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(一応)伝わる
しおりを挟む……──「あッ! くッ……ぅあ、んッ……!」
なに?
何だか、あそこが熱いわ……
それに、ぐじゅぐじゅしてて気持ち悪い……
やだ。
私まさかお漏らししちゃったの?
この歳で?
──「あぁーーッ……! エミリーッ、エミリー……!」
誰?
誰かわたしを呼んでる……
聞いたことある声ね……
んっ
何だか分からないけど、胸がっ、乳首が気持ち良い……っ
──「ハァハァ……エミリー……厭らしい子だな、腰を揺らしてッ……くぅッ!」
あッ、んんっ
やぁっ……! だめっ、敏感なとこっ、擦れてッ
だめだめっ! 変なのきちゃうっ
ッ、イッ……!
「っふ、んっ、んっ、ッ──……!」
「ッ、ハァハァ、嗚呼エミリー……。寝ながらイッちゃったのかい? 可愛いね、可愛い。ぐちょぐちょだよ、ほら……ああもう、また大っきくなっちゃうよ」
「──ハッ!?」
強烈な快感に襲われ目を覚ました。
痙攣する子宮の余韻に身を震わせながらも状況を確認。私は夢を見ていたのか? だとしたら己は思ってるより欲求不満なのかもしれない。
醒めて感覚が脳に伝わってくると、快感のそれとは違う湿り。まさか本当にお漏らししてしまったのか。ブランケットも掛けていない身体は汗ばんでいる、というか普通に暑い。
(え!? く、くびれに巻き付いてる腕は誰!!?)
この部屋には誰も居ないはずなのにと心臓が跳ね上がるが、こんなことをするやつは一人しか居ないと気が付く。
「イーサン……!?」
「やあエミリー。もう起きたのかい? まだ一時間しか経っていないよ」
「え? な、なにが……一時間……」
「うぅ……あんまり身体を動かされると太ももで擦れて刺激がッ」
「は? ていうか近いわよ!」
「ああエミリー、エミリー……!」
「ちょ、え、なっ、何してっ……」
「ッ、うッ!」
ドクドクと生命の鼓動が敏感な場所に伝わる。
恐る恐る自身の下半身に目をやると、太ももにはどろどろと白濁の液体が流れているではないか。それを辿った先は、割れ目に添わせるかたちで顔を覗かせた彼の性器。
こいつは何度果てたのか、骨盤の下には精液が溜まっていた。性懲りも無く未だに後ろから腰を揺らしている。
(ご丁寧にタオルまで敷いて……っ!)
ドクドクさせてどろどろ汚す男にわなわなと怒りが湧いてきたから、思い切り肘鉄を食らわした。
鈍い音と苦しそうな声が聞こえるが当然の報いだと思う。
「何っなの本当に! 何で居るのよ! 同じ部屋で寝るなんて聞いてないわよ……!」
「待て待てエミリー。俺だって別で予約していた部屋に戻ったさ。なのに運転手のマイケルときたら、スーツのクリーニングを頼んだのに堂々とベッドで大の字になって寝ていたんだよ! まぁ俺が最近無理させてたし、起こすのも悪いと思ってね」
「っ、だからって此処へ来なくても! マイケルさんと一緒の部屋で良いじゃないっ!」
「馬鹿言え! マイケルと同じ部屋!? しかも俺専属の運転手だぞ!? 俺が男色だって噂されるじゃないか! 貴族は些細な噂でも利用する生き物だってもう理解しているだろう? それなら婚約者と共に眠るよ!」
「っ~~でもでもっ! いくら婚約者といえどっ! 寝込みを襲うなんて犯罪よっ!」
「犯罪だって!? まさか! 我慢して挿れなかっただけ偉いと思うけどな……!」
汚された身体とベッドを整えながら言い合いをするのだが、ああ言えばこう言うで全く折り合いがつかない。そもそも彼ってこんなにペラペラ喋る人だったかしら。
会話のキャッチボールなんて皆無で、『うん』とか、『そうだね』ぐらいしか言わなかったのに。
「そもそも君は貴族に染まってなさすぎるんだよ! 最近は舞台なんかで憧れを抱く平民も居るようだけどあんなのは幻想だ! 現実はもっと汚くてドロドロしているものだよ!」
「う、嘘よ……! だって私っ……! パーティーでだって皆役者みたいにっ……!」
「嘘なもんか! ドラマティックでロマンティックな人生なんて滅多に無いだろ。暗くて汚い部分を取り除いて誇張したのが平民に届いているだけさ」
「そんなっ」
「恋愛して結婚が当たり前で育ったエミリーには理解出来ないかもだけど、ほんの少し前までは貴族子女は結婚するまで処女が望まれていたし、婚約を破断にしようと令嬢は無理やり犯され傷物にされてたし、借金の肩代わりなんかで禿げてて太ってて気持ち悪い男に16の少女が嫁がされるなんてよくある話だった。今は良くなった方だけどまだまだ貴族の根は深いよ。伝統や血筋を重んじるからね」
「っ……」
「もちろん酷いことをするのは貴族男性ばかりじゃないよ。好いた相手が友人と婚約してしまって許せないから令嬢が人を雇って襲わせる、なんてのもよくある手だ。今でもあるさ」
イーサンから聞かされた話は、嫉妬して愛する人を奪うとか同性を虐めるとかそんなレベルじゃなくて、本当に犯罪だった。
人を雇って、強姦して、我が子を商品として売る。薬を盛って子が出来ぬようにしたり、そして代わりに血筋を残したり。
そんなことが許されるわけ無いのに。お金があれば何でも出来るの。
なら私が憧れたあの舞台は全部嘘だって言うの?
本当に?
「今でこそ“処女でなければ”なんて貴族の婚姻条件は無くなったけど、無くなったからこそ増えてるんだよ。酔った勢いでとか、寝込みを襲う、なんてのがね。でも俺は無理やり犯してないでしょ。我慢は出来なかったけど」
「そっ、それはっ……まぁ……」
「あと自分で言うのも何だけど、俺は女性を不快にする見た目では無いんじゃないかな?」
「…………認めたくはないけど、寧ろ好まれるでしょうね」
「だろう? だからエミリー。挿れてもいいかな」
「は?」
真剣な瞳。彼の誠意は(一応)伝わった。
確かに同意無しで挿入はされていない。けれど肝心なことがひとつ。
「えっと、ソレじゃあ無理じゃない……?」
「へ? あれ!? な、何で! さっきまで……!」
「出し過ぎよ」
「待ってエミリー……! いま、今勃たすから……!」
「いえ。結構です。明日も仕事だって言ったでしょう。いい加減休ませて下さい」
「うう……エミリー……」
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