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ライミリ精霊信仰国編(ライミリ編)
68.千利は逃げられない!
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「ひとまず、夜も深まってきましたのでここまでにさせていただきます。」
結構な時間がたってから、話し合いに区切りがついた。
数時間は経っていたのだろう。
神様とウィール様が来てからは二人が基本的に質疑をしていたので、黙って紅茶を飲んでいた。
たまに考えを聞かれるので適当に答え、レイピストが用意したお菓子とは別の菓子を食べていた。もちろん、一心が用意したものだ。
相手側もカリストロ殿下は暇そうにしていて、似たようなことになっていた。でも、私を観察する視線が止むことは無い。
一挙一動を観察する視線は、気づかないくらいのギリギリで続けられた。まぁ、こちとら本業なので気づくけど。
最後に飲み残した紅茶を飲みきり、帰ろうと声を出す前に先手を打たれてしまった。
「精霊妃様、今日はもう夜も深く街を歩くのは危険でしょう。夕食と部屋を用意させてありますので、一晩過ごされてはいかがかと。」
チッ
「そのようなしていただかなくとも、ダーネスに頼んで街を歩くことなく家に帰ることができますので、心配には及びませんわ。」
「いやいや、お詫びも兼ねてぜひ夕食を。」
「異世界人ですから、作法に不安がありまして……。」
「お気になさらず、ごゆっくりされてください。」
千利は逃げた!しかし先回りされてしまった!
(「一心、なんか家でやることなかったっけ?」)
扇で口を隠し、こっそり一心に聞く。もちろん、他人に聞かれる心配があるような声量では話さない。
(「諦めてください」)
無常なまでに返されたので、半分睨みつけながら神様に言う。
「そう言えば神様、家に頼まれた書類があります。まだまとめてないので家に帰らないとでしたよねぇ?」
ビクゥっと肩を揺らしてゆっくり振り返る神様。
「そ、そうだったね。急ぎなんだよその書類!家に帰らないといけないね!」
いい感じに?帰れそうだったのにのほほんとした声が邪魔をした。
「そんな書類あったっけ?」
ウィ―ルさまぁああああああ?!空気!空気読んでぇ―――!
ククッと笑った中性の男に笑顔で圧をかけて、一心にエスコートされて夕食の会場へと移動する。
小声で一心と話す。
「精霊王達もそうですが、ウィール様は良くも悪くも純粋ですね。」
「害意や悪意に触れる生活をほとんどしてこなかっただろうからね。仕方ないといえば、仕方ない。」
「はぁ。……マスターは甘いですね。マスターに仕えるというのであれば、マスタ-の意くらい察してもらわなくては困ります。」
「そうイライラしないの。とりあえず、この国の食事のマナー教えて。地球との違いを中心に頼む。」
「ご命令のままに、我が主。ではまず……。」
そのまま急きょ始まった詰め込み勉強をして、ゆっくりと進む。
また向けられる視線の中には、先ほどとは違いこちらを侮るような視線が多くなっている。大方、先ほどのアホが言いふらしたのだろう。一応伯爵らしいし、噂の力は侮れない。
「マスターに下種な視線を向けている奴がいますね……。後程、消しておきましょう。」
「証拠残さないようにね。後、不正の証拠わざと見つかりやすいところに置いてから帰っておいで。」
「了解しました。」
そんなことも話しながら、静かに王城を進んでいく。
ボーッとした騎士二人によって大きな扉が開く。その中にいた先に座っていたのであろう女性は、こちらに向かって優雅に一礼した。
「お待ちしておりましたわ、ウィール様、神様、精霊妃様。この度はご迷惑をおかけしました。この国の王妃として、お詫び申し上げます。」
しおらしく非礼を詫びた彼女をスルーして、国王に問う。
「ガストロ陛下、これはいったい?」
「今回の事を従者から聞いたようでして、ぜひ直接話を聞きたいと言ってましたので同席させることにいたしました。」
へぇ?
結構な時間がたってから、話し合いに区切りがついた。
数時間は経っていたのだろう。
神様とウィール様が来てからは二人が基本的に質疑をしていたので、黙って紅茶を飲んでいた。
たまに考えを聞かれるので適当に答え、レイピストが用意したお菓子とは別の菓子を食べていた。もちろん、一心が用意したものだ。
相手側もカリストロ殿下は暇そうにしていて、似たようなことになっていた。でも、私を観察する視線が止むことは無い。
一挙一動を観察する視線は、気づかないくらいのギリギリで続けられた。まぁ、こちとら本業なので気づくけど。
最後に飲み残した紅茶を飲みきり、帰ろうと声を出す前に先手を打たれてしまった。
「精霊妃様、今日はもう夜も深く街を歩くのは危険でしょう。夕食と部屋を用意させてありますので、一晩過ごされてはいかがかと。」
チッ
「そのようなしていただかなくとも、ダーネスに頼んで街を歩くことなく家に帰ることができますので、心配には及びませんわ。」
「いやいや、お詫びも兼ねてぜひ夕食を。」
「異世界人ですから、作法に不安がありまして……。」
「お気になさらず、ごゆっくりされてください。」
千利は逃げた!しかし先回りされてしまった!
(「一心、なんか家でやることなかったっけ?」)
扇で口を隠し、こっそり一心に聞く。もちろん、他人に聞かれる心配があるような声量では話さない。
(「諦めてください」)
無常なまでに返されたので、半分睨みつけながら神様に言う。
「そう言えば神様、家に頼まれた書類があります。まだまとめてないので家に帰らないとでしたよねぇ?」
ビクゥっと肩を揺らしてゆっくり振り返る神様。
「そ、そうだったね。急ぎなんだよその書類!家に帰らないといけないね!」
いい感じに?帰れそうだったのにのほほんとした声が邪魔をした。
「そんな書類あったっけ?」
ウィ―ルさまぁああああああ?!空気!空気読んでぇ―――!
ククッと笑った中性の男に笑顔で圧をかけて、一心にエスコートされて夕食の会場へと移動する。
小声で一心と話す。
「精霊王達もそうですが、ウィール様は良くも悪くも純粋ですね。」
「害意や悪意に触れる生活をほとんどしてこなかっただろうからね。仕方ないといえば、仕方ない。」
「はぁ。……マスターは甘いですね。マスターに仕えるというのであれば、マスタ-の意くらい察してもらわなくては困ります。」
「そうイライラしないの。とりあえず、この国の食事のマナー教えて。地球との違いを中心に頼む。」
「ご命令のままに、我が主。ではまず……。」
そのまま急きょ始まった詰め込み勉強をして、ゆっくりと進む。
また向けられる視線の中には、先ほどとは違いこちらを侮るような視線が多くなっている。大方、先ほどのアホが言いふらしたのだろう。一応伯爵らしいし、噂の力は侮れない。
「マスターに下種な視線を向けている奴がいますね……。後程、消しておきましょう。」
「証拠残さないようにね。後、不正の証拠わざと見つかりやすいところに置いてから帰っておいで。」
「了解しました。」
そんなことも話しながら、静かに王城を進んでいく。
ボーッとした騎士二人によって大きな扉が開く。その中にいた先に座っていたのであろう女性は、こちらに向かって優雅に一礼した。
「お待ちしておりましたわ、ウィール様、神様、精霊妃様。この度はご迷惑をおかけしました。この国の王妃として、お詫び申し上げます。」
しおらしく非礼を詫びた彼女をスルーして、国王に問う。
「ガストロ陛下、これはいったい?」
「今回の事を従者から聞いたようでして、ぜひ直接話を聞きたいと言ってましたので同席させることにいたしました。」
へぇ?
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