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デートの約束(2)
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さて、今回の僻地赴任明けの休暇で、よし、と喜んでいたのは実はマーティンだった。いつもは交代任務のためか、ミレーヌをお祭りに連れ出してやることができなかったからだ。両親はいつものごとく、この祭りのために仕事で不在。ミレーヌに淋しい思いをさせていたのではないか、と毎年、気になって気になって仕方がなかった。
ところがこのとき、ミレーヌは一通の手紙を受け取っていた。差出人は第三騎士隊のエドガー。先日の御礼を兼ねて、建国祭を一緒に、と書いてある。御礼を兼ねて、とは書いてあるけれどこれはデートのお誘いではないのだろうか。
――やったわね、ミレーヌ。憧れの隊長とデートよ。
天の声は冷やかす。ミレーヌはその手紙を何度も読み返し、夢じゃないかしら夢じゃないかしら、と何度も思っていた。そのたびに天の声は、夢ではないわ、と言ってくれた。
そんな夢見心地の気持ちの中、彼女の部屋に現れたのは熊のような兄だった。
「ミレーヌ。今年はなんと建国祭に休みが取れた。兄さんと一緒に出掛けようではないか」
それって僻地帰りのただの休暇じゃないの、と思ったけれど、せっかくの休暇にも関わらずミレーヌを誘ってくれる兄の気持ちは、素直に嬉しい。
――ミレーヌ、お兄様からのお誘いも断ってはダメよ。
つまり、エドガーと兄と、三人で建国祭へ行けということか? とミレーヌは思ったが、そうじゃなーい、という天の声からの助言によって、日にちをずらして行けばよい、という結論に至った。
「お兄様からのお誘いはとても嬉しいのですが、今年はお友達からも誘われました。ですから、いつにいたしますか?」
建国祭は数日にわたって開かれている。エドガーから誘われたのは、その数日のうちの最も人出の多い日、つまり、お祭りが一番盛り上がる日。
「何、ミレーヌにも友達がいたのか。それは良かった。友達を大事にしなさい」
どうやらミレーヌには友達がいない、と兄に思われていたようだ。
まぁ、実際に騎士科の同学年の女子学生は数人しかいない。彼女らも卒業に向けて、今年は騎士見習いとして、祭りの警護に借り出されることだろう。
女性騎士は人数が少ない割には、需要がある。また、回転率も速い。国としてもこの需要と供給のバランスの悪さと、回転率の速さは問題である、と捉えているのだが。なぜか、騎士科を選ぶ女性が少ない。特にある年になると一気に減るらしい。そのある年に該当するのが、ミレーヌが騎士科を選んだ年の前後。
それも、あれのせいだろうな、と思う。
「友達に誘われたのはいつだ?」
マーティンが顔中にニコニコを浮かべながら尋ねた。
「ええと、十五の日です」
ミレーヌが答える。
「わかった。それ以外の日で考えておこう」
「はい。お兄様とお出かけできることを、楽しみにしております。それから、あの……。第三騎士隊の皆様は、どうされていますか?」
ミレーヌはあのことを思い出し、尋ねた。あのときの初めての回復魔法が気になっていた。
「皆、お祭りも控えていることもあって、ピンピンして動き回っているようだ。あのときの姿が嘘じゃなかったのか、と思えるくらいにな。ミレーヌのおかげで、我が第五騎士隊の評価はグッと上がった」
グッとで、右手で拳を握る。
「第五騎士隊のお役に立てて良かったです」
ミレーヌは上品に笑んだ。
「ああ、そうだ。ミレーヌの力は第三騎士隊にも第五騎士隊にも口止めをしておいた。魔導士がしたこと、ということにしてある。バレたら魔導科へ転科ということもありえるからな。騎士になりたい、というミレーヌの気持ちをふみにじるようなことはしない」
「ありがとうございます、お兄様」
本当に兄は優しい。そうやって、妹の意向を汲んでくれる。
「もし、ミレーヌの力をばらすような奴がいたら、尻叩き千回の刑だ」
それは、絶対に拒否したい刑だ。やられるような人が現れるとしたら、自業自得だと思うとともに、同情だけはする。
ところがこのとき、ミレーヌは一通の手紙を受け取っていた。差出人は第三騎士隊のエドガー。先日の御礼を兼ねて、建国祭を一緒に、と書いてある。御礼を兼ねて、とは書いてあるけれどこれはデートのお誘いではないのだろうか。
――やったわね、ミレーヌ。憧れの隊長とデートよ。
天の声は冷やかす。ミレーヌはその手紙を何度も読み返し、夢じゃないかしら夢じゃないかしら、と何度も思っていた。そのたびに天の声は、夢ではないわ、と言ってくれた。
そんな夢見心地の気持ちの中、彼女の部屋に現れたのは熊のような兄だった。
「ミレーヌ。今年はなんと建国祭に休みが取れた。兄さんと一緒に出掛けようではないか」
それって僻地帰りのただの休暇じゃないの、と思ったけれど、せっかくの休暇にも関わらずミレーヌを誘ってくれる兄の気持ちは、素直に嬉しい。
――ミレーヌ、お兄様からのお誘いも断ってはダメよ。
つまり、エドガーと兄と、三人で建国祭へ行けということか? とミレーヌは思ったが、そうじゃなーい、という天の声からの助言によって、日にちをずらして行けばよい、という結論に至った。
「お兄様からのお誘いはとても嬉しいのですが、今年はお友達からも誘われました。ですから、いつにいたしますか?」
建国祭は数日にわたって開かれている。エドガーから誘われたのは、その数日のうちの最も人出の多い日、つまり、お祭りが一番盛り上がる日。
「何、ミレーヌにも友達がいたのか。それは良かった。友達を大事にしなさい」
どうやらミレーヌには友達がいない、と兄に思われていたようだ。
まぁ、実際に騎士科の同学年の女子学生は数人しかいない。彼女らも卒業に向けて、今年は騎士見習いとして、祭りの警護に借り出されることだろう。
女性騎士は人数が少ない割には、需要がある。また、回転率も速い。国としてもこの需要と供給のバランスの悪さと、回転率の速さは問題である、と捉えているのだが。なぜか、騎士科を選ぶ女性が少ない。特にある年になると一気に減るらしい。そのある年に該当するのが、ミレーヌが騎士科を選んだ年の前後。
それも、あれのせいだろうな、と思う。
「友達に誘われたのはいつだ?」
マーティンが顔中にニコニコを浮かべながら尋ねた。
「ええと、十五の日です」
ミレーヌが答える。
「わかった。それ以外の日で考えておこう」
「はい。お兄様とお出かけできることを、楽しみにしております。それから、あの……。第三騎士隊の皆様は、どうされていますか?」
ミレーヌはあのことを思い出し、尋ねた。あのときの初めての回復魔法が気になっていた。
「皆、お祭りも控えていることもあって、ピンピンして動き回っているようだ。あのときの姿が嘘じゃなかったのか、と思えるくらいにな。ミレーヌのおかげで、我が第五騎士隊の評価はグッと上がった」
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「ありがとうございます、お兄様」
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