産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生3学期

1月21日(金)雪のち曇り 岸本路子の成長その4

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 寒さが続く金曜日。連日雪が続いても帰る時には溶けているので清水先輩が期待するような積もり方はしていない。この雪も2月に入る頃には収まるようなので、自転車通学の僕にとってはありがたいことだ。

 そんな中、本日も放課後に文芸部でネタを練り始める。ストーリーの方針としては大人に移り変わる瞬間を少しファンタジー味を入れて書くことに決めたけど、詳しいストーリーはまだ出来上がっていない。

「産賀くん、ちょっといい?」

 そうして少々煮詰まっているタイミングで岸本さんが僕へ声をかける。

「うん、大丈夫。どうしたの?」

「水曜日に実力テストが返って来たからその話をしたいと思って」

「ああ。岸本さんは……」

 そう言いかけて僕は先日のことを思い出す。これで安易に順位を聞いてしまったらまた「何位だと思う?」と聞かれる展開になってしまうかもしれない。それでマウントを取るようなことになってはいけない。

「……どの教科が一番良かった?」

「国語だった。でも、数学はあまり良くなくて……やっぱり水原さんみたいに塾へ通った方がいいのかな」

「塾かぁ。中学の時は行ってたけど、高校でもいずれは行かなきゃいけないのかも」

 先日の清水先輩と桜庭先輩の順位を聞いたからというわけではないけど、これから先のことを考えれば何らかの塾や講座は受けておいた方がいい気がする。
 もちろん、両親に相談した上で考えなきゃいけないことだけど。

「わたしはこれまでそういうところは全く行ってなくて、小学校の時に習字をやってたくらいだから……」

「へぇ、そうなんだ。確かに岸本さんの字、綺麗だよね」

 以前に渡してくれたおすすめ本のリストや文化祭の展示物でもそう感じていた。僕は字が汚いと言われたことはないけど、自分としてはどこか丸っぽい字なのでお世辞にも綺麗と言えないので、素直に尊敬する。

「そ、そうかな? でも、自分で見る物ではそんなに丁寧じゃないから」

 岸本さんがそう言うので、僕は思わず今取っているメモの方に目を向けてしまう。そこには恋やら好きやらという単語が……

「う、産賀くん!?」

 そう言いながら岸本さんはメモに覆いかぶさって視線を遮る。そして、僕もやらかしてしまったことに気付く。

「ご、ごめん! そんなつもりじゃなくて!」

「う、ううん。わたしが話を振ったせいだから……」

「なになに!? ウーブくんと岸本ちゃん!?」

 それを聞きつけたソフィア先輩が混ざったことで何とか悪い空気にはならずに済んだ。話題が全然違う方向に切り替わるのはよくあることだけど、まさかそれで本来警戒していたこととは別の失敗するとは思わない。

 今週は僕にとって迂闊な言動をしてしまう週だったようだ。
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