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竜の渓谷
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カレンのことは匂いでだいたいわかる。特に匂いが濃くなる前後の数日は、感情までもが読める。
ガラスの向こうにいるカレンは退屈でいっぱいだ。時々、人と話していると、少し明るい色になる。さっき“愛のあるセックス”という話をしている時、カレンの中が熱くなっていた。可愛い。
シャルに会う直前は緊張している。何度か処理している熱も伝わって来る。カレンはシャルの前で平然を装う。そして心の中の恐れは、子作りに対する恐れだ。
子は欲しいと思う。白銀の竜の子が、同じ白銀の竜として生まれることはない。白銀の竜は先代の竜が死に、その後、数年、数百年を経て生まれて来るからだ。シャルの子はきっと普通の子。子を生せばカレンが一緒にいる。ずっと側に。でもそれは今で無くて良い。カレンがシャルに慣れて、後ろ向きじゃなくなって、ちゃんと顔を見て、視線を合わせて、甘く微笑んでくれるようになったら。そうしたら攫って行こう。
だからまだカレンの中に子種は入れない。冷気で精子を冷やし、子種を殺している。人はカレンが孕むのを望んでいるようだが、今はまだ与えない。
人のあれこれはシャルの預かり知らぬこと。カレンが望めばそこから攫うことだってできる。だがカレンは望まない。いつまでたっても慣れてくれないのだから。
カレンに会う日は心が躍る。竜たちと生きる竜の渓谷も好きだけど、カレンがいたらもっと良いなと思う。
カレンに近づいて行けば行くほど、甘い香りに誘われて、鼓動が早鐘を打つし、ふわふわと落ち着かない。カレンの姿を見ると、熱が下半身に集まり、衝動が抑えられなくなる。でもそれに耐えている自分も好きだ。愛する子を前にして、愛する子を怯えさせないように振る舞い、愛して欲しいと願う自分が好きだ。
カレンは会うとすぐに服を脱ぐ。白銀の竜が銀色を好むと考えられているようで、カレンはいつも銀色の服を着て来る。従順で可愛い。それを似合わないと思っているようで、すぐに脱いでしまう時の恥じらう表情が好きだ。抱きしめて、匂いを吸い込む。発情の甘い香りとカレンの匂い。混じり合う匂いにクラクラする。
白いシーツの上に乗り上げ、恥じらいながら、尻を高く上げる。シャルを見るのも恥ずかしいのだろう。震えながら手の甲を噛む。いつかそこではなく、シャルの手や肩を噛んでくれたら良いのにと思う。発情の愛液に濡れた穴に入り込ませれば、しなやかな背が反らされ、奥を突けば身を縮め、肩甲骨が綺麗に浮き出る。背中にキスをしても、口付けの痕を残しても、カレンは腹の中の動きに必死で着いて来ようとするから、気づいてもいないのだろう。腹の中の一番奥に届かないように、意識して逸らすことばかり、カレンは考えている。そういうのが態度に透けて見えるから、シャルはカレンの望むように、子種のない精液を与える。せめてシャルの想いだけはと、カレンの中に馴染ませて行く。
泣きそうに聞こえるくぐもった嗚咽。屈辱の姿をするのは義務らしい。一番最初の時、何をしているかわからなくて、抱きしめようとして拒否された。お願いだから出て行って欲しいと言われ、それからずっとカレンの望みに従っている。
人とのしがらみを捨てて、いつかシャルを選んで欲しいと願いながら、まだ時はあると身を引く。愛しい子が甘く微笑んでくれる時を夢見て。
ガラスの向こうにいるカレンは退屈でいっぱいだ。時々、人と話していると、少し明るい色になる。さっき“愛のあるセックス”という話をしている時、カレンの中が熱くなっていた。可愛い。
シャルに会う直前は緊張している。何度か処理している熱も伝わって来る。カレンはシャルの前で平然を装う。そして心の中の恐れは、子作りに対する恐れだ。
子は欲しいと思う。白銀の竜の子が、同じ白銀の竜として生まれることはない。白銀の竜は先代の竜が死に、その後、数年、数百年を経て生まれて来るからだ。シャルの子はきっと普通の子。子を生せばカレンが一緒にいる。ずっと側に。でもそれは今で無くて良い。カレンがシャルに慣れて、後ろ向きじゃなくなって、ちゃんと顔を見て、視線を合わせて、甘く微笑んでくれるようになったら。そうしたら攫って行こう。
だからまだカレンの中に子種は入れない。冷気で精子を冷やし、子種を殺している。人はカレンが孕むのを望んでいるようだが、今はまだ与えない。
人のあれこれはシャルの預かり知らぬこと。カレンが望めばそこから攫うことだってできる。だがカレンは望まない。いつまでたっても慣れてくれないのだから。
カレンに会う日は心が躍る。竜たちと生きる竜の渓谷も好きだけど、カレンがいたらもっと良いなと思う。
カレンに近づいて行けば行くほど、甘い香りに誘われて、鼓動が早鐘を打つし、ふわふわと落ち着かない。カレンの姿を見ると、熱が下半身に集まり、衝動が抑えられなくなる。でもそれに耐えている自分も好きだ。愛する子を前にして、愛する子を怯えさせないように振る舞い、愛して欲しいと願う自分が好きだ。
カレンは会うとすぐに服を脱ぐ。白銀の竜が銀色を好むと考えられているようで、カレンはいつも銀色の服を着て来る。従順で可愛い。それを似合わないと思っているようで、すぐに脱いでしまう時の恥じらう表情が好きだ。抱きしめて、匂いを吸い込む。発情の甘い香りとカレンの匂い。混じり合う匂いにクラクラする。
白いシーツの上に乗り上げ、恥じらいながら、尻を高く上げる。シャルを見るのも恥ずかしいのだろう。震えながら手の甲を噛む。いつかそこではなく、シャルの手や肩を噛んでくれたら良いのにと思う。発情の愛液に濡れた穴に入り込ませれば、しなやかな背が反らされ、奥を突けば身を縮め、肩甲骨が綺麗に浮き出る。背中にキスをしても、口付けの痕を残しても、カレンは腹の中の動きに必死で着いて来ようとするから、気づいてもいないのだろう。腹の中の一番奥に届かないように、意識して逸らすことばかり、カレンは考えている。そういうのが態度に透けて見えるから、シャルはカレンの望むように、子種のない精液を与える。せめてシャルの想いだけはと、カレンの中に馴染ませて行く。
泣きそうに聞こえるくぐもった嗚咽。屈辱の姿をするのは義務らしい。一番最初の時、何をしているかわからなくて、抱きしめようとして拒否された。お願いだから出て行って欲しいと言われ、それからずっとカレンの望みに従っている。
人とのしがらみを捨てて、いつかシャルを選んで欲しいと願いながら、まだ時はあると身を引く。愛しい子が甘く微笑んでくれる時を夢見て。
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