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よくもまあ閨の場で
しおりを挟むとか言われてもムードもクソもないのに濡れるわけがない。と、こんなときのために母が持たせてくれたジェルがある。彼が服を脱いでいる隙に素早く塗ると、程よくじんわり温まる。
隠れた努力をしているのにジョセフ様は「なんだ期待していたのか」なんて呑気に言いやがる。ここが船上なら海の底に沈めてやるのに。
準備は十分のようだから前戯は要らぬな、とすでに昂ぶったそれをグイと押しあて一気に奥まで挿入された。何故に昂っていたのかってのは気にしないでおこう。
別に痛くはない。だってセックス初心者じゃないから。
だからいたって普通に感じてしまう。生理的に無理な相手でもないし、一応夫だし。
(クソボケで腹は立つけど!?)
「ひあっ! ああっ! 旦那様ッ……! 最初からっ、激しいですよ……ッ!」
「言う割にはっ! 身体は正直だが……!? ッ、ああそうだこの締めつけッ……! これがッ、くうッ……!」
前戯もしなかったくせにジョセフ様ったらズンズンと遠慮なく腰を振ってくる。
母が持たせてくれたジェルのお陰かじんわり温かい膣はどんどん熱を帯びて、次第に感覚が集中して集まったソレは簡単に弾けてしまった。
「んあっ! ぁ、ふあぁあッ……!!」
「っは、はぁっ、全く正直な身体だな……。エマ、君は後ろから突かれるのは好みか?」
「ん……好みかどうかだなんてっ、そんなの、相性によりますっ……」
「はっ、獣と同じ体位を相性と申すか。なら、試してみよう。後ろを向け」
「は、はい」
言われた通りに尻を突き出したのに、意地悪なのか本気なのか旦那様は、「どうやら私の妻は相当な遊び人らしい。つい先日まで伯爵家の令嬢だった君がこうも素直に体位の変更を受け入れるとはな」などと申す。(旦那様風)
言われた通りにしただけなのに。あまりに理不尽だから、思わず「は?」って言ってしまいましたよ。
「随分と慣れているようだが?」
「それは……生まれ育った環境での経験なので……比べられると何とも……」
「経験人数は何人だ?」
「え。っと……、旦那様で三人目ですが……」
「嘘をつくな!」
「ひあっ!?」
後ろから突かれるのをひたすら待っている秘部にペシリと硬いものを当てられ、ずりずりと擦られるから、厭らしい声を上げ腰が揺れ動いてしまう。
「たった三人でこのような淫乱な動きをするはずがないだろう! 初夜は丁寧に前戯をしたが今夜はどうだ、この濡れよう。それに私とはまだ二回しかしていない! なのにこの恥じらいの無さか!?」
「そっ、そんなこと言われて、んあッ! もぉっ……! んんんっ……!」
「正直に申したらどうだ。ん? 都会に来たからと夜な夜な遊びまくっているのだろう?」
「してませ、んん……っ! うそなんかっ、ついてな……! 濡れてるのはっ、ジェルを塗ってるだけでッ……!」
「ジェル……?」
「そ、そうですっ……海月から取れるエキスで……っ」
懇切丁寧にジェルのしくみと効能を説明したら、それはなんとか納得してくれた。が、どうやら気に入らないことが他にもまだあるらしい。
「だが遊びまくっているのは事実だろう。でなければ二度目でこの体位を受け入れるわけがない。それに、若い男と歩いているところをクリスティーヌが見たと言っていたぞ?」
「誰ですかクリスティーヌって……ッ!」
「私の恋人だ」
「はあっ!? っていうかっ……! 都会の令嬢たちがどのような経験を積んでいらっしゃるか知らないですけどっ! 私の周りに居た男性は海の男なのでっ、体力が有り余ってるんですっ! 都会のヒョロい男とは違うんですッ……! 経験人数が三人でもこうなんですッ!!」
「なッ! ひょ、ヒョロい!? ね、閨の場で違う男の話をするとは……!」
「閨の場で恋人の話をする男が言うことか! やッ!? ああッ! やあぁああんッ……!!」
煩い口を塞ぐかのように挿入して、これでもかと腰を穿つ旦那様。
次第に旦那様の熱さも伝わりナカで膨らんでいくのが分かる。限界が近いのか口煩さも薄まってきて、そうして暫くして奥に白花が散らされた。
深夜の部屋には互いの熱い吐息だけ聴こえ、眠気が襲う。
どうせ旦那様はクリスティーヌとかいう恋人の元へ帰るのだ。このまま寝てしまっても問題は無いだろう。
(煩いからさっさと子供が出来ちゃえば良いのよ……。全く都会の男性って冷たいし自分勝手だわ……)
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