愛しい心は千歳よりさらに

はなおくら

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 キヨがそう聞くときつなが答えた。

「修行といってもシンプルなものです。森の中で瞑想を行っていただき自分の身体に流れるエネルギーを回して行くのです。」

「エネルギーをまわす…なかなかむ難しいと…。」

 頭でイメージしてみるがなかなか出来そうにない。

「何回かやって行くと自分自身の向いてる分野が出てくるでしょう。」

「…分野?」

 キヨがそう返すときつめが言った。

「はい、過去ではもっとも多かったのは回復の能力他にもありますが、それぞれ人の持つ個性なので何が出るかはわかりません。」

 頭で理解するのにはなかなか出来ないのでキヨは行動に移す事にした。

 きつめときつなに連れられてついた場所は、人も獣も介入していないであろう森の中だった。

 草が自分の背丈以上に生い茂り空を見上げても暗い印象を受けた。

「キヨ様、ここで一日一人で瞑想を行なっていただきます。」

 できるかどうか先が見えない不安に駆られたがキヨはその場に座り込み目を閉じた。

「では僕達はひとまずここを離れます。頑張ってください。」

 そういうときつめときつなは姿を消した。

「本当にできるのかしら?」

 半信半疑になりながらも目を閉じた。

 だがいざやってみても頭の中では、今吉との別れの事やいらぬ雑念が降ってくる。

 この日はうまくいかずにきつめときつなに呼ばれて途方にくれて帰路についたのだった。

 それから何日も何日も同じことを繰り返した。
 するとやっていくうちに自分の身体に流れる気が身体を包んでいることを理解してきた。

「不思議…。」

 キヨは驚いていた、ついこの間はこの流れてくる気すら感じ取れなかったのに。

 そして何度も何度も同じことを続けて行くと次第に目にみえるようになってきた。

 自分の体から溢れる気を体中に流して行く。

「この短期間でこれ程まで成長するとは…。」

 キヨが顔を上げると獣神が嬉しそうにそう言った。

「神獣様?」

 キヨが神獣を呼ぶと神獣は言った。

「あの草木に手を翳してみよ。」

 キヨは言われたとおりに手をかざすと、向けた先の草木がキラキラと輝いて見えた。

「これは…。」

「そなたの持っているものは、浄化と癒しなのだろう。」

「浄化と…癒し?」

 キヨが聞き返すと獣神は一呼吸置いて話出した。

「そなたには二つの才が見受けられる。この場の浄化をして後その物体を癒し元気にする事ができるのだ。」

 獣神に説明されるが、自覚がなくぽかんとしてしまう。

「これほどの力が有ればそなたに勤めを任せても良いだろう。」

 そう言って獣神は笑った。

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