95 / 100
マンドレイクの春
96
しおりを挟む
アルメリゼからの報告を受け、ルウィンは想定外の収穫に驚き、安堵する。
(いい意味で想定外だ……!)
キャルの凄まじい斬撃を目の当たりにした直後に、アルメリゼの迅速な追撃ときた……胸が高鳴らずにはいられない。これで全員の体力が温存できる!
「了解! 俺たちも今、氷を抜けました! 引き続きよろしくお願いします!」
『了解!』
アルメリゼとのやり取りを終え、俺は「アルメリゼさんもやりました!!! 龍の背中を、上から真っ二つだそうです!!!」と大きく伝える。と、ネリスが笑い出した。
「あっはっは!! やるなあ、さすが私のファンだ!!」
「あたしはどこいったのよ!!」
アルメリゼの素晴らしい健闘を聞き、ミリアたちは自分のことのように笑っている。俺たちはそんな明るい空気の中、足につけた鉄猫爪を外していった。
と、変態たち――もとい、オーガスとスーシーが息を切らせてしゃがみ込む。
「ルウィン君……ぜえ、君ってそんな箱を背負っているのに疲れないのかい……? 僕はこの背負い袋だけでもくたくたなのにッ!」
「これくらいは別に……ほら、ウォロクさんを見なって。あんな大きなハンマー背負ってるじゃないか」
「ぐは……変態すぎる……」
「のほ?」ウォロクは何を言われたのかよく聞こえなかったようだ。ドワーフは力持ちと聞くが、これが平均レベルなのだろうか。
俺はすっかり声を出さなくなったスーシーに呼びかける。
「スーシーさん、大丈夫ですか。日頃の運動不足がたたっていますか」
「はあ……はあ……。ああ、ルウィン様。ここぞとばかりに私をいじめるんですね……変態!」
「スーシーさんには負けます」
弱っている変態たちを見るのは意外と悪くない。一方、変態奥様エルフのシルヴィアは元気そうだった。
「ああ゛~~~~」
名残惜しそうに氷に頬をこすりつけている。
「シルヴィアさん、行きますよ」
「~~~~あ゛あ」
俺はシルヴィアを地面から引っぺがした。
と、全員が鉄猫爪を外し終えた時、キャルの声が聞こえてくる。
『キャハハハ! こちらキャル! アタシ、がんばったよー♪』
「こちらルウィン……キャルさん最強です!」
『……アタシ、もーっと強くなるから♪』
これ以上強くなったらいったいどうなるのだろうか。怖いもの見たさ半分、遠慮したい気持ち半分である。
「キャルさん、もっと強くなるそうです!!!」
一緒に走り始めた仲間たちに、俺は大声で呼びかける。さらにみんなの士気を上げたかったのだ。
「のっほっほ! いよいよ手がつけられなくなるのお!」
ウォロクは巨大なハンマーを背負いながらも、やはり息切れ一つせずに走っている。その表情はどこか孫を想う老人のようだ。
「あっはっは!」ネリスは心底嬉しそうにミリアに話しかける。
「なあミリア! さっきの斬撃、見逃してないよな! キャルめ、超えようとしているぞ!」
「あんな危なっかしい子に先に行かせるもんですか! まったくもう!」
ミリアは文句を言いつつも、その口元は笑っているのだった。
(いい意味で想定外だ……!)
キャルの凄まじい斬撃を目の当たりにした直後に、アルメリゼの迅速な追撃ときた……胸が高鳴らずにはいられない。これで全員の体力が温存できる!
「了解! 俺たちも今、氷を抜けました! 引き続きよろしくお願いします!」
『了解!』
アルメリゼとのやり取りを終え、俺は「アルメリゼさんもやりました!!! 龍の背中を、上から真っ二つだそうです!!!」と大きく伝える。と、ネリスが笑い出した。
「あっはっは!! やるなあ、さすが私のファンだ!!」
「あたしはどこいったのよ!!」
アルメリゼの素晴らしい健闘を聞き、ミリアたちは自分のことのように笑っている。俺たちはそんな明るい空気の中、足につけた鉄猫爪を外していった。
と、変態たち――もとい、オーガスとスーシーが息を切らせてしゃがみ込む。
「ルウィン君……ぜえ、君ってそんな箱を背負っているのに疲れないのかい……? 僕はこの背負い袋だけでもくたくたなのにッ!」
「これくらいは別に……ほら、ウォロクさんを見なって。あんな大きなハンマー背負ってるじゃないか」
「ぐは……変態すぎる……」
「のほ?」ウォロクは何を言われたのかよく聞こえなかったようだ。ドワーフは力持ちと聞くが、これが平均レベルなのだろうか。
俺はすっかり声を出さなくなったスーシーに呼びかける。
「スーシーさん、大丈夫ですか。日頃の運動不足がたたっていますか」
「はあ……はあ……。ああ、ルウィン様。ここぞとばかりに私をいじめるんですね……変態!」
「スーシーさんには負けます」
弱っている変態たちを見るのは意外と悪くない。一方、変態奥様エルフのシルヴィアは元気そうだった。
「ああ゛~~~~」
名残惜しそうに氷に頬をこすりつけている。
「シルヴィアさん、行きますよ」
「~~~~あ゛あ」
俺はシルヴィアを地面から引っぺがした。
と、全員が鉄猫爪を外し終えた時、キャルの声が聞こえてくる。
『キャハハハ! こちらキャル! アタシ、がんばったよー♪』
「こちらルウィン……キャルさん最強です!」
『……アタシ、もーっと強くなるから♪』
これ以上強くなったらいったいどうなるのだろうか。怖いもの見たさ半分、遠慮したい気持ち半分である。
「キャルさん、もっと強くなるそうです!!!」
一緒に走り始めた仲間たちに、俺は大声で呼びかける。さらにみんなの士気を上げたかったのだ。
「のっほっほ! いよいよ手がつけられなくなるのお!」
ウォロクは巨大なハンマーを背負いながらも、やはり息切れ一つせずに走っている。その表情はどこか孫を想う老人のようだ。
「あっはっは!」ネリスは心底嬉しそうにミリアに話しかける。
「なあミリア! さっきの斬撃、見逃してないよな! キャルめ、超えようとしているぞ!」
「あんな危なっかしい子に先に行かせるもんですか! まったくもう!」
ミリアは文句を言いつつも、その口元は笑っているのだった。
0
あなたにおすすめの小説
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる