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22 話合い
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部屋に戻っても気持ち悪い。他人の形跡がある気がする。
隼也にスマホをかける。時計を見る。まだサークル中だと思うけど、コール2回で繋がった。
「お疲れ」
まわりがガヤガヤしている。男の声で彼女か? って聞かれて笑声と口笛が聞こえて、ガチャンって聞こえて静かになった。
「サークル中? 邪魔してごめん。大した用事じゃないから、終わった頃にかけ直すよ」
そう言って切ってしまった。
ひとまず隼也は違うってわかった。次は玲にかける。玲もコール数回で出た。
「碧? どうした?」
いつもと同じ。何も変わらなく思える。
「あのね、夏の約束、あれ、断ろうと思って」
「え? なんで? 今更、困るよ。だって賢吾と約束したんだろ? 賢吾怒るよ?」
「でも別に俺じゃなくても良いって思って。賢吾、玲に部屋貸すにしても、一緒にいれば良いと思うし、俺のところに来なくたって、実家とか別の友達のところへ行けば良いよね? なんで俺なのかわからないから」
思っていた事を告げる事ができた。
「どうして? だって碧は賢吾の事が好きなんだろ? 賢吾もそうだよ。碧に会いたいって言ってる」
玲の声のトーンが低くなった。
「ねえ? あんなアプリ入れて男漁りするより、賢吾のほうが頭も良いし、顔も良いし、優しいし、タイプだろ? 碧。それにゲイアプリなんてやりたいって事なんだからさ、賢吾にやってもらえば良いだろ? うまいと思うよ、賢吾」
「何言ってるの? 玲。俺、別に賢吾の事好きじゃないよ? タイプって、玲? 俺の何を知ってるって?」
「知ってるよ? 男好きだって隠して、無防備な格好で誘惑して、何がしたいの? 碧。せっかく良い人紹介したのに、残念だな、願望叶えれば良かったのに」
「良い人って……」
図書館もさっきの不審者も玲の仕業なのだろう。メッセージにあった顔写真が隠し撮りだったから、同じ大学の人だと思ったんだ。ぼやけていたけど大学の構内の背景だった。
「賢吾の事だよ。夏に会ってデートすれば良いだろ? 1週間もあればもっと仲良くなれるよ。応援してるから、卑屈な考えはやめて前向きになれよ。そうしたら好きになってもらえるよ、碧でも」
「断るから」
そう言ったタイミングで通話が切れた。嫌な感じだ。でも犯人がわかったし、わかったって伝わったと思うから、今日はもうあんな事はないと思う。でもこの部屋にはいられない。貴重品と数日分の着替えをカバンに入れて、ビジネスホテルにでも泊まろうと家を出た。
「碧?」
出ると車が停まっていて、隼也が声をかけて来た。
隼也にスマホをかける。時計を見る。まだサークル中だと思うけど、コール2回で繋がった。
「お疲れ」
まわりがガヤガヤしている。男の声で彼女か? って聞かれて笑声と口笛が聞こえて、ガチャンって聞こえて静かになった。
「サークル中? 邪魔してごめん。大した用事じゃないから、終わった頃にかけ直すよ」
そう言って切ってしまった。
ひとまず隼也は違うってわかった。次は玲にかける。玲もコール数回で出た。
「碧? どうした?」
いつもと同じ。何も変わらなく思える。
「あのね、夏の約束、あれ、断ろうと思って」
「え? なんで? 今更、困るよ。だって賢吾と約束したんだろ? 賢吾怒るよ?」
「でも別に俺じゃなくても良いって思って。賢吾、玲に部屋貸すにしても、一緒にいれば良いと思うし、俺のところに来なくたって、実家とか別の友達のところへ行けば良いよね? なんで俺なのかわからないから」
思っていた事を告げる事ができた。
「どうして? だって碧は賢吾の事が好きなんだろ? 賢吾もそうだよ。碧に会いたいって言ってる」
玲の声のトーンが低くなった。
「ねえ? あんなアプリ入れて男漁りするより、賢吾のほうが頭も良いし、顔も良いし、優しいし、タイプだろ? 碧。それにゲイアプリなんてやりたいって事なんだからさ、賢吾にやってもらえば良いだろ? うまいと思うよ、賢吾」
「何言ってるの? 玲。俺、別に賢吾の事好きじゃないよ? タイプって、玲? 俺の何を知ってるって?」
「知ってるよ? 男好きだって隠して、無防備な格好で誘惑して、何がしたいの? 碧。せっかく良い人紹介したのに、残念だな、願望叶えれば良かったのに」
「良い人って……」
図書館もさっきの不審者も玲の仕業なのだろう。メッセージにあった顔写真が隠し撮りだったから、同じ大学の人だと思ったんだ。ぼやけていたけど大学の構内の背景だった。
「賢吾の事だよ。夏に会ってデートすれば良いだろ? 1週間もあればもっと仲良くなれるよ。応援してるから、卑屈な考えはやめて前向きになれよ。そうしたら好きになってもらえるよ、碧でも」
「断るから」
そう言ったタイミングで通話が切れた。嫌な感じだ。でも犯人がわかったし、わかったって伝わったと思うから、今日はもうあんな事はないと思う。でもこの部屋にはいられない。貴重品と数日分の着替えをカバンに入れて、ビジネスホテルにでも泊まろうと家を出た。
「碧?」
出ると車が停まっていて、隼也が声をかけて来た。
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