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第9話 魔人ミレアス
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なぜか一緒にベッドで寝転んでいるお姉さんは、まるで私を抱き枕のように抱えている。
抜け出そうとしてもびくともしない。
「ユリ、どうかしたのか」
私の叫びが聞こえたのか、魔王様が部屋の外から声をかけてくる。
お姉さんはまたにこりと微笑むとベッドから起き上がり、部屋のドアを開けた。
「おはよう、ジル」
「ミレアス、目覚めたのか」
ミレアスさんというのか。
目覚めたってことは、魔王様の仲間の方?
ということは……この部屋の持ち主だ!
私も起き上がり、頭を下げる。
「すみません! 私勝手にお部屋を使わせてもらって」
「あら、いいのよ。ところでジル、いつの間に人間のペットを飼うようになったの」
「ユリはペットではない」
「そうなの? まあ立ち話もなんだから、お茶でもしながらゆっくり話しましょうか」
私たちは広間で話をすることに。
その前に私とミレアスさんはお茶を入れるために厨房へと向かった。
ミレアスさんは棚を物色し、何やら探している。
「あったあった。これ、古いものだけど使えると思うわ」
渡されたのは木箱に入った紅茶の葉だった。
「たしかにここにあるものにしては珍しく状態がいいですね」
「私、自分のものには簡単な保護魔法をかけてるのよ」
「保護魔法? ですか」
「薄い魔力の膜を張ってるってことね。腐敗とかも防げるのよ」
だからミレアスさんの部屋だけは綺麗な状態だったんだ。
ちなみに自分にも膜を張っていて、塵や埃を寄せ付けずに綺麗な状態を保っているらしい。
魔王様も保護魔法、使えば良いのに。
出会った時の姿は本当に酷かった。本人は言えないけど。
お茶の準備をして広間へと向かう。
廊下を歩きながらミレアスさんはお城を見回している。
「なんだか、綺麗になってるわね」
「少しずつですけどお掃除してるんです。まだまだ終わりそうにはないんですけど」
風魔法と水魔法を使って埃やクモの巣を払ったり、汚れを磨いたり、ちょこちょこできる掃除はしている。
「ジルを綺麗にしたのもあなた?」
「私が綺麗にしたというか、お風呂に入ってもらったんです。湯殿を掃除したので」
「あそこ使えるようになったの?」
ミレアスさんは嬉しそうな顔をすると、廊下を広間とは反対に曲がり湯殿へと入っていった。
綺麗になっている湯殿を見渡しながら目を輝かせる。
「まあまあまあ! 素敵!」
「ここで生活する上で必須かと思いまして」
「湯に浸かれるなんて何千年振りかしら! 毎日の楽しみができたわ。ありがとう」
満面の笑みを浮かべながらお礼を言われ、改めて掃除して良かったと思った。
ご機嫌なミレアスさんと広間へと入ると、少し不機嫌な魔王様がテーブルに着いて待っていた。
「茶を淹れるだけにしては遅いじゃないか」
「あら、ジルったらいつからそんな小言を言うようになったのかしら」
ミレアスさんと話し込んだり寄り道したりして待たせてしまった。
すみません、と呟きながら魔王様の前にカップを置き、私もテーブルに着く。
そして気になっていたことを口にした。
「魔王様のお名前はジルというのですね」
「俺の名前はジルではない。それは愛称だ」
あ、違ったんた。
ミレアスさんにジルと呼ばれてるからそうかと思ったんだけど。
「え? もしかして自己紹介すらしてないの?」
「私の名前は言いましたが、魔王様のお名前は聞いていませんでした……」
そもそも、名前があると思っていなかった。
自分で魔王だ、って言っていただけだし。
「もう、仕方ないわね。改めて、この仏頂面の魔王がジルザール。私は魔人のミレアス。本当はもう一人マルブっていうのがいるんだけど……」
「マルブはまだ目覚めていない」
「そう、もう少し時間がかかるかもね。それで目覚めたら、また私に負けたーって騒ぐのよ」
なんだか、想像すると賑やかなだな。
それにしても魔王様の名前ジルザールっていうんだ。
なんて呼ぼう。
ジルザール様? 長いな。
ジル様? なんか違う。
魔王様でいっか。
「で、この子はどうして魔王城にいるの? どういう関係? ジルが人間を囲うなんてどういう状況?」
質問攻めだな。まあ、敵である人間が居れば気になるよね。
どうしてここにいるかは私が簡単に説明した。
突然この世界に召喚され、神官に森へ捨てられ、魔王様に掴まって、ご飯を作って、行くところもないので置いてもらっている。
「大変だったのねえ」
ここにいる理由は説明できるけれど、関係を聞かれたら、それはわからない。
すると魔王様がゆっくりと口を開く。
「ユリは……美味い飯を作る……城を綺麗にする……髪を、乾かしてくれる……」
「とっても有能じゃない。置いておくと生活の質が良くなるってことね。で、ジルは何をしてあげてるの?」
「わからん」
「もう、本当に……」
ミレアスさんは魔王様に呆れた表情を向ける。
これじゃ私だけが与えてばかりみたいだ。
そうではないって伝えないと。
「あの、魔王様は私を魔物から助けてくれて、ここに置いてくれて、街へ連れて行ってくれて、魔法も教えてくれて、とってもお世話になってます」
「ジルが人間にそこまでするなんて珍しい。よっぽど気に入ってるのね」
ミレアスさんは私を見て優しく微笑む。
魔王様に気に入られているかはわからないけど、なんやかんや良くしてもらっている。
「ミレアスさんは、人間に対して嫌悪感とか敵対心とかはないのですか? 魔王様ははじめ私のことを全く信用していませんでしたし」
「私はここに来る遥か昔、人里で暮らしてたのよ。人間がみんな悪いやつじゃないってわかってる。ジルがここにあなたを置いているんだから私が警戒する理由はないわ。それに、あの子に似てるのよね……」
「あの子?」
「なんでもないわ。これからよろしくね、ユリ」
「はい、よろしくお願いします」
それからミレアスさんはお風呂に入ると言って湯殿へと向かった。
魔王様はまた特訓をするらしい。
私は……自分の部屋を確保しないとな。
ミレアスさんが目覚めたのだから、もうラブリー部屋は使えない。
他の部屋はどこもひどい状態だったけど、日当たりが良くて、できるだけ物が散乱していない部屋を選び掃除をすることにした。
窓を開けて空気を入れ替え、埃を掃き、床を磨く。
集中して掃除をしていたけれど、ふと視線を感じ振り返る。
そこには開けっ放しのドアにもたれ、こちらを見ているミレアスさんがいた。
「お風呂、上がったんですね」
「ええ。とっても気持ち良かったわ。それよりユリはいろいろな魔法が使えるのね」
水を出したり風を出したりしていたのを見たのだろう。
出すだけで大したことはできないけど、便利ではある。
「そうだミレアスさん、良ければ髪乾かしますよ」
お風呂上がりの濡れた髪は色っぽいけれど、ちゃんと乾かした方がいい。
私はいったん手を止め、ミレアスさんの部屋へ行くことに。
ドレッサーの椅子に座ってもらい、手から温風を出し、髪を乾かしていく。
ブラシを貸してもらい、しっかりブローもする。
「保護魔法で状態は保ってても、こうやって綺麗にして解放する気持ち良さには勝てないわね」
「お湯に浸かるのはリラックス効果もありますしね」
「それに、ユリの手がとても心地良い。ジルの髪も乾かしたんでしょ? きっと嬉しかったと思うわ」
「だといいのですが……」
あの時、はじめは嫌がっていたけれど最後まで素直に乾かされていた。
本当に喜んでもらえていたのだとしたら、私も嬉しい。
髪を乾かし終え掃除に戻ろうとすると、ちょっと待ってと引き止められた。
ミレアスさんはクローゼットから何かを引っ張り出している。
「これ、ユリにあげるわ」
両手に抱えボフッと渡されたのは、ふわふわのマットと綺麗なシーツ。
肌にふれた感触が気持ち良い。
「こんな質のいいもの貰っていいのですか?」
「そのうち使おうかと思って持っておいたんだけど、結局ずっと使ってないから」
「ありがとうございます。とても助かります」
正直、寝具類は諦めていた。
ビリビリボロボロの布をかき集めて洗濯して縫い付けて手作りしようかと思っていた。
「ベッドもいるわよね。あと机とか」
「あれば嬉しいのですが……」
まともに使えるものなどあるのだろうか。
でも、地べたに敷いて寝るわけにもいかないよな。
「たぶん、何かしら使えるものがあると思うから行きましょう」
ミレアスさんは部屋を出て、廊下を進んで行く。
どこに行くのだろうと思いながら付いていった先は、魔王城の屋根裏部屋だった。
抜け出そうとしてもびくともしない。
「ユリ、どうかしたのか」
私の叫びが聞こえたのか、魔王様が部屋の外から声をかけてくる。
お姉さんはまたにこりと微笑むとベッドから起き上がり、部屋のドアを開けた。
「おはよう、ジル」
「ミレアス、目覚めたのか」
ミレアスさんというのか。
目覚めたってことは、魔王様の仲間の方?
ということは……この部屋の持ち主だ!
私も起き上がり、頭を下げる。
「すみません! 私勝手にお部屋を使わせてもらって」
「あら、いいのよ。ところでジル、いつの間に人間のペットを飼うようになったの」
「ユリはペットではない」
「そうなの? まあ立ち話もなんだから、お茶でもしながらゆっくり話しましょうか」
私たちは広間で話をすることに。
その前に私とミレアスさんはお茶を入れるために厨房へと向かった。
ミレアスさんは棚を物色し、何やら探している。
「あったあった。これ、古いものだけど使えると思うわ」
渡されたのは木箱に入った紅茶の葉だった。
「たしかにここにあるものにしては珍しく状態がいいですね」
「私、自分のものには簡単な保護魔法をかけてるのよ」
「保護魔法? ですか」
「薄い魔力の膜を張ってるってことね。腐敗とかも防げるのよ」
だからミレアスさんの部屋だけは綺麗な状態だったんだ。
ちなみに自分にも膜を張っていて、塵や埃を寄せ付けずに綺麗な状態を保っているらしい。
魔王様も保護魔法、使えば良いのに。
出会った時の姿は本当に酷かった。本人は言えないけど。
お茶の準備をして広間へと向かう。
廊下を歩きながらミレアスさんはお城を見回している。
「なんだか、綺麗になってるわね」
「少しずつですけどお掃除してるんです。まだまだ終わりそうにはないんですけど」
風魔法と水魔法を使って埃やクモの巣を払ったり、汚れを磨いたり、ちょこちょこできる掃除はしている。
「ジルを綺麗にしたのもあなた?」
「私が綺麗にしたというか、お風呂に入ってもらったんです。湯殿を掃除したので」
「あそこ使えるようになったの?」
ミレアスさんは嬉しそうな顔をすると、廊下を広間とは反対に曲がり湯殿へと入っていった。
綺麗になっている湯殿を見渡しながら目を輝かせる。
「まあまあまあ! 素敵!」
「ここで生活する上で必須かと思いまして」
「湯に浸かれるなんて何千年振りかしら! 毎日の楽しみができたわ。ありがとう」
満面の笑みを浮かべながらお礼を言われ、改めて掃除して良かったと思った。
ご機嫌なミレアスさんと広間へと入ると、少し不機嫌な魔王様がテーブルに着いて待っていた。
「茶を淹れるだけにしては遅いじゃないか」
「あら、ジルったらいつからそんな小言を言うようになったのかしら」
ミレアスさんと話し込んだり寄り道したりして待たせてしまった。
すみません、と呟きながら魔王様の前にカップを置き、私もテーブルに着く。
そして気になっていたことを口にした。
「魔王様のお名前はジルというのですね」
「俺の名前はジルではない。それは愛称だ」
あ、違ったんた。
ミレアスさんにジルと呼ばれてるからそうかと思ったんだけど。
「え? もしかして自己紹介すらしてないの?」
「私の名前は言いましたが、魔王様のお名前は聞いていませんでした……」
そもそも、名前があると思っていなかった。
自分で魔王だ、って言っていただけだし。
「もう、仕方ないわね。改めて、この仏頂面の魔王がジルザール。私は魔人のミレアス。本当はもう一人マルブっていうのがいるんだけど……」
「マルブはまだ目覚めていない」
「そう、もう少し時間がかかるかもね。それで目覚めたら、また私に負けたーって騒ぐのよ」
なんだか、想像すると賑やかなだな。
それにしても魔王様の名前ジルザールっていうんだ。
なんて呼ぼう。
ジルザール様? 長いな。
ジル様? なんか違う。
魔王様でいっか。
「で、この子はどうして魔王城にいるの? どういう関係? ジルが人間を囲うなんてどういう状況?」
質問攻めだな。まあ、敵である人間が居れば気になるよね。
どうしてここにいるかは私が簡単に説明した。
突然この世界に召喚され、神官に森へ捨てられ、魔王様に掴まって、ご飯を作って、行くところもないので置いてもらっている。
「大変だったのねえ」
ここにいる理由は説明できるけれど、関係を聞かれたら、それはわからない。
すると魔王様がゆっくりと口を開く。
「ユリは……美味い飯を作る……城を綺麗にする……髪を、乾かしてくれる……」
「とっても有能じゃない。置いておくと生活の質が良くなるってことね。で、ジルは何をしてあげてるの?」
「わからん」
「もう、本当に……」
ミレアスさんは魔王様に呆れた表情を向ける。
これじゃ私だけが与えてばかりみたいだ。
そうではないって伝えないと。
「あの、魔王様は私を魔物から助けてくれて、ここに置いてくれて、街へ連れて行ってくれて、魔法も教えてくれて、とってもお世話になってます」
「ジルが人間にそこまでするなんて珍しい。よっぽど気に入ってるのね」
ミレアスさんは私を見て優しく微笑む。
魔王様に気に入られているかはわからないけど、なんやかんや良くしてもらっている。
「ミレアスさんは、人間に対して嫌悪感とか敵対心とかはないのですか? 魔王様ははじめ私のことを全く信用していませんでしたし」
「私はここに来る遥か昔、人里で暮らしてたのよ。人間がみんな悪いやつじゃないってわかってる。ジルがここにあなたを置いているんだから私が警戒する理由はないわ。それに、あの子に似てるのよね……」
「あの子?」
「なんでもないわ。これからよろしくね、ユリ」
「はい、よろしくお願いします」
それからミレアスさんはお風呂に入ると言って湯殿へと向かった。
魔王様はまた特訓をするらしい。
私は……自分の部屋を確保しないとな。
ミレアスさんが目覚めたのだから、もうラブリー部屋は使えない。
他の部屋はどこもひどい状態だったけど、日当たりが良くて、できるだけ物が散乱していない部屋を選び掃除をすることにした。
窓を開けて空気を入れ替え、埃を掃き、床を磨く。
集中して掃除をしていたけれど、ふと視線を感じ振り返る。
そこには開けっ放しのドアにもたれ、こちらを見ているミレアスさんがいた。
「お風呂、上がったんですね」
「ええ。とっても気持ち良かったわ。それよりユリはいろいろな魔法が使えるのね」
水を出したり風を出したりしていたのを見たのだろう。
出すだけで大したことはできないけど、便利ではある。
「そうだミレアスさん、良ければ髪乾かしますよ」
お風呂上がりの濡れた髪は色っぽいけれど、ちゃんと乾かした方がいい。
私はいったん手を止め、ミレアスさんの部屋へ行くことに。
ドレッサーの椅子に座ってもらい、手から温風を出し、髪を乾かしていく。
ブラシを貸してもらい、しっかりブローもする。
「保護魔法で状態は保ってても、こうやって綺麗にして解放する気持ち良さには勝てないわね」
「お湯に浸かるのはリラックス効果もありますしね」
「それに、ユリの手がとても心地良い。ジルの髪も乾かしたんでしょ? きっと嬉しかったと思うわ」
「だといいのですが……」
あの時、はじめは嫌がっていたけれど最後まで素直に乾かされていた。
本当に喜んでもらえていたのだとしたら、私も嬉しい。
髪を乾かし終え掃除に戻ろうとすると、ちょっと待ってと引き止められた。
ミレアスさんはクローゼットから何かを引っ張り出している。
「これ、ユリにあげるわ」
両手に抱えボフッと渡されたのは、ふわふわのマットと綺麗なシーツ。
肌にふれた感触が気持ち良い。
「こんな質のいいもの貰っていいのですか?」
「そのうち使おうかと思って持っておいたんだけど、結局ずっと使ってないから」
「ありがとうございます。とても助かります」
正直、寝具類は諦めていた。
ビリビリボロボロの布をかき集めて洗濯して縫い付けて手作りしようかと思っていた。
「ベッドもいるわよね。あと机とか」
「あれば嬉しいのですが……」
まともに使えるものなどあるのだろうか。
でも、地べたに敷いて寝るわけにもいかないよな。
「たぶん、何かしら使えるものがあると思うから行きましょう」
ミレアスさんは部屋を出て、廊下を進んで行く。
どこに行くのだろうと思いながら付いていった先は、魔王城の屋根裏部屋だった。
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