最弱ダンジョン商人、ドラゴンスレイヤーになる

杉戸 雪人

文字の大きさ
78 / 100
マンドレイクの春

79

しおりを挟む
§ 冒険者ギルド §

「大至急、救援をお願いします!! 草のダンジョンの第2領域にて龍種を確認しました!!」

俺の要請で、ギルド内の雑談が緊張感のあるざわめきに変わる。

「第2領域で龍種……?」
「嘘だろ……?」

受付嬢のニーナは俺の様子から察してくれたのか、「該当の龍種の特徴を教えてください」と冷静に聞いてきた。

俺は、ギルド内の冒険者たちにも聞こえるように声を張り上げる。

「該当の龍種は全身が無数の植物の蔓でできており、その蔓を伸ばして攻撃してきます! 形状は龍種らしく、手足と翼がありました!
 特異な点としては、マンドレイクの繁殖を促し、その悲鳴を利用して人を襲うことが推察されます! また、使い捨てたマンドレイクで人を誘い出す知恵もある可能性が高いです!
 そして、龍の腹の中で行方不明となった多くの冒険者が生きている可能性があります!!」

息巻いてしまったが、ちゃんと伝わったのだろうか。
シーンとした空気がギルドを埋めていた。

「マンドレイク……? 冗談だろ?」
「はは、あほらし」
「第一、マンドレイクの悲鳴を聞いてなんでこいつら生きてんだよ?」
「あれだ、『それを見て生きて帰った者は誰もいなかった』……ていうタイプの与太話よたばなしだろ?」
「あなたたち、ちゃんと聞いてた? 推察って言ってたから実際には聞いてないのよ」
「ああ、じゃあやっぱり与太話だな」

その場から緊張感が消えてしまった。
俺の説明が、まずかっただろうか。少し冷静にならなければ。

どう説明しようかと考えていると、テナとアルメリゼも前に出る。

「ほんとに見たよお!」
「みなさん、信じてください!」

彼女らの必死の叫びもむなしく、周囲の反応は今一つだった。冒険者たちが思い思いに喋り始める中、ニーナが俺に囁く。

「ルウィン君が説明した龍は極めて特異な事例です。すぐに調査団を派遣し、その実体を明らかにします。もちろん、あなたが説明した龍の特徴を踏まえた上で。それから注意報を警報に引き上げ、A級以上向けに討伐依頼をギルドから出します」

ニーナは受付嬢としてできる最大限の対応を約束してくれた。

「ありがとうございます……!」

だが、時は一刻を争う。調査団の派遣、調査の実施、もろもろを行ったして、何日かかるか分かったものじゃない。

すぐにでも有力な冒険者で対応しなければ……どうすれば……。

「あーっはっはっは!!! 第2領域に!? マンドレイクで人を襲う龍が現れたって!? 最高の冗談だな!!」

突然、聞き覚えのある、やけに大きな笑い声がギルドに響いた。
その声に、これまた聞き覚えのあるツンツンした声が続く。

「まったく、そういう下らない冗談に付き合わされる方の身にもなってよね!!!」

俺は声がした方に振り向く。

煤焼けてぼろぼろになった白銀の騎士の鎧と、焼け焦げてあちこちに穴が開いた黒い魔女のローブが目に飛び込んできた。

A級冒険者――ネリスとミリアだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...