普通の男子高校生ですが異世界転生したらイケメンに口説かれてますが誰を選べば良いですか?

サクラギ

文字の大きさ
3 / 31
本編

2 初めての経験

しおりを挟む
 わざわざ姿を隠すように布を頭から被せられ、ブラッドの馬に乗せられて、ブラッドの屋敷に連れて行かれた。

 すっごい豪華な作りの豪邸だったらどうしよう。異世界仕様のお城だったら嫌だなと思っていた。確かに敷地は広い。白い塀と高い綺麗な模様の門。壁沿いに木が植えられていて、塀内の目隠しになっている。門を入って森か? と思う道を奥へ向かって行くと、薔薇で囲われた噴水があり、その奥に白く四角い形の屋敷があった。一階建ての、奥に広い家で、家の中央に木が見えているから中庭があるのだろうと予想できる。これなら元の世界のちょっとしたお金持ちの家といえる……と思っていたら別荘らしい。さすが王族。

「お気に召して頂けましたか?」

 室内に通され、やっぱり靴は脱がない外国仕様なんだね、と思っていたら、俺の為に用意された部屋では脱いでいいらしく、少しホッとする。

 用意された部屋には、リビングの奥に個別の部屋として、ベッドルームとトイレ、バスルームもある。当然のように侍女を用意されそうになって、自分の事は自分でするとお断りした。

「ありがとうございます。とても助かりました。落ち着いたら仕事と部屋を探しますので、それまでよろしくお願いします」

 俺にはまだ先を考えることが難しい。でもブラッドに迷惑を掛ける訳にはいかないから、もっともらしい言葉を並べた。でもブラッドは許してくれない。

「そんな言葉はいりません。どうかご自分の家のようにお寛ぎ下さい……それに」

 言葉を切ったブラッドは、俺との距離を詰めて、首筋に顔を寄せて来る。

「私に好意を寄せて下さっていますか?」

 耳に直接響く声に体がゾクッとする。美形の破壊力すごい。近づくとブラッドから濃い薔薇の香りがする。甘くて蕩けそうな匂いだ。

「いえ、それは……」

 驚いて一歩下がってしまった。男子高校生ゲイの自覚はあるが、好意を持って男に接した事はない。妄想よりも遥かに上を行く美形が俺に迫って来る現実。尊いような不相応のような複雑な気持ちだ。

「私の気持ちを知ってもなお、私を選んでくださいました。私はそれに応えたいのです」

 ふわりと手が頬に触れる。

「わわっ」

 思わずのけ反ってしまうと、ブラッドの手が腕を引き、胸に頬が触れた。ブラッドの手が腰を抱く。
 ブラッドの視線が下がる。何の事かと思えば股間が反応していて、思わず背を向けて逃げ出そうとした。のだけど腰に回された手が許してくれない。そのまま抱き込まれ、耳元で囁かれた。

「とてもかわいい」

 背中がゾクッとする。さっきから甘い薔薇の香りに包まれていて、頭の中が変になる。
 ブラッドは俺より背が高い。少し仰向くとブラッドの顔がある。ほんの少しブラッドがどんな表情をしているのか知りたくて顔を上げたら、狙っていたかのようにキスされた。

「ん、んん」

 くちゅっと舌が唇に触れる。そんなの初めての経験で、訳もわからず口を開かされ、大人のキスに持ち込まれた。息の仕方もわからない。息をしようと口を開けば奥に舌が入って来る。胸を手で叩けば、やっと唇が離された。

 こんなの知らない、こんな支配されるようなキス。
 俺がしていたキスなんて触れただけの何の感情も持たないものだった。罪悪感が胸にある。もう謝ることもできない。なのにホッとしている俺もいて、自分が嫌になる。

「可愛いですね。もっと頂いても良いですか?」

 すごく妖艶な笑みをしている。狙われているのだとその目を見てわかった。
 過去の自分が遠のいて行く。ブラッドしか見えない。

「俺、こういうの初めてで……」

「誰にでも初めてはあります。私が全部頂いても?」

 甘い囁きが耳に直接入って来る。吐息と共に首筋にキスされ、鼓動が跳ねた。
 するするっと服が脱がされて行く。手馴れている。俺に敵う相手じゃない。羞恥にどうにかなっている間に、抱きかかえられ、しかも駅弁の格好だよ。恥ずかしすぎてブラッドの肩に顔をうずめていると、小さく笑われてさらに恥ずかしさが増す。逃げようと思えば逃げられるんだ。でも支配されている、そんな感覚がぞくぞくする。

 連れて行かれたのはバスルームだ。脱衣場に降ろされて、下着まで全部脱がされて、脱がされながらキスされていて、もうどうにもできない。ブラッドに従うのが当たり前のような気さえする。

 中は小さな温泉のような造りだった。促されるまま湯船につかり、ブラッドの膝に乗せられている。キスされながら向かい合って、いろいろ触られている。

「あ、あっ、あっ……」

「上手ですね、かわいい」

 温まったところで湯船から出され、体をあわあわにされて、もう舌が痛いくらいキスしている。お湯の熱とブラッドの行為に対する熱で頭がくらくらした。

 性器を他人に触れるのも初めてだし、後ろに指を入れられるのも初めてだ。胸が感じるなんて嘘だと思っていた。ぜんぶ一緒にされて、喘いでいる自分が恥ずかしくてたまらない。それなのにブラッドはかわいいとか上手だとか言って来る。ブラッドの性器が立ち上がっているのを見て、大人の大きくなった実物を初めて間近で見て怖気づいたりもして。ただただ混乱と熱に浮かされている。

「初めてがここではかわいそうだから、おいで」

 手を引かれて立たされ、足がふらつけば、また駅弁状態に抱えあげられた。これは癖になる。簡単に抱えあげられて、歩かれると男としてどうかと思うけど、ブラッドってすごいなと思ったり。手馴れすぎているから怖いと思ったり。でも美形が俺に甘い言葉をかけて、欲情してくれる。そんなの今までにあったことがなくて興奮する。

 連れて行かれたのはベッドルームだ。天蓋付きの白いベッド。薄いベールが引かれていて、その中に降ろされた。

「とても美しい光景ですね」

 ベッドに横たわる俺を見てブラッドが言う。俯瞰で見られて恥ずかしさが増す。思わず背中を向けると、背中の上に覆いかぶさって来た。

「その格好の方が煽情的なのですが」

 くちゅっと中に指が入れられる。思わず背中を丸めた。逃げたかったからなのに、利用するように腰をあげさせられ、より恥ずかしいポーズになる。

「呼吸を止めないでください」

 肩の横に手を置かれ、肩甲骨のあたりにキスをされた。尻の穴に性器の先が触れる。思わず逃げようとして、腰が引き寄せられる。

「あ、やだ、ブラッド、こわい、いや、」

「シン、大丈夫ですよ、私を感じてください」

 後ろから背中を撫でられる。そのまま尻の方に撫でられて、太ももを撫でられて、ググっと中に異物が入って来る。風呂の時に中にぬるぬるする物を入れられたから、入れられるだろうと思っていたけど、本当にするんだって思った時にはもう入っていて。ブラッドの質量が中を割り開いて行く。

「あ、ああ、あっ、んんっ」

 荒い息をつきながら、ブラッドの下生えが尻につくまで、ゆっくり入れられた。ぐっぐっと押し込まれ、背がしなる。逃げたくて前に行こうとして、腰を引き寄せられ、さらに奥に沈められる。

「いや、ああ、いやだ、ぬいて、ぬいて」

 ほとんど泣き言だ。痛くはない。ただ違和感と罪悪感がある。
 ゲイだっていう自覚はあった。いつかは誰かとと思いながら、環境が許さない場所にいたから、どうにかできる方法を探っている段階だった。なのにもう入れられている。しかも訳のわからない場所で、初対面の男に。

「シンの中はとても気持ちがいい、シンもすぐによくなりますよ」

「いやっもう、やめ……ああっ」

 耳元で囁かれ、体が震えた。思わず後ろに力が入って、自分で自分を苦しめている。
 性器に触れられ、性器が縮んでいることを知る。感じる前に恐れが前に立つ。後ろは入れられたまま、性器を緩く抜かれて、背中にキスをされて、気持ちが少し後ろから逸れると、それをブラッドは感じたのか、後ろがゆっくり引き抜かれて行く。

「やああ、動かないで」

「大丈夫です、感じてください」

 ブラッドの性器が感じる場所に当たる。そこを狙って擦られると、びくびくと体が揺れた。強制的に感じさせられ、それを体が覚えて行く。

「いや、いや、あ、ああ……」

 怖かった。自分が変わって行くのが。ブラッドに作り替えられて行くのが。もう戻れないと頭の中で思う。
 感じてしまう。尻の中で。入れられる良さを覚えてしまう。

 入れられたまま体を返され、抱きかかえられ、深いキスをしながら、後ろを攻められる。ブラッドの体で性器がこすられ、熱い液をこぼす。男のぬくもりを知り、悦ぶ自分を知った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

処理中です...