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異世界転移したっぽいんですけど
しおりを挟む───「いッ、てぇーー……!!」
「おおお! やったぞ!成功だ……!」
「はい!これで我が国も……!!」
「しかし…これは……?」
「何故二人も……」
「まさか…… "創造者" と "破壊者" が同時に出てきてしまったと言うのか……?」
「そんなッ……! どちらが……」
「そんなもの、名前と見た目で分かりきったこと…」
彼氏と喧嘩して別れて、すぐ。
ただ、帰り道を歩いていただけの筈だった。
「えー、ちょー眩しーんですけどー」って思った次の瞬間、
見渡すと、所謂『神殿』と言われるような造りの場所。
床と天井には魔法陣的な何か。
そして隣には見知らぬ女。
(え? ついにドラえもん出来た感じ? どこでもドアでパルテノン来た感じ? つか隣誰だし。)
コツコツコツ──、
まじまじと見渡していると、周りには数人の男がいる。
皆全身を白い布で纏い、その中で一人だけ帽子の色が違う、いかにも一番偉そうな人が近付いてきた。
(帽子くそ高、コックかよ、つかダサくね……?)
「あなたが創造者、"天音美優" 様ですね?」
「えっ、えっ……?」
その一番偉そうな人が跪き、スッと手を差し伸べるその女、
抱き締めたくなるような華奢な身体に、レースをあしらった清楚な白いワンピース、
肩までの長さのふわふわ黒髪に、潤んだ瞳、透き通る肌と桃に染まった頬と唇、
守りたくなるようなお姫様座り。
まさに天から舞い降りた天使──。
だが違う。
名前が違う。
「いや、あたしなんだケド。」
「はい?」
「はい?じゃねーよ。 あたしなんだけど、天音美優。」
「「「…………え?」」」
と、声を揃えザワつく白い布を着た男達、偉そうな人が差し伸べた手は宙ぶらりんだ。
(は? まじ何なの? ダサくね?コスプレ?コスプレにしてもダサくね??)
「え、えぇっと、では貴女様が "天食美香" 様……?」
「あ、はい、みかです……。」
清楚な女が『そうだ』と言うと、またもやザワつく男達。
「どちらだ……」
「見た目……」
「いや、名前……」
「しかしどう見てもアレは……」
じろじろと見られている彼女、本物の〈天音美優〉はと言うと、
女子の平均より高い身長と、程よい筋肉、短いデニムのパンツにラフな白いTシャツ、そしてスニーカー、
金髪に染められた髪と、健康的な肌色、バッチリメイクで、あぐらをかいている。
「は? 何じろじろ見てんだし、セクハラ?きもいから見ないでくんない?」
「い!いや、別に……、深い意味は……その、すみません……」
相手の年齢は美優からしてみれば『オジさん』なのだが、強く言われ、恐いのか、脂汗を流しながらオドオドと目を逸らした。
(は? クソよわのくそダサじゃん、うける)と思う美優だが、全くその通りである。
ある程度年齢を重ねたのならそれなりの余裕を見せてほしい、若い女には大人の余裕がグッとくるのだ。
そこに可愛いギャップがあると尚良し。
「つーか、どーでもいいけどさ、ココ、どこよ??」
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