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第18話 言葉
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二段ベッドの上段から逆さのエフティアが睨みつけてくる。動悸を抑え、かろうじて睨み返す。
「いやだっ!」
「エフティア、君がレディナともう一度話し合うまでは君と訓練をしない。これは決定事項だ」
「嘘つきッ! わたしを強くしてくれるんじゃなかったの!」
「あの日以来、君は全く剣に集中できていない。これじゃあ、全然強くなれないよ」
「うぅー!」
頭を引っ込めたかと思うと、再び逆さで現れ――
「いじわるッ!」
――枕をぶつけてきた。
逆さの体勢からそのまま床に一回転して着地すると、勢いよく寝室の扉を開けて飛び出した。
「エフティアっ!」
さらに、もう一度扉を開く音がしたので、自分も飛び起きる。
「まずいっ――」
彼女、夜着のままじゃないか!
急いでエフティアの制服を引っ張り出し、追いかけた。
「あっ――」
――僕も着替えてない!
◆
「騒々しいな――なんで、寝巻?」
「……」
眠そうな表情でドアから顔をのぞかせたレディナは、エフティアの乱れた装いを上から下まで眺めると、外れた胸のボタンだけとりあえずつけ直す。
なぜか全速力で走ってきた特待生(寝巻)のアヴァルが、女子用の制服を抱え、レディナとエフティアの顔を交互に見てから……一礼してレディナに預けた。
「ほんとに一緒に住んでんだね」
「……」
「とりあえず、入りな?」
「……」
レディナは自室にエフティアを入れると、ベッドのしわを伸ばしてから、そこに座らせる。
「あんたが部屋に来るの初めてだね」
「……」
「あらら、ぼさぼさじゃん。梳いてあげる」
「……」
「ひょっとしてさ――」
「……」
「――なに話すか、考えてなかった?」
「……ぅ」
エフティアは声にならない音を出した。
「エフティア、人付き合い苦手だもんね」
「……レディナは……人付き合いも、できて……剣も、強くて……すごい」
「ありがと。あんたさ、なんで会いに来たの? あたしはもう、断ち切ったつもりだったんだけど」
「アル君が……レディナと話さないと……強くなれないって……」
「アル君がねぇ」
「……」
「そうなんだ」
「……ほんとは、わたしが……ぁ」
「……」
「……うぅ」
「そっか」
長い沈黙が二人の空間を満たす。レディナはエフティアから話すのをじっと待つ。
「わたし……きっとばかなんだ」
「どうして?」
「昔からずっと、そう言われてたし、いつも皆から笑われるし、なんで笑われるのかもずっとわからないし、どうしてみんなみたいに剣が強くなれるのかもわからなかったし、何を話せばいいのかわからないし……だから、アル君が初めて、わたしのことをちゃんと見てくれたんだって思ったんだ。『剣使として見ている』って言ってくれたんだよ? アル君は、思ってることぜんぶ言葉にしてくれる――だから……」
柔らかな笑顔を浮かべるエフティアの横顔に、つられてレディナが微笑む。
「あたしも全部、言葉にすればよかったのかな」
思わずこぼれたレディナのつぶやきを聞いたエフティアは、レディナの手を握り、逃げようとした手を放さなかった。
「いやだっ!」
「エフティア、君がレディナともう一度話し合うまでは君と訓練をしない。これは決定事項だ」
「嘘つきッ! わたしを強くしてくれるんじゃなかったの!」
「あの日以来、君は全く剣に集中できていない。これじゃあ、全然強くなれないよ」
「うぅー!」
頭を引っ込めたかと思うと、再び逆さで現れ――
「いじわるッ!」
――枕をぶつけてきた。
逆さの体勢からそのまま床に一回転して着地すると、勢いよく寝室の扉を開けて飛び出した。
「エフティアっ!」
さらに、もう一度扉を開く音がしたので、自分も飛び起きる。
「まずいっ――」
彼女、夜着のままじゃないか!
急いでエフティアの制服を引っ張り出し、追いかけた。
「あっ――」
――僕も着替えてない!
◆
「騒々しいな――なんで、寝巻?」
「……」
眠そうな表情でドアから顔をのぞかせたレディナは、エフティアの乱れた装いを上から下まで眺めると、外れた胸のボタンだけとりあえずつけ直す。
なぜか全速力で走ってきた特待生(寝巻)のアヴァルが、女子用の制服を抱え、レディナとエフティアの顔を交互に見てから……一礼してレディナに預けた。
「ほんとに一緒に住んでんだね」
「……」
「とりあえず、入りな?」
「……」
レディナは自室にエフティアを入れると、ベッドのしわを伸ばしてから、そこに座らせる。
「あんたが部屋に来るの初めてだね」
「……」
「あらら、ぼさぼさじゃん。梳いてあげる」
「……」
「ひょっとしてさ――」
「……」
「――なに話すか、考えてなかった?」
「……ぅ」
エフティアは声にならない音を出した。
「エフティア、人付き合い苦手だもんね」
「……レディナは……人付き合いも、できて……剣も、強くて……すごい」
「ありがと。あんたさ、なんで会いに来たの? あたしはもう、断ち切ったつもりだったんだけど」
「アル君が……レディナと話さないと……強くなれないって……」
「アル君がねぇ」
「……」
「そうなんだ」
「……ほんとは、わたしが……ぁ」
「……」
「……うぅ」
「そっか」
長い沈黙が二人の空間を満たす。レディナはエフティアから話すのをじっと待つ。
「わたし……きっとばかなんだ」
「どうして?」
「昔からずっと、そう言われてたし、いつも皆から笑われるし、なんで笑われるのかもずっとわからないし、どうしてみんなみたいに剣が強くなれるのかもわからなかったし、何を話せばいいのかわからないし……だから、アル君が初めて、わたしのことをちゃんと見てくれたんだって思ったんだ。『剣使として見ている』って言ってくれたんだよ? アル君は、思ってることぜんぶ言葉にしてくれる――だから……」
柔らかな笑顔を浮かべるエフティアの横顔に、つられてレディナが微笑む。
「あたしも全部、言葉にすればよかったのかな」
思わずこぼれたレディナのつぶやきを聞いたエフティアは、レディナの手を握り、逃げようとした手を放さなかった。
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