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男の集い(1)
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エドガーとミレーヌは、仲良く手をつないでお祭りの露店を見ていた。
ミレーヌが言うには。
「父も母も兄も、この時期は仕事が忙しいから。こうやってお祭りをゆっくり楽しんだことは無いのです」
誘ってよかったな、とエドガーは思う。
エドガーも任務以外では訪れたことが無いお祭りではあるが、任務では来ていたため、彼女よりもなんとなく祭りの雰囲気はわかっている、はずだ。
ミレーヌにとっては、初めて見るものもあるらしい。あれは何ですか? これは何ですか? と尋ねてくる。彼女を見ていると、表情がくるくるとかわり面白い。今も隣を歩く彼女は何かを食べているが、ものすごく変な顔をしている。
「エドガーさん」
そんな彼女を見ていたら、名を呼ばれた。
「どうかしたのか?」
「これ、ものすごく酸っぱいところがあるのです。そこだけ、食べてくれませんか?」
と、何かをのせたスプーンを口の前に差し出してきた。
「早く、口を開けてください」
言われたので、口を開けるしかない。彼女にスプーンを放り込まれた。
「ね? 酸っぱくないですか?」
と彼女は言うけれど、これは柑橘系の味。ものすごく酸っぱいわけではないのだが。
「これは、オレンジだろう?」
「やっぱり……。私、柑橘系が苦手なんです。じゃ、ここはエドガーさんが食べてください」
とまた、スプーンを差し出してくるので口を開ける。これではまるで、親鳥から餌を与えられる雛鳥ではないか。
少しそんなやりとりを続けていたのだが、彼女が満足したのか、いや、苦手な部分を全てエドガーが食べてしまったからなのか、残りは彼女が一人で黙々と食べ始めた。
少し歩くと、髪飾りを売っている露店があった。そこでミレーヌが立ち止まる。
「髪飾りが欲しいのか?」
エドガーは問う。
「いえ、はい、あの。訓練のときに髪を縛る紐が欲しいなと思いまして」
ミレーヌが答える。
「では、私からそれを贈らせてほしい」
――ミレーヌ、断ってはダメよ
今まで静かだった天の声。
「ありがとうございます」自然とミレーヌの口からその言葉が出た。
エドガーと二人で髪を縛るための組紐を選ぶ。訓練用なので、シンプルなものが良いだろう。赤八割と黒二割の飾り気の無い組紐を選んだ。
☆☆
さてこちらは、昼の任務を終えたマーティン。祭りと言うこともあり、せっかくだから部下たちを誘い、夕飯を兼ねて酒場に行こうとしていた。明日の朝も早いから、今日は詰所への泊まりが決定している。今から明日の朝くらいまでは、羽目を外しても文句は言われないだろう。多分。
途中、同じように今日の任務を終えた第四騎士隊の隊長と出会ってしまった。
「よ、マーティン」
「ロビーか」
「何が悲しくて、祭りの日に仕事なんだろう、な」
な、と言ったときにロビーはその右腕で一方的にマーティンの肩を組んできた。
「お前、相変わらずいい身体してんなぁ。で、これからどこに行くわけ?」
マーティンの胸をわさわさとまさぐる。そういう趣味は無いので、やめて欲しいとマーティンは思うのだが、それをなかなか口にはできない自分もいる。
「食事を兼ねて、酒場にだ」
言い、マーティンは部下たちの顔を見る。
「じゃ、俺も」とロビーが言う。
「ロビー隊長は、既婚者ですよね。こちらは寂しい独身騎士の集まりです。既婚者はご遠慮ください」
隊員が言った。彼にとって、妻持ち、彼女持ち、婚約者持ちは分かち合えない相手らしい。
「そう、冷たいこと言わさんな。俺のかわいい嫁さんに、誰か紹介してもらおう、な」
な、と言ったときに、ロビーはマーティンの胸をまさぐっていたその左腕で、隊員の肩を一方的に組んできた。
「君も、なかなかいい身体してるね。マーティンほどじゃないけれど」
そんなロビーの前に立ちはだかる副隊長。
「ん? 君も俺と肩を組みたいのかな?」
「第五騎士隊副隊長、カーニー・フィルであります」
と、副隊長は顔の前で右手を真っすぐ斜め上に上げ、名前を名乗ってみた。
「ご紹介のほど、ぜひともお願いいたします」
「あ、アムラン・ダニエルです」
と、ロビーの腕の中の隊員も小さく右手を斜めに上げた。
「了解、了解。よろしくね。カーニーくんにアムランくん」
今後、副隊長はカーニーと、そしてとある隊員はアムランと記述することになる。
名も無き隊員たちに名前が与えられた。これも第四騎士隊隊長、ロビーの力によるもの、なのかもしれない。
ミレーヌが言うには。
「父も母も兄も、この時期は仕事が忙しいから。こうやってお祭りをゆっくり楽しんだことは無いのです」
誘ってよかったな、とエドガーは思う。
エドガーも任務以外では訪れたことが無いお祭りではあるが、任務では来ていたため、彼女よりもなんとなく祭りの雰囲気はわかっている、はずだ。
ミレーヌにとっては、初めて見るものもあるらしい。あれは何ですか? これは何ですか? と尋ねてくる。彼女を見ていると、表情がくるくるとかわり面白い。今も隣を歩く彼女は何かを食べているが、ものすごく変な顔をしている。
「エドガーさん」
そんな彼女を見ていたら、名を呼ばれた。
「どうかしたのか?」
「これ、ものすごく酸っぱいところがあるのです。そこだけ、食べてくれませんか?」
と、何かをのせたスプーンを口の前に差し出してきた。
「早く、口を開けてください」
言われたので、口を開けるしかない。彼女にスプーンを放り込まれた。
「ね? 酸っぱくないですか?」
と彼女は言うけれど、これは柑橘系の味。ものすごく酸っぱいわけではないのだが。
「これは、オレンジだろう?」
「やっぱり……。私、柑橘系が苦手なんです。じゃ、ここはエドガーさんが食べてください」
とまた、スプーンを差し出してくるので口を開ける。これではまるで、親鳥から餌を与えられる雛鳥ではないか。
少しそんなやりとりを続けていたのだが、彼女が満足したのか、いや、苦手な部分を全てエドガーが食べてしまったからなのか、残りは彼女が一人で黙々と食べ始めた。
少し歩くと、髪飾りを売っている露店があった。そこでミレーヌが立ち止まる。
「髪飾りが欲しいのか?」
エドガーは問う。
「いえ、はい、あの。訓練のときに髪を縛る紐が欲しいなと思いまして」
ミレーヌが答える。
「では、私からそれを贈らせてほしい」
――ミレーヌ、断ってはダメよ
今まで静かだった天の声。
「ありがとうございます」自然とミレーヌの口からその言葉が出た。
エドガーと二人で髪を縛るための組紐を選ぶ。訓練用なので、シンプルなものが良いだろう。赤八割と黒二割の飾り気の無い組紐を選んだ。
☆☆
さてこちらは、昼の任務を終えたマーティン。祭りと言うこともあり、せっかくだから部下たちを誘い、夕飯を兼ねて酒場に行こうとしていた。明日の朝も早いから、今日は詰所への泊まりが決定している。今から明日の朝くらいまでは、羽目を外しても文句は言われないだろう。多分。
途中、同じように今日の任務を終えた第四騎士隊の隊長と出会ってしまった。
「よ、マーティン」
「ロビーか」
「何が悲しくて、祭りの日に仕事なんだろう、な」
な、と言ったときにロビーはその右腕で一方的にマーティンの肩を組んできた。
「お前、相変わらずいい身体してんなぁ。で、これからどこに行くわけ?」
マーティンの胸をわさわさとまさぐる。そういう趣味は無いので、やめて欲しいとマーティンは思うのだが、それをなかなか口にはできない自分もいる。
「食事を兼ねて、酒場にだ」
言い、マーティンは部下たちの顔を見る。
「じゃ、俺も」とロビーが言う。
「ロビー隊長は、既婚者ですよね。こちらは寂しい独身騎士の集まりです。既婚者はご遠慮ください」
隊員が言った。彼にとって、妻持ち、彼女持ち、婚約者持ちは分かち合えない相手らしい。
「そう、冷たいこと言わさんな。俺のかわいい嫁さんに、誰か紹介してもらおう、な」
な、と言ったときに、ロビーはマーティンの胸をまさぐっていたその左腕で、隊員の肩を一方的に組んできた。
「君も、なかなかいい身体してるね。マーティンほどじゃないけれど」
そんなロビーの前に立ちはだかる副隊長。
「ん? 君も俺と肩を組みたいのかな?」
「第五騎士隊副隊長、カーニー・フィルであります」
と、副隊長は顔の前で右手を真っすぐ斜め上に上げ、名前を名乗ってみた。
「ご紹介のほど、ぜひともお願いいたします」
「あ、アムラン・ダニエルです」
と、ロビーの腕の中の隊員も小さく右手を斜めに上げた。
「了解、了解。よろしくね。カーニーくんにアムランくん」
今後、副隊長はカーニーと、そしてとある隊員はアムランと記述することになる。
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