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chapter 2
×2(4)
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晩餐は昨日以上に静かだった。
天使はただ眺めているだけ。それから目を逸らして黙々と食べていたけれど。お腹が膨れてきた僕は手を止めて席を立った。
「……もういいや」
「よし、さっと片付けるよ」
目を離した一瞬で、さっきまでそこにあった食器から何もかも、食べ残しでさえも机から無くなっていた。マジックではなく、天使のそういう能力のようなものらしい。その慣れない光景にやはり理解が追いつかない。
一方で、その光景を不思議そうに見ていた僕のことは、天使にはお構いなしらしい。
「……さて、また頂こうかな?」
「ちょっ……何するんだよ」
「僕は人間の食べ物は要らないけど、『キス』がその代わりさ」
「意味が分からない」
そんな問答をしている間に、壁まで追いやられてしまった。僕を挟んで壁に手を突いた天使は、空いた手を僕の顎に添えてキスをした。
「やめ、っ……」
「悪いけど、これが僕の食事だよ」
キスは、息が上がるまで続いた。天使を睨み付けても、あいつは満足そうに「ごちそうさま」と言うだけ言うと、「じゃあ、お風呂と着替えは用意してあるから」と手をヒラヒラさせてソファーの方へと向かった。
脱衣所で、僕はため息をついた。
「はぁ……」
やりたいわけではないのに、やらなければ生き延びられない。だとして、キスまで必要か? あいつが欲しいから……?
「……考えるのやめよう」
僕は妙な疲れを感じながら、風呂場のドアを開けた。
天使はただ眺めているだけ。それから目を逸らして黙々と食べていたけれど。お腹が膨れてきた僕は手を止めて席を立った。
「……もういいや」
「よし、さっと片付けるよ」
目を離した一瞬で、さっきまでそこにあった食器から何もかも、食べ残しでさえも机から無くなっていた。マジックではなく、天使のそういう能力のようなものらしい。その慣れない光景にやはり理解が追いつかない。
一方で、その光景を不思議そうに見ていた僕のことは、天使にはお構いなしらしい。
「……さて、また頂こうかな?」
「ちょっ……何するんだよ」
「僕は人間の食べ物は要らないけど、『キス』がその代わりさ」
「意味が分からない」
そんな問答をしている間に、壁まで追いやられてしまった。僕を挟んで壁に手を突いた天使は、空いた手を僕の顎に添えてキスをした。
「やめ、っ……」
「悪いけど、これが僕の食事だよ」
キスは、息が上がるまで続いた。天使を睨み付けても、あいつは満足そうに「ごちそうさま」と言うだけ言うと、「じゃあ、お風呂と着替えは用意してあるから」と手をヒラヒラさせてソファーの方へと向かった。
脱衣所で、僕はため息をついた。
「はぁ……」
やりたいわけではないのに、やらなければ生き延びられない。だとして、キスまで必要か? あいつが欲しいから……?
「……考えるのやめよう」
僕は妙な疲れを感じながら、風呂場のドアを開けた。
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