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デートの約束(1)
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僻地赴任から戻ると休暇が与えられる。国境を脅かしていた魔物討伐を無事に終え、戻ってきた第三騎士隊と第五騎士隊は束の間の休息に入った。
そしてなんとも運が良いことに、休暇と建国祭の時期が重なった。建国祭とはその名の通り、国が作られた日を祝うお祭りで数日間開かれる。騎士隊も交代制で任務につかなければならないが、僻地帰りの第三と第五はその任務の除外対象になった。
僻地赴任から無事に戻ってきた第三騎士隊隊長のエドガーは、今回の報告書を作成するために王宮内の敷地にある騎士団の詰所に来ていた。他の隊員たちには休暇を命じてある。
本来であれば、エドガーの報告も休暇明けで良いのだが、エドガー自身が休暇といっても特にやることも無いため、ここに来ていた。
休暇中も、寝て、起きて、食べて、訓練して。それを自宅で済ませるだけにすぎない。寂しい男である。
「なんだ、来てたのか」
と、声をかけてきたのは第四騎士隊隊長のロビーという男。
「第三は休暇に入ったんだろ」
「報告書の提出がある」
眉一つ動かさず、もちろん顔もあげず、エドガーは答えた。
「そんなの休暇明けでいいだろ。見てみろよ、第五なんて来てないじゃないか」
ロビーが顎でさしたのは、マーティンの席。その机の上はもちろんきれいに片付けられていた。
「あの男と一緒にするな」
やはり顔をあげることなく、ふん、と彼は鼻で息を吐いた。
「いいよなぁ、第三と第五はよ」
と、ロビーは自分の席の椅子の背もたれを抱く形で座った。そしてうらやましそうに、エドガーを見ている。エドガーとしてはじーっと見られている形になるので、少々気持ち悪いのだが、そちらに視線を向けるようなことはしない。ロビーと目が合ってしまったら負けのような気がするからだ。
「何が、だ?」
やはり報告書に視線を落としたまま尋ねた。
「だってよ。今回の休暇と建国祭の時期がまるまるっと重なってるんだぜ。こんなおいしい話があるかよ」
「祭り、行きたいのか?」
やっと報告書から目をあげたエドガーはロビーに視線を向けた。
「そりゃ、行きたいだろ。俺にはかわいい嫁さんがいるんだから」
そうだった。ロビーは既婚者であった。
実はこのロビーも、エドガーとマーティンの同期入隊。隊長になったのは二人よりも一年遅いが、その年に結婚をしたことをエドガーは思い出した。
「休みを変わってやりたいのはやまやまだがな。隊長が祭りで遊んで呆けて、部下に任務を任せては示しがつかないだろう」
エドガーはまた報告書に視線を戻しながら言う。
「お前にはいないのかよ、一緒にお祭りに行くような相手」
床を足で蹴り、シャーっと車輪付きの椅子に座ったまま、ロビーはエドガーへと近づいてくる。
ふと、エドガーは書類に走らせていたペンを止めた。
一緒に行くような相手、だと?
その言葉で、なぜかあのマーティンの妹が浮かぶ。
「なんだよ、いるのかよ」
楽しそうに、ロビーが尋ねた。
「一緒に行くような相手ではない。一緒に行きたい相手だ」
真面目にエドガーが答えると、へぇとロビーは楽しそうに首を何度も縦に振りながら。
「じゃあさ、誘ってみればいいんじゃない?」
「どうやって?」
「どうやってって。会った時に、一緒に行こうって、言ってみるとか」
まさかエドガーからこのようなことを聞かれるとは思ってもいなかったが、彼にそう思えるような相手ができたということを少し嬉しく思うと同時に、楽しくもある。
「当分、会う予定は無い」
きっぱりとエドガーは答える。そう、会う予定は無い。約束もしていないし、どうやって約束をとりつけたらいいかさえもわからない。
「じゃ、手紙でも書いてみろよ?」
手紙。エドガーは、そのロビーの提案を受け入れることにしてみた。
そしてなんとも運が良いことに、休暇と建国祭の時期が重なった。建国祭とはその名の通り、国が作られた日を祝うお祭りで数日間開かれる。騎士隊も交代制で任務につかなければならないが、僻地帰りの第三と第五はその任務の除外対象になった。
僻地赴任から無事に戻ってきた第三騎士隊隊長のエドガーは、今回の報告書を作成するために王宮内の敷地にある騎士団の詰所に来ていた。他の隊員たちには休暇を命じてある。
本来であれば、エドガーの報告も休暇明けで良いのだが、エドガー自身が休暇といっても特にやることも無いため、ここに来ていた。
休暇中も、寝て、起きて、食べて、訓練して。それを自宅で済ませるだけにすぎない。寂しい男である。
「なんだ、来てたのか」
と、声をかけてきたのは第四騎士隊隊長のロビーという男。
「第三は休暇に入ったんだろ」
「報告書の提出がある」
眉一つ動かさず、もちろん顔もあげず、エドガーは答えた。
「そんなの休暇明けでいいだろ。見てみろよ、第五なんて来てないじゃないか」
ロビーが顎でさしたのは、マーティンの席。その机の上はもちろんきれいに片付けられていた。
「あの男と一緒にするな」
やはり顔をあげることなく、ふん、と彼は鼻で息を吐いた。
「いいよなぁ、第三と第五はよ」
と、ロビーは自分の席の椅子の背もたれを抱く形で座った。そしてうらやましそうに、エドガーを見ている。エドガーとしてはじーっと見られている形になるので、少々気持ち悪いのだが、そちらに視線を向けるようなことはしない。ロビーと目が合ってしまったら負けのような気がするからだ。
「何が、だ?」
やはり報告書に視線を落としたまま尋ねた。
「だってよ。今回の休暇と建国祭の時期がまるまるっと重なってるんだぜ。こんなおいしい話があるかよ」
「祭り、行きたいのか?」
やっと報告書から目をあげたエドガーはロビーに視線を向けた。
「そりゃ、行きたいだろ。俺にはかわいい嫁さんがいるんだから」
そうだった。ロビーは既婚者であった。
実はこのロビーも、エドガーとマーティンの同期入隊。隊長になったのは二人よりも一年遅いが、その年に結婚をしたことをエドガーは思い出した。
「休みを変わってやりたいのはやまやまだがな。隊長が祭りで遊んで呆けて、部下に任務を任せては示しがつかないだろう」
エドガーはまた報告書に視線を戻しながら言う。
「お前にはいないのかよ、一緒にお祭りに行くような相手」
床を足で蹴り、シャーっと車輪付きの椅子に座ったまま、ロビーはエドガーへと近づいてくる。
ふと、エドガーは書類に走らせていたペンを止めた。
一緒に行くような相手、だと?
その言葉で、なぜかあのマーティンの妹が浮かぶ。
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「当分、会う予定は無い」
きっぱりとエドガーは答える。そう、会う予定は無い。約束もしていないし、どうやって約束をとりつけたらいいかさえもわからない。
「じゃ、手紙でも書いてみろよ?」
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