初夜った後で「申し訳ないが愛せない」だなんてそんな話があるかいな。

ぱっつんぱつお

文字の大きさ
3 / 27

よくもまあ閨の場で

しおりを挟む
 
 とか言われてもムードもクソもないのに濡れるわけがない。と、こんなときのために母が持たせてくれたジェルがある。彼が服を脱いでいる隙に素早く塗ると、程よくじんわり温まる。
 隠れた努力をしているのにジョセフ様は「なんだ期待していたのか」なんて呑気に言いやがる。ここが船上なら海の底に沈めてやるのに。
 準備は十分のようだから前戯は要らぬな、とすでに昂ぶったそれをグイと押しあて一気に奥まで挿入された。何故に昂っていたのかってのは気にしないでおこう。
 別に痛くはない。だってセックス初心者じゃないから。
 だからいたって普通に感じてしまう。生理的に無理な相手でもないし、一応夫だし。
(クソボケで腹は立つけど!?)

「ひあっ! ああっ! 旦那様ッ……! 最初からっ、激しいですよ……ッ!」
「言う割にはっ! 身体は正直だが……!? ッ、ああそうだこの締めつけッ……! これがッ、くうッ……!」

 前戯もしなかったくせにジョセフ様ったらズンズンと遠慮なく腰を振ってくる。
 母が持たせてくれたジェルのお陰かじんわり温かい膣はどんどん熱を帯びて、次第に感覚が集中して集まったソレは簡単に弾けてしまった。

「んあっ! ぁ、ふあぁあッ……!!」
「っは、はぁっ、全く正直な身体だな……。エマ、君は後ろから突かれるのは好みか?」
「ん……好みかどうかだなんてっ、そんなの、相性によりますっ……」
「はっ、獣と同じ体位を相性と申すか。なら、試してみよう。後ろを向け」
「は、はい」

 言われた通りにケツを突き出したのに、意地悪なのか本気なのか旦那様は、「どうやら私の妻は相当な遊び人らしい。つい先日まで伯爵家の令嬢だった君がこうも素直に体位の変更を受け入れるとはな」などと申す。(旦那様風)
 言われた通りにしただけなのに。あまりに理不尽だから、思わず「は?」って言ってしまいましたよ。

「随分と慣れているようだが?」
「それは……生まれ育った環境での経験なので……比べられると何とも……」
「経験人数は何人だ?」
「え。っと……、旦那様で三人目ですが……」
「嘘をつくな!」
「ひあっ!?」

 後ろから突かれるのをひたすら待っている秘部にペシリと硬いものを当てられ、ずりずりと擦られるから、厭らしい声を上げ腰が揺れ動いてしまう。

「たった三人でこのような淫乱な動きをするはずがないだろう! 初夜は丁寧に前戯をしたが今夜はどうだ、この濡れよう。それに私とはまだ二回しかしていない! なのにこの恥じらいの無さか!?」
「そっ、そんなこと言われて、んあッ! もぉっ……! んんんっ……!」
「正直に申したらどうだ。ん? 都会に来たからと夜な夜な遊びまくっているのだろう?」
「してませ、んん……っ! うそなんかっ、ついてな……! 濡れてるのはっ、ジェルを塗ってるだけでッ……!」
「ジェル……?」
「そ、そうですっ……海月から取れるエキスで……っ」

 懇切丁寧にジェルのしくみと効能を説明したら、それはなんとか納得してくれた。が、どうやら気に入らないことが他にもまだあるらしい。

「だが遊びまくっているのは事実だろう。でなければ二度目でこの体位を受け入れるわけがない。それに、若い男と歩いているところをクリスティーヌが見たと言っていたぞ?」
「誰ですかクリスティーヌって……ッ!」
「私の恋人だ」
「はあっ!? っていうかっ……! 都会の令嬢たちがどのような経験を積んでいらっしゃるか知らないですけどっ! 私の周りに居た男性は海の男なのでっ、体力が有り余ってるんですっ! 都会のヒョロい男とは違うんですッ……! 経験人数が三人でもこうなんですッ!!」
「なッ! ひょ、ヒョロい!? ね、閨の場で違う男の話をするとは……!」
「閨の場で恋人の話をする男が言うことか! やッ!? ああッ! やあぁああんッ……!!」

 煩い口を塞ぐかのように挿入して、これでもかと腰を穿つ旦那様。
 次第に旦那様の熱さも伝わりナカで膨らんでいくのが分かる。限界が近いのか口煩さも薄まってきて、そうして暫くして奥に白花が散らされた。
 深夜の部屋には互いの熱い吐息だけ聴こえ、眠気が襲う。
 どうせ旦那様はクリスティーヌとかいう恋人の元へ帰るのだ。このまま寝てしまっても問題は無いだろう。
(煩いからさっさと子供が出来ちゃえば良いのよ……。全く都会の男性って冷たいし自分勝手だわ……)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

大事な婚約者が傷付けられたので全力で報復する事にした。

オーガスト
恋愛
 イーデルハイト王国王太子・ルカリオは王家の唯一の王位継承者。1,000年の歴史を誇る大陸最古の王家の存亡は彼とその婚約者の肩に掛かっている。そんなルカリオの婚約者の名はルーシェ。王国3大貴族に名を連ねる侯爵家の長女であり、才色兼備で知られていた。  ルカリオはそんな彼女と共に王家の未来を明るい物とするべく奮闘していたのだがある日ルーシェは婚約の解消を願い出て辺境の別荘に引きこもってしまう。  突然の申し出に困惑する彼だが侯爵から原因となった雑誌を見せられ激怒  全力で報復する事にした。  ノーリアリティ&ノークオリティご注意

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...