行動に何も言わずにお互いの愛人と余生を、過ごすため隠居した。
わたしが彼の側に居たいと頼んだアレクの母も、苦手ではあったが、
「貴方は愛する人を見つけたのね…。」
そう私に言い残し、花束の祝福を手渡してくれ早々に屋敷を出た。
彼女にも私の知らない想いがあったのだろうと思った。
そして私の実家に絶縁状を送った事を私は後に聞かされた。
彼はなんともいえない顔で私をみてすまないと謝ってきたが、既に縁を切られている。何も気にしなかった。
「君から家族を奪ってしまったな…。」
「元より縁を切られていた身です。アレク様がそうしてくださって私は感謝しています。」
「……。もし…いつの日か分かり合える日が来るのなら、その時は力になろう…。」
「ありがとうございます。」
何も言わずに行動した割にはその事を反省している姿が可愛らしくて私は柄にもなく彼の頭をそっと抱いた。
「………。」
しばらくして彼が何も言わないことに気がついた。
「アレク様…?」
まずい事をしてしまったのではないかと手を離そうとしたその時、彼が私の動きを止めるようにして、私の胸の間から顔を覗かせた。
彼は真っ赤な顔をしながら熱烈な瞳で私を見つめていた。
「あまり見つめないで…恥ずかしい…。」
私がそう言って視線を逸らしても彼はこちらを見つめて手の力も込めて逃げられないようにされる。
「アレク様…。」
そう私が口にすると今度は不満な顔をもろに出して言った。
「その呼ばれ方は好きじゃない。」
彼の冷たい視線に、婚約を破棄された時の気持ちを思い出して慌ててしまう。
「で…ですがなんとお呼びしていいのか…。」
すると彼は、私の心中を察したのかわたしに軽くキスを落とすと、わたしの耳元で低く囁いた。
「アレク…。君にはそう呼ばれたいな…。」
身体の芯から熱くなった。口が開いたまま塞がらない。
「アレク様…そっ…!」
言葉を返そうとしたその時。
0
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~
岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。
「これからは自由に生きます」
そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、
「勝手にしろ」
と突き放した。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される
あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた……
けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。
目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。
「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」
茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。
執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。
一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。
「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」
正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。
平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。
最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる