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第二十二話 エステラン攻略戦 前編
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左翼前線ではレッドフォード隊が激戦を繰り広げ、帝国軍陣地後方からは正体不明の軍団が出現した。
まるで生き物の様に変化した戦場。だがしかし、そんな戦場の変化など全く知る事なく、激し過ぎる頂上決戦を繰り広げている戦場がある。
もしもそこに、ヴァスティナ帝国軍参謀長リクトビア・フローレンスがいたならば、きっとこう言ってしまうだろう。「ゴリオン対メガロドン」と・・・・・・。
「ふんぬうううううううううううっ!!!!」
それは、とても巨大な魚だった。いや、これを魚と呼んでよいのだろうか?
エステラン国軍サーペント隊の召喚魔法使い、ジョナサン・ロードナーが出現させた巨大な鮫は、帝国軍を食らい尽すべく襲いかかっていた。それを阻止しようと前に出て、味方を守るために戦っているのは、帝国軍鉄壁の盾であるゴリオンだ。
彼は大斧を構え、風属性魔法に乗せられて向かって来る巨大鮫に対し、猛然と立ち向かう。敵も味方も、人類対鮫の頂上決戦とも言えるこの戦いを、固唾を呑んで見守っていた。
ゴリオンの大きさは、常人を遥かに超えるものである。だがこの鮫は、そんなゴリオンを丸呑みに出来そうな程、巨大な鮫であった。体長は実に十五メートルはあり、まさに怪物である。
そんな巨大な鮫が、風に乗って飛来する。誰が見ても、それは異常で驚愕の光景であった。この鮫はメガロドンと呼ばれる最大級の種であり、海の王者と呼べる存在だ。それが今、風属性魔法の力を借りて、その巨体が宙を舞っている。
メガロドンはゴリオン目掛け、その巨大な口を開き、彼を喰らい尽そうと飛来する。自分へと向かって来るメガロドンを正面から叩き切るべく、ゴリオンは大斧を振り上げ、絶妙なタイミングで振り下ろした。メガロドンの大口を、彼の大斧が真っ二つに引き裂くかと思われたが・・・・・・・。
「なっ、なんだな!?」
ゴリオンの振り下ろした大斧は、風属性魔法の力によって阻まれてしまった。大斧はメガロドンを斬り裂く直前で、目に見えない風の壁に阻まれ、その勢いを失ってしまったのである。
風に守られたメガロドンは、一旦大口を閉じて反撃に移る。風の力を使い、ゴリオンへと突進を仕掛けた。ゴリオンは大斧を盾にし、メガロドンの突進を受ける。体重約五十トンはある巨体の突進は、常人を軽く殺せる一撃だろう。それをゴリオンは、真正面から受けてしまった。
「ぐうううううううううううっ!!!」
盾にした大斧にメガロドンが突進し、ゴリオンは弾き飛ばされるかに見えた。だが彼は、この凄まじい衝撃に耐えて見せたのである。大きく後ろに押し戻されはしたものの、彼は立っていた。立ったまま受け止め切って見せたのである。
「そっ、そんな馬鹿な!?」
ジョナサンやクロードの驚きの声と、両軍からの感嘆の声が上がる。敵兵ですら、彼の常人離れした怪力に魅せられた。
メガロドンは風に乗り、一旦ゴリオンから距離を取って、再び空を舞う。ゴリオンはメガロドンの動きから眼を逸らさず、敵の次の攻撃に備えながら、勝つための作戦を必死に思考していた。
(どうすればいいんだな・・・・・・・)
彼の自慢の大斧は、風属性魔法の壁に阻まれてしまった。
ジョナサンの召喚した最大生物メガロドンは、クロード達の風属性魔法の支援を受けている。この常識外れの大きく重い生物を浮かせるため、クロード達は魔法を最大限まで高めている。最大魔力を集中しているお陰で、風がメガロドンの周囲を厚く覆っているのだ。そのせいでゴリオンの大斧は通らなかった。
大斧は通らない。となれば、この場の兵士達が持つ武器など、全く効果がないだろう。今のこの状況では、勝てる手段はない。
(大きな魚なんだな。きっと、レイナに持っていったら喜ぶんだな)
ヴァスティナ帝国大食い王ゴリオンに、勝るとも劣らない食い意地を持つ彼女ならば、この鮫を御馳走だと考えてもおかしくはない。勿論、こんな怪物を仕留められるのならばの話だが・・・・・・。
(あれしかないんだな・・・・・・)
ゴリオンとメガロドンが死ぬ気で戦えば、両者無事では済まない。ゴリオンが勝つためには、腕や脚を失う覚悟が必要だろう。相手の大きな口の前では、彼の肉体は簡単に食い千切られてもおかしくない。
勝利するには接近戦しかないだろう。風の壁に守られたメガロドンには、弓や弩などの飛び道具が効かないからだ。しかし、接近戦を行なったとしても、彼の振り下ろす大斧ですら防がれてしまうため、ゴリオンには何もできない。
彼に残されたものは、この日のために用意しておいた、最後の手段しかなかった。
まるで生き物の様に変化した戦場。だがしかし、そんな戦場の変化など全く知る事なく、激し過ぎる頂上決戦を繰り広げている戦場がある。
もしもそこに、ヴァスティナ帝国軍参謀長リクトビア・フローレンスがいたならば、きっとこう言ってしまうだろう。「ゴリオン対メガロドン」と・・・・・・。
「ふんぬうううううううううううっ!!!!」
それは、とても巨大な魚だった。いや、これを魚と呼んでよいのだろうか?
エステラン国軍サーペント隊の召喚魔法使い、ジョナサン・ロードナーが出現させた巨大な鮫は、帝国軍を食らい尽すべく襲いかかっていた。それを阻止しようと前に出て、味方を守るために戦っているのは、帝国軍鉄壁の盾であるゴリオンだ。
彼は大斧を構え、風属性魔法に乗せられて向かって来る巨大鮫に対し、猛然と立ち向かう。敵も味方も、人類対鮫の頂上決戦とも言えるこの戦いを、固唾を呑んで見守っていた。
ゴリオンの大きさは、常人を遥かに超えるものである。だがこの鮫は、そんなゴリオンを丸呑みに出来そうな程、巨大な鮫であった。体長は実に十五メートルはあり、まさに怪物である。
そんな巨大な鮫が、風に乗って飛来する。誰が見ても、それは異常で驚愕の光景であった。この鮫はメガロドンと呼ばれる最大級の種であり、海の王者と呼べる存在だ。それが今、風属性魔法の力を借りて、その巨体が宙を舞っている。
メガロドンはゴリオン目掛け、その巨大な口を開き、彼を喰らい尽そうと飛来する。自分へと向かって来るメガロドンを正面から叩き切るべく、ゴリオンは大斧を振り上げ、絶妙なタイミングで振り下ろした。メガロドンの大口を、彼の大斧が真っ二つに引き裂くかと思われたが・・・・・・・。
「なっ、なんだな!?」
ゴリオンの振り下ろした大斧は、風属性魔法の力によって阻まれてしまった。大斧はメガロドンを斬り裂く直前で、目に見えない風の壁に阻まれ、その勢いを失ってしまったのである。
風に守られたメガロドンは、一旦大口を閉じて反撃に移る。風の力を使い、ゴリオンへと突進を仕掛けた。ゴリオンは大斧を盾にし、メガロドンの突進を受ける。体重約五十トンはある巨体の突進は、常人を軽く殺せる一撃だろう。それをゴリオンは、真正面から受けてしまった。
「ぐうううううううううううっ!!!」
盾にした大斧にメガロドンが突進し、ゴリオンは弾き飛ばされるかに見えた。だが彼は、この凄まじい衝撃に耐えて見せたのである。大きく後ろに押し戻されはしたものの、彼は立っていた。立ったまま受け止め切って見せたのである。
「そっ、そんな馬鹿な!?」
ジョナサンやクロードの驚きの声と、両軍からの感嘆の声が上がる。敵兵ですら、彼の常人離れした怪力に魅せられた。
メガロドンは風に乗り、一旦ゴリオンから距離を取って、再び空を舞う。ゴリオンはメガロドンの動きから眼を逸らさず、敵の次の攻撃に備えながら、勝つための作戦を必死に思考していた。
(どうすればいいんだな・・・・・・・)
彼の自慢の大斧は、風属性魔法の壁に阻まれてしまった。
ジョナサンの召喚した最大生物メガロドンは、クロード達の風属性魔法の支援を受けている。この常識外れの大きく重い生物を浮かせるため、クロード達は魔法を最大限まで高めている。最大魔力を集中しているお陰で、風がメガロドンの周囲を厚く覆っているのだ。そのせいでゴリオンの大斧は通らなかった。
大斧は通らない。となれば、この場の兵士達が持つ武器など、全く効果がないだろう。今のこの状況では、勝てる手段はない。
(大きな魚なんだな。きっと、レイナに持っていったら喜ぶんだな)
ヴァスティナ帝国大食い王ゴリオンに、勝るとも劣らない食い意地を持つ彼女ならば、この鮫を御馳走だと考えてもおかしくはない。勿論、こんな怪物を仕留められるのならばの話だが・・・・・・。
(あれしかないんだな・・・・・・)
ゴリオンとメガロドンが死ぬ気で戦えば、両者無事では済まない。ゴリオンが勝つためには、腕や脚を失う覚悟が必要だろう。相手の大きな口の前では、彼の肉体は簡単に食い千切られてもおかしくない。
勝利するには接近戦しかないだろう。風の壁に守られたメガロドンには、弓や弩などの飛び道具が効かないからだ。しかし、接近戦を行なったとしても、彼の振り下ろす大斧ですら防がれてしまうため、ゴリオンには何もできない。
彼に残されたものは、この日のために用意しておいた、最後の手段しかなかった。
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