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妹の身代わりに

3.

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 一体、デルタは何がしたいのだろう。それがアルセンにはわからなかった。
 そのスケ感満載のナイトウェアを着たアルセンは、彼女が風呂からあがってくるまでソファで本を読んでいた。することが無いから、本を読むしかない。

「お待たせぇ」
 浴室から戻ってきたデルタ。濡れた髪をタオルで拭きながら、少し上気している頬。そして、アルセンと色違いのナイトウェア。
 本物の女性が着ると、ごくりと唾を飲み込みたくなるような絵面だ。いや、相手がデルタだからなのかもしれない。
 程よく日に焼けた肌と、白いナイトウェアが眩しく見える。

「あれ? アル。私に、欲情しないんじゃなかったんだっけ?」

 デルタは鋭い。アルセンの微細な下半身の変化を見逃さなかった。

「ねえ、アル? もしかして、私に欲情してるわけ?」
 ふんわりと石鹸の香りを漂わせたデルタが、アルセンの隣に座る。そして、その胸元に手を這わせ、ちょっと芯を持ち始めた下半身にも手を伸ばす。

「おい、やめろ。人が必死で耐えてるというのに」

「え、欲情、しちゃった? こんな服を着せられて、興奮しちゃったわけ? 変態」

 そこでデルタがアルセンの唇に、自分の唇を重ねた。優しく触れるだけのキス。だけど、焦らすかのようにゆっくり時間をかけて。面白いくらいに触れているだけの彼の象徴が熱を帯びてくる。

「な、何をするんだ。ディー」
 慌ててアルセンがデルタの肩を掴んで、自分から引き離した。

「ん? 本当にアルが私に欲情しないかの確認中……」

「お前。人が必死で耐えてるのに。煽ってんじゃねーよ」

「耐えてる? 煽ってる? 欲情してんじゃん」

「ああ、してる」

「開き直ってるし」

「違う。ああでも言わないと、自分が抑えられないからに決まってんだろ。バカ」

「え」

「煽った責任、取れよ」
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