産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生3学期

1月19日(水)曇り 清水夢愛の願望その2

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 折り返しの水曜日。この日の放課後のHRで先日の実力テストの結果が返ってきた。6クラス約200人の中での順位は36位で、この前の実力テストとほぼ変わらない。
 うちの高校は進学校ではあるから半分より上にいるのは良い事だと前回は喜んでいたけど、今回の結果を見た僕は微妙だと思ってしまった。直前に勉強した割にはそれが結果に出ている実感がなかったからだ。

「おお、良助。お疲れ」

「産賀くん、お久しぶり。何ならあけましておめでとうかしら?」

 そんなことを考えながら下駄箱へ向かっていると、僕は清水先輩と桜庭先輩に偶然出会う。

「改めてになるけど、京都のお土産ありがとうね。わざわざ私の分まで」

「いえいえ。ちゃんと行き渡って良かったです」

「むっ。私が盗み食いするとでも思ってのか?」

 妙ないちゃもんを付けられたので「違います」と僕は否定する。冬休みにあった際に桜庭先輩の分のお土産も清水先輩に託していたけど、今日まで会うタイミングがなかったからそうしておいて正解だった。

「今日は茶道部ですか?」

「いいえ。これから図書室で勉強していこうと思って。実力テストも返ってきたし」

「……そうだ、良助。もしかして私に何か用事があったりしないか? 具体的には学校外に行かなければならないような……」

「こら、逃げないの」

 僕の方に迫ろうとした清水先輩を桜庭先輩は肩を掴んで止める。

「早速テストの振り返りですか。凄いですね」

「まぁ、もう少しすれば私たちも受験生だから。夢愛もとりあえずは大学受験を目指すみたいだし、今までが勉強してなかったからまだ癖を付けていかないとね」

「うー……別に悪い結果じゃなかったんだから今日はいいじゃないかぁ」

「そう言ってたら見直ししなくなるのよ。少ない分早く終わるからいいじゃない」

「へー 二人とも学年内だとどれくらいの順位なんですか?」

 興味本位で僕がそう聞くと、桜庭先輩は何故か悪戯っぽい笑みを見せる。

「何位だと思う?」

「えっ。それはその…」

「産賀くんが普段の私たちをどう見ているかわかるわね」

「それで判断されるんですか!? べ、別に極端に悪いとかは思ってないですけど……」

 以前に清水先輩の成績を聞いた時はかなり良い点数だった。でも、それはあくまで定期テストの話で、範囲が広くなった実力テストだと変わってくる可能性もある。
 そして、失礼ながらイメージ的には清水先輩より桜庭先輩の方が成績は良さそうに見える。

「予想はできた?」

「……清水先輩が30位前半で、桜庭先輩が20位後半」

「え。私の方が低いんだが? 良助、私のことそんな風に……」

「違いますよ!? 全然悪い順位じゃないつもりで言ってます!」

 僕の必死の釈明に高く言われた桜庭先輩の方が楽しそうに笑う。

「なるほどね。産賀くん的に私たちは結構優秀な方だと思われてるんだ」

「そ、それで実際は……?」

「学年順位だと夢愛が9位、私が6位よ」

「ええっ!?」

「どうだ、良助! 本当は小織と3位しか差がないんだぞ!」

 誇るべきはそこではなく、二人とも僕が想像している以上に勉強ができていた。なまじ宿題を嫌がる姿を見ていた清水先輩は特に驚きだ。

「な、なんか低く見積もってすみません……」

「謝ることないのに。私も予想するなら一桁から言わないだろうし」

「ちなみに良助は何位なんだ?」

「……36位です」

「よし、勝った!」

「1年生と比べても意味ないでしょ。でも、産賀くんも半分より上なら凄いことじゃない」

 桜庭先輩にそう言われるけど、僕はどう返したらいいか困ってしまった。二人の順位を聞いた後だと慰められているように聞こえてしまう。

「あら、だいぶ話しちゃったわね。それじゃあ、産賀くん。私たちはそろそろ行くわ」

「うー……しょうがないか。良助、また今度」

 そのまま暫く二人を見送っていると、清水先輩は後ろ髪を引かれるように僕の方を何度か見ていた。本当に助けて欲しかったのかもしれないけど、やってることはいい事だから僕には止められない。

 嫌々やらされている清水先輩はともかく、学年内で高い順位でもすぐに振り返りしようとする桜庭先輩は素直に凄いと思った。それと当時に帰ったら僕も間違ったところを見直そうと思わされた。
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