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第五章(10)
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「殿下……どうしてこちらに?」
「俺だって、いろいろとつきあいがあるんだよ」
そう言って、イライアスはシェリルを馬車に押し込める。
「シェリル……どれだけイチゴを食べたんだ?」
口調をやわらげ、シェリルの顔をのぞき込んできた。
「あっ……ん……」
イライアスの声を聞いたとたん、昂ぶり始めただなんて言えない。
キャサリンと二人きりでいたときには、まだ我慢ができたのだ。ああやって嫌な言葉をかけられても、身体が疼くことはなかった。
だというのに、彼の声を聞き、その姿を見ただけで、身体の奥が熱をもち、ぐずぐずととろけ始めた。
イライアスが側にいて、彼の体温を感じてにおいを嗅いだら、もっともっとと身体が訴え始める。
「触らないで……ください……」
これ以上、彼を求めたくない。
「そんな顔で言われても、説得力がない。本当は、俺に触ってもらいたいんだろう?」
スカートの裾から、彼の手が入ってくる。ふくらはぎから膝、そして内ももをなであげてから割れ目へとたどり着く。
「無防備だな。もっと分厚い下着でも履いたほうがいいのではないか?」
下着の上からだというのに、そこを触られただけで身体中が沸騰するような感覚になる。
「……あっ……はぁ……」
熱を逃がすように息を吐き、潤んだ目でイライアスを見上げる。
「や、やめっ……」
「ふぅん? やめていいの?」
触れていた熱が離れると、それはそれでせつないものがある。だけど、こうやって熱に浮かされた状態で、はぐらかされてしまうのは嫌なのだ。
「だから、シェリル……そういう、物欲しそうな顔で俺を見ないでくれるか?」
少しだけ苦しそうに目じりを下げるイライアスは、どこかかわいらしくも見える。
「ち、違います……きちんと、話をしいたいの……んっ……」
今度は唇を塞がれた。熱い口づけは、シェリルの強張った身体をとかしていく。
唇を食まれ、薄く開いた隙に、肉厚な舌が入り込んでくる。絡め合ってなめ合って、固くなった心をとかす。
「それで? シェリルは何を聞きたいんだ?」
唇を放し、今度はドレスの上から胸をもみしだきながら、イライアスが尋ねた。
「だから……どうして、あそこに?」
「ああ、そのことか……愛の力だな。愛する者を害する存在を知ったら、誰だって排除するだろう?」
額にキスを落としてから、イライアスは言葉を続ける。
王城内でマクシムに出会い、クローディアはイチゴが好きなのかと聞かれた。どうやら、今日の茶会用にとキャサリンが大量にイチゴを買い付けたとのこと。
茶会の招待客で身分が一番高いのはクローディアだ。だから彼女の好きなものを用意するのだろうと、マクシムはそう思ったらしい。そしてクローディアがイチゴを好きであるならば、と彼も考えるところがあったようだ。
しかしクローディアにとって、イチゴはどちらかといえば好んで食べる程度であり、大好物でいくらでも食べられるといったものではない。人並みにたしなむ程度。
キャサリンの茶会とイチゴの話を聞いたイライアスは、シェリルの身を案じたものの、クローディアも一緒に出席するだろうから問題ないだろうと、楽観的に考えていた。
それにシェリルは、イチゴをどれだけ食べたらどうなるのかというのを把握している。
しかし、クローディアがその茶会を欠席していると知って、イライアスは慌てて迎えにきたとのことだった。
イライアスがシェリルを心配しすぎただけなのだが、かえってそれがよかったのだ。
「キャサリン嬢は、昔からは何を考えているかわからなかった。それに……俺に執着しているようにも見えたからな。だが、太っていた俺を、汚いものを見るような目で見ていたこと、陰ではデブだの汚いだのと言っていたこと、俺は忘れない」
幼少期のトラウマとでもいうのだろうか。
「……んっ、ですが……キャサリンさまは……わたしが、イチゴを……しっていた、みたいで……。料理人との、話を……」
先ほどから、イライアスはずっと胸を弄り続けていた。先端がぷっくらと膨れてじんじんと痛むが、それに耐えながらシェリルは声を出す。
「あぁ……あれを聞かれたのか。シェリルにはイチゴのアレルギーがあるから、絶対に使うなと言ったときかもしれない。俺も迂闊だった……悪かった……」
それならば、キャサリンの行動も納得いく。
「それに、マンサナ公爵の騎士がな……キャサリンの愚行をそれとなく教えてくれていたんだ。胸を痛めていたんだろうな。だから、シェリルが……まぁ、何をされていたかは、なんとなく知っている」
「んっ……」
必死に隠していたことを知られていた。あれほど、彼女たちから嫌がらせをされていることをイライアスには知られたくなかったというのに。
恥ずかしい気持ちでいっぱいだったが、その気持ちを言葉にする前に口を塞がれた。
「はっ……ん」
息もできぬほどの深くて激しい口づけで、考えることすらできない。
イライアスには伝えていなかったキャサリンたちからの仕打ち。今となっては、なぜきちんと反論しなかったのかと、後悔が押し寄せてきた。
それだけ、少しは自分に自信が持てるようになったということだろうか。
「まったく。だから、そういう表情をするなと、言っているだろう?」
馬車が止まった途端、シェリルはイライアスの上着に包まれた。そのまま抱かれて、馬車を下りた。
「俺だって、いろいろとつきあいがあるんだよ」
そう言って、イライアスはシェリルを馬車に押し込める。
「シェリル……どれだけイチゴを食べたんだ?」
口調をやわらげ、シェリルの顔をのぞき込んできた。
「あっ……ん……」
イライアスの声を聞いたとたん、昂ぶり始めただなんて言えない。
キャサリンと二人きりでいたときには、まだ我慢ができたのだ。ああやって嫌な言葉をかけられても、身体が疼くことはなかった。
だというのに、彼の声を聞き、その姿を見ただけで、身体の奥が熱をもち、ぐずぐずととろけ始めた。
イライアスが側にいて、彼の体温を感じてにおいを嗅いだら、もっともっとと身体が訴え始める。
「触らないで……ください……」
これ以上、彼を求めたくない。
「そんな顔で言われても、説得力がない。本当は、俺に触ってもらいたいんだろう?」
スカートの裾から、彼の手が入ってくる。ふくらはぎから膝、そして内ももをなであげてから割れ目へとたどり着く。
「無防備だな。もっと分厚い下着でも履いたほうがいいのではないか?」
下着の上からだというのに、そこを触られただけで身体中が沸騰するような感覚になる。
「……あっ……はぁ……」
熱を逃がすように息を吐き、潤んだ目でイライアスを見上げる。
「や、やめっ……」
「ふぅん? やめていいの?」
触れていた熱が離れると、それはそれでせつないものがある。だけど、こうやって熱に浮かされた状態で、はぐらかされてしまうのは嫌なのだ。
「だから、シェリル……そういう、物欲しそうな顔で俺を見ないでくれるか?」
少しだけ苦しそうに目じりを下げるイライアスは、どこかかわいらしくも見える。
「ち、違います……きちんと、話をしいたいの……んっ……」
今度は唇を塞がれた。熱い口づけは、シェリルの強張った身体をとかしていく。
唇を食まれ、薄く開いた隙に、肉厚な舌が入り込んでくる。絡め合ってなめ合って、固くなった心をとかす。
「それで? シェリルは何を聞きたいんだ?」
唇を放し、今度はドレスの上から胸をもみしだきながら、イライアスが尋ねた。
「だから……どうして、あそこに?」
「ああ、そのことか……愛の力だな。愛する者を害する存在を知ったら、誰だって排除するだろう?」
額にキスを落としてから、イライアスは言葉を続ける。
王城内でマクシムに出会い、クローディアはイチゴが好きなのかと聞かれた。どうやら、今日の茶会用にとキャサリンが大量にイチゴを買い付けたとのこと。
茶会の招待客で身分が一番高いのはクローディアだ。だから彼女の好きなものを用意するのだろうと、マクシムはそう思ったらしい。そしてクローディアがイチゴを好きであるならば、と彼も考えるところがあったようだ。
しかしクローディアにとって、イチゴはどちらかといえば好んで食べる程度であり、大好物でいくらでも食べられるといったものではない。人並みにたしなむ程度。
キャサリンの茶会とイチゴの話を聞いたイライアスは、シェリルの身を案じたものの、クローディアも一緒に出席するだろうから問題ないだろうと、楽観的に考えていた。
それにシェリルは、イチゴをどれだけ食べたらどうなるのかというのを把握している。
しかし、クローディアがその茶会を欠席していると知って、イライアスは慌てて迎えにきたとのことだった。
イライアスがシェリルを心配しすぎただけなのだが、かえってそれがよかったのだ。
「キャサリン嬢は、昔からは何を考えているかわからなかった。それに……俺に執着しているようにも見えたからな。だが、太っていた俺を、汚いものを見るような目で見ていたこと、陰ではデブだの汚いだのと言っていたこと、俺は忘れない」
幼少期のトラウマとでもいうのだろうか。
「……んっ、ですが……キャサリンさまは……わたしが、イチゴを……しっていた、みたいで……。料理人との、話を……」
先ほどから、イライアスはずっと胸を弄り続けていた。先端がぷっくらと膨れてじんじんと痛むが、それに耐えながらシェリルは声を出す。
「あぁ……あれを聞かれたのか。シェリルにはイチゴのアレルギーがあるから、絶対に使うなと言ったときかもしれない。俺も迂闊だった……悪かった……」
それならば、キャサリンの行動も納得いく。
「それに、マンサナ公爵の騎士がな……キャサリンの愚行をそれとなく教えてくれていたんだ。胸を痛めていたんだろうな。だから、シェリルが……まぁ、何をされていたかは、なんとなく知っている」
「んっ……」
必死に隠していたことを知られていた。あれほど、彼女たちから嫌がらせをされていることをイライアスには知られたくなかったというのに。
恥ずかしい気持ちでいっぱいだったが、その気持ちを言葉にする前に口を塞がれた。
「はっ……ん」
息もできぬほどの深くて激しい口づけで、考えることすらできない。
イライアスには伝えていなかったキャサリンたちからの仕打ち。今となっては、なぜきちんと反論しなかったのかと、後悔が押し寄せてきた。
それだけ、少しは自分に自信が持てるようになったということだろうか。
「まったく。だから、そういう表情をするなと、言っているだろう?」
馬車が止まった途端、シェリルはイライアスの上着に包まれた。そのまま抱かれて、馬車を下りた。
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