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寝取られた
しおりを挟む(あんのクッソ野郎ォ~~~……!! ぶっ殺してやるからなァ……!!)
※精神的な意
──私には婚約者が居る。
ひとつ歳下のイケメンだ。
歳は十九、金は無いが伯爵家の長男でイケメンだ。(※二度目)
金髪碧眼、王族だと勘違いされてもおかしくない神々しさ。
因みに私は金のある同じく伯爵家の令嬢で、彼と比べればくすんだ金茶でターコイズグリーンの瞳、まぁそれなりに美人だとは思うが、仕事優先のため化粧っ気は無く、華美なドレスは着ない。
そもそもドレスとも言えない仕事着、つまりは制服だ。
母は既に他界しており、父上は超有能なビジネスマンだが、持病により身体が弱く、ここ三年ぐらいは床に伏せっている。
私は父の代わりに実家の事業、言い換えれば領地運営を引き継ぎ、毎日忙しい次第だ。
私が生まれたメリーウェザー伯爵領は、豊かな大地と朗らかな人々、とても美しい場所で、王都から見ればザ・地方である。
婚約者であるジャンのロズワール伯爵領は王都から程近く、物流の拠点となっている。
しかしジャンの父親、ロズワール伯爵はここ数年で認知症だと診断された。
代わりに一人息子であるジャンが事業を取り仕切っているのだが……、如何せんビジネスには不向きな男だった。
しかしロズワール伯爵領との関わりを失えば我が領はインフラが途絶えるのと同じ。
この婚約、否、結婚は、領民の生活を守るため領主である貴族が負う責務。
家の為の結婚──、私だってそんなこと重々承知だ。
己の家を守るためであるから、我慢して当たり前。
私の父であるメリーウェザー伯爵は、大の女好きで性欲大魔王なジャンを「飼い慣らせ」と仰った。
ビジネスに不向き過ぎて借金ばかり膨れ上がらせる馬鹿なジャンに、『借金を肩代わりする代わりに、ロズワール伯爵領の物流センターの責任者を、アイビー・メリーウェザーに一任させる。但しロズワール物流センターでの収入の半分はロズワール伯爵領のものとする』という契約で婚約した。
アイビー・メリーウェザー、つまり私のことだ。
ジャンは馬鹿だから目先の欲にしか目がなく、こんなわかり易い契約にもご機嫌でサインしていたっけ。
これでロズワール伯爵領も、実質アイビー・メリーウェザーが握ったようなものだ。
ウィンウィンと言えば聞こえはいいが、どちらにせよジャン・ロズワールは私と婚約していなければ没落していただろう。
そんな訳で私は毎日大忙しなのだ。
なんてったって伯爵領二つを同時に運営しているのだから。
私の父、メリーウェザー伯爵は狡猾なビジネスマンであるが故、床に伏せりながらも色々とアドバイスを下さった。
其の一、「ジャンの顔が良いからと本気で好きにならない事」
其のニ、「嫉妬に心まで蝕まれないこと」
其の三、「やり返すなら情報を集め己が不利にならないこと」
其の四、「一度深呼吸をすること」
其の五、「王都で暮らすジャンの元へ月に一度は顔を出すこと」
其の六、「良き馬には乗り換えるべし」
ジャンと婚約して三年──、父が倒れてから三年──、守れなかった教えが唯一つだけあった。
それが今だ。
其の五、「王都で暮らすジャンの元へ月に一度は顔を出すこと」
ロズワール物流センターでシステムトラブルがあり、三ヶ月もの間、婚約者を放置していたのだ。
と言うかそもそもお前の領地事業なのだからお前が来いと言う話なのだが、性欲大魔王なため王都から帰ってこない。
今頃己の性欲を解消したくて令嬢でも口説いているのだろう。
一任されているのは私だから良いけど!?
そしてたった三ヶ月。
顔を合わせず「婚約者の私が監視してますよ」と云う脅しをかけられず、たったの三ヶ月。
ついに浮気した。
浮気しやがった。
我がメリーウェザーの金で生き長らえてるにも関わらず、裏切ったのだ。
他の女の股に理性の利かぬソレを捩じ込みやがった。
ほほう。
私の身体では満足出来ないと?
あたかも己が金持ちであると見せ掛け、王都の高級ホテルに知らぬ令嬢と泊まるとは。
良い度胸をしている。
確かに顔は可愛い造りをしていると思いますが?
胸はどう見たって私の方が大きいと思いますけど?
喘ぐ声が私とは一味違いますか?
つうかお前が払った高級ホテルのお金、そもそも私が稼いだ金じゃね??
(あーーそう。そうですかそうですか。ふぅ~~~ん)
「クッソ野郎、本気で絶対許さねェ……!!」
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