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第一章 高等学院編 第二編 学院の黒い影(一年次・冬)
EP.XXIX 影の正体を突きとめろ (推理編)
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善と悪との報は影の形に随ふが如し。苦と楽との響は谷の音に応ふるが如し。見聞く者は、甫めて驚き怪ぶるときに忘るゝこと一卓の間なり。慚愧づる者は、倐に悸して惕ふとも怠ること起ち避る頃なり。善と悪との状を呈すにあらずは、何を以ちてか曲執を直して是非を定めむ。因果の報を示すにあらずは、何に由りてか悪しき心を改めて善き道を修はむ。昔漢地に冥報記を造り、大唐国に般若験記を作る。何すれぞただし他国の伝録に慎みて、自が土の奇しき事を信ひ恐りざらむ。粤に目を起して矚れば、忍び寝むこと得ず。心を居きて思へば、黙然すること能はず。故に聊側に聞くことを注し、号けて日本国現報善悪霊異記と曰ふ。上中下の参巻と作て、季の葉に流ふ。
然れども景戒、性を稟くること儒しくあらず。濁れる意澄すこと難し。坎井の識久しく大方に迷ふ。能き巧の雕る所に、浅き工力を加ふ。心恉を寒さむことを恐り、手を傷はむことを患ふ。此れまた崐山の一の礫なり。ただし口に説くこと詳ならざるを以ちて、忘遺るゝこと多なり。善を貪ふことの至に昇へず、濫竽の業を示さむことを慄る。後に生るゝ賢き者、幸はくは𠹛嗤ふことなかれ。祈はくは奇しき記を覧る者、邪を却りて正に入れ。諸の悪は作すことなかれ。諸の善は奉り行へ。
無限回廊書架 DDC. 201
――諾楽右京薬師寺沙門・景戒『日本国現報善悪霊異記』上巻・序 - A.D. 822
「じゃあ、まずは召喚の魔法について考えてみよう。地下牢にいた少女が、どうやってそんなにも途方もないものを召喚できたのか」
僕の真剣な表情を見て、マリーも神妙な面持ちで頷く。ホーカンとクヤタは既に先の方へ行った。あっちはリズベツとイェスペルに任せておこう。僕らは後を追うように慎重に歩きながら話し始めた。
「魔法士でなくとも召喚魔法を使うだけならできる、ということでしたね」
「ああ、そうだ。けれどそのためには魔法陣と魔導書と、魔力源が必要なんだ。このうち、魔法陣と魔導書については僕がもう見つけたから、ここから考えられる可能性は二つだ。ホーカンがあの地下牢にいた少女を魔力源として召喚魔法を使ったか、あるいは…」
ハッと気づいたようにマリーが言う。「その子に魔法を使わせた?」
「うん、その可能性がある。というか、その可能性の方が高い。魔法的に言えばその方が簡単なんだ。他人から魔力を奪って魔法を使うよりも、自分の魔力で魔法を使う方がシンプルだからね。彼女が奴隷だったというならなおさら命令して無理やり使わせることも容易いだろうし」
マリーが少し浮かない表情をしている。
「オークスベルガの村の儀式魔法も…他の人の魔力を利用していますしね」
「そうだね…まぁそれは止むを得ないんじゃないかな…」
オークスベルガの儀式魔法の発動には人一人分の魔力と生命力が必要になる。それを百五十人ほどの住人に分担して、しかも一年かけて少しずつ集める。一人ずつの魔力の負担は微々たるものだろう。巫女の命を犠牲にしないためには仕方のないことだ。
その責任は決してマリーにあるわけではないが、村の歴史には住人からの魔力収集を失敗した過去もあり、今日までだって気にしないわけにはいかなかったのだろう。
「マリー、君が使っている儀式魔法は確かに他人の魔力を使って発動するものだけど、それは村の人たちの願いを乗せて、平穏を望むみんなの想いを叶えるために、君が代わりに行使しているに過ぎないんだ。だから、君が居なくちゃ僕たちの願いは叶わないし、僕たちの願いを代わりに叶えてくれる君に感謝こそすれ、文句なんてあるはずがないよ。むしろ、そんな事を言う奴がいたら僕がとっちめてやるさ」
「コーダさん…。ありがとう…ございます。やっぱりコーダさんには敵いませんね」
マリーも心の靄が消えたのか先ほどよりもスッキリとした表情をしている。
他人の魔力を使って魔法を発動させるのは悪いことではない。むしろその手法は、魔力は持っているが自分の使えない魔法を使う仕組みとして、魔道具や巻物というものに応用されている。
生徒会長のニコライが蜜酒醸山羊を討伐した際に撃った魔法刻印の刻まれた矢も魔道具の一種だ。矢がニコライから魔力を受け取って、予め組み込まれた魔法を発動したという原理だ。
「だけど、ホーカンのやり方は見過ごせるものじゃない…。あんな奴隷の女の子から衰弱するまで魔力を吸い上げるなんて酷すぎる。あれは魔力が枯渇してもそれだけでは足りず、さらに生命力まで引き出したせいだと思う…」
「そんなに酷い状態だったんですか…?」
「あぁ、僕が駆けつけた時には息も絶え絶えで、喋るだけでも辛そうだった…。おまけに全身は傷だらけで…」
「そんな…いくら奴隷だからって…酷いです」
「おそらく嫌がる彼女に無理やりホーカンが魔法を使わせたんだろう」
――いや、少し変だ。
だとすれば、彼女は何を嫌がったんだろうか。
傷だらけにされるまで召喚を拒む理由があったのだろうか。
彼女は言っていた。『たす…けて…』と。それから『あの子を…止めて…』と。彼女の言った「あの子」とはクヤタのことで間違いないだろう。だとすれば、クヤタを止めることが、クヤタを助けることになるということだろうか…。
「コーダさん…?」
いつの間にか考え込んでいた僕にマリーが心配そうに声をかけた。
「あぁ、ごめん。彼女が傷だらけになるほど召喚の魔法を使うのを嫌がったのだとして、どうしてそこまで嫌がったのかを考えてたんだ」
「何か使いたくない理由があったということですか?」
「おそらくね。僕が地下牢に行った時、彼女は自分の身よりもクヤタの方を案じていたんだ」
「えっ? でもクヤタは強大な聖獣なのではないですか?」
そうだ。クヤタほどの聖獣であればそんじょそこらのモンスターなどに遅れをとることもないだろうが…。
「リズが言っていた言葉を覚えてるか?」
マリーが考えを記憶の中に巡らす。リズと会った時、リズはクヤタについてどう言っていたか。
「ええと…確かホーカンが牛みたいな獣を使役していると…」
「そうだ。四万の足やら目やらがあるはずのクヤタを見て、何も知らないリズベツがどうしてそれを牛だと分かる?」
「あ。それもそうですね…。もしかして、大きさも、見た目も…」
「そう、クヤタは魔導書に書かれたままの姿ではなく、おそらく小型の牛の獣のような形で召喚されたんだ」
「それはつまり――クヤタは本来の姿ではなく、弱体化しているということでしょうか?」
「そう考えればあの少女が心配するのも納得できるんじゃないかと思ったんだ。しかも相手はこのピラミッドに祀られている神様かなんかだろ」
「確かにそうかもしれませんが…。でも、クヤタはホーカンに言われて無理やり召喚させられたんですよね? それなのになぜ彼女はクヤタのことをそんなに心配するのでしょうか…」
自分の意思に反して無理やり召喚させられた召喚獣に、果たして愛着は湧くのだろうか。あるいは、極度に精神が消耗していたから、形はどうあれ、自分の呼び出した聖獣に温もりを求めてしまったのだろうか。それほどまでに、彼女は精神的に追い詰められていたのだろうか。そうなるよう、クヤタを精神の拠り所としてしまうように、あえて弱らせられていたのだろうか。
「もしかすると、先に召喚したのはピラミッドの方だったのかもしれない…」
「クヤタが先じゃなくて、ですか?」
「ピラミッドにしてもクヤタにしても、呼び出すのに必要な魔力量を考えれば、どちらか片方だけですら到底一人の豚人族が賄える魔力量じゃない。だが、彼女から流れ出ていた魔力のうち、土属性の方は流れ込んでいたのだとすれば、一応の説明はつく」
「ええと、確か土属性と闇属性の魔力が見えたというお話でしたね」
「最初は闇属性の魔力が彼女に流れ込み、彼女の持つ土属性の魔力を抜き出しているんだと思っていたけれど、もしかするとそれは逆だったのかもしれない」
「彼女に土属性の魔力が供給され、闇属性の魔力が抜き出されたということですよね…。でも、彼女は豚人族ですし土属性の加護を受けているのでは?」
彼女から闇属性の魔力が出てくる理由、それも説明がつく。
「いいか、僕の仮説はこうだ。まず、彼女の本来持つ土属性の魔力と、月明かりと雪明かりで増幅されたヘルゲソン邸周辺のマナを用いて、ピラミッドを召喚した」
最初は明るかったはずの月も、いつの間にか翳り、森全体が薄暗くなってしまったのはきっとその魔力を使ったせいだろう。
だとしても、建物を、それも歴史的聖遺物を別の場所から呼び寄せるなど狂気の沙汰でしかない。元の土地のマナバランスも崩壊するし、呼び出した土地のマナバランスも崩壊する。
「けれど、ちょうど邸宅周辺のマナを使ったところだったから、そこに歴史的聖遺物が現れても、マナの競合や拒否反応が起きることもなく、ほとんど影響が出なかった」
「で、でも、それでもその子の命は尽きてしまうのでは…」
「そうだね。かなり危険な状態だったと思う。彼女の命の灯火が尽きる直前でそれを助けたのが、ピラミッドの加護の力だ」
「そんな…ピラミッドにそんな力が…」
「ねぇマリー、学院の教会にだって、光の加護があるだろ?」
「あ! そうです! あります! なるほど、それなら…」
得心がいったという顔をするマリー。普段、特にマリーの方がよく赴いている学院の教会だ。築八百年以上を誇る十分に歴史的聖遺物と言って差し支えない建造物で、それぐらいの年月を経れば建物にも魔力は宿る。特にピラミッドや教会のように、信仰に関する建造物は人々の祈りを集めやすい。
それから、僕が書斎で魔法陣を見つけた時、魔法陣に流し込んだ魔力がピラミッドの方に転送されたのを確認した。あの時、既にピラミッドと地下牢の少女の間で土属性の経路が繋がっていて、常に土属性の魔力がピラミッドから彼女に向けて流れ込んでいたのだろう。
「ピラミッドには土属性の加護の力があった。その力によって周辺一帯に、そして召喚した術者に膨大な土属性の魔力を補充した。お陰で彼女は生きながらえることができたわけだけど、一度瀕死になるほどの代償を払った魔法を、もう一度使えと言われて、素直に使えるわけがないよね」
「そうですね…そんな思いは二度としたくないでしょうね…。それでももう一度クヤタを召喚するために魔法を使わされて…」
「ああ…。おそらく僕が駆けつけたのはその後だろう…」
マリーは辛そうに唇を噛んで、目一杯手を握り締めて、立ち止まった。ぎりぎりの所で涙を堪えている。本当に一番辛いのは私じゃなくて彼女だと、そういう意思の表れに見えた。そして話を続けながら、再び二人は歩き出す。
「ピラミッドは魔力を供給するけど、召喚獣は魔力を消費する。けれどクヤタにとって必要な闇属性の魔力が彼女の体内に存在していなかった」
「ですよね? すると、クヤタが彼女の中の魔力を強制的に闇属性に変換してから吸い出してるってことですか?」
「その通り。しかもクヤタが現界し続ける限りずっと、ね。その強制変換が彼女の体に負担をかけてるんだ」
「そんな…」
もう何度目の絶望だろう。一体なぜ彼女がこんなにも酷い目に遭わなければならないのか。
「それから、多分マリーたちが遭遇した黒い煙は、クヤタの魔力の影響だと思う。いくら弱体化しているといっても聖獣は聖獣だ。存在するだけで周囲に何らかの影響を及ぼす力を持っている。だから、クヤタがピラミッドという結界の内部に入った時、一気にその黒い煙が消えたんだ」
「そ! そ、そういうことだったんですか…」
何度も驚き過ぎたのか、だんだんマリーの反応も不安定になってきた。頭の理解は追いついているのだろうが、気持ちの理解が追いつかないのだろう。気持ちを理解するにはホーカンのやり方は残酷過ぎたし、地下牢の少女の絶望さえも雀の涙ほどしか理解できないだろう。
「そして、このままだときっとクヤタが何者かにやられてしまうんだろう。彼女がクヤタを止めて助けて欲しいとお願いしたぐらいだ。けれど、分からないのは、なぜホーカンはクヤタをピラミッドに向かわせて、わざわざ召喚したのに何者かにクヤタを滅ぼさせようとしているのか…というところだな」
「…まさか、あろうことか聖獣を生贄にするつもりですか!?」
「生贄…確かにそれはありえるけど…。彼の目的は一体…」
――その時、僕らの前に突如として一つの影が立ちはだかった。
「神様の名前が分かった」
それは僕らの頼れる仲間の一人、リズベツだった。
「も、もう驚かないぞ」
「リズ、無事だったのね」
ここに戻ってくるまでにどんな危険なことがあったのだとしても、リズベツはこんな風に澄ました顔をしていそうな危うさがある。周りに心配をかけないようにしようというリズベツの気持ちを優しさだと感じると同時に、頼られない寂しさも感じてしまう。
――僕がもっと強くならなきゃな。
「神様の名前はククルカン」
「なっ!? その名前をどこで!?」
「? ホーカンが言ってた」
「こ、コーダさん、落ち着いてください。リズが調べてきたからに決まってます」
「あ、それもそうだな。むしろ僕が調べてってお願いしてたのに」
少し取り乱したが冷静になろう。
――マヤ神話の創造神にして至高神、ククルカン。
またの名を古代ナワトル語で「翼のある蛇」。
過去三回にもわたって人類の創造に関与し、人々に文明を授けてきた。火・水・土・空気すべての属性を司り、人身御供を辞めさせたといわれる平和を好む神だ。だがそのあたりは後世に付け足された神話だとする説もある。
後世に付け足されたとされる話は他にもあって、他の神に騙されて酒を飲み、酔って自分の妹と肉体関係を持ってしまったという、なんとも世俗的なエピソードだ。
他にも世界を支配する別の神を倒して自分が支配者になったのに、その倒したはずの神にまた倒されてしまうという、なにかと最後の詰めが甘いことの多い神様だ。
そんな神様が祀られているということは、このピラミッドはまさしく――
「そうか、これがチチェンイッツァと呼ばれるピラミッドなんだね」
なるほど、そうすると色々見えてきた。
「要するに平和の神様に聖獣を殺させることで、ホーカンは平和の神様というアイデンティティそのものを奪うつもりだね」
「そんなことが…奪われるとどうなるのですか?」
「神様を祀ったこのピラミッド自体が機能停止して崩壊し、神様や聖獣の残骸でこの周辺一帯が瘴気に満たされることになる…と思う。仮に、クヤタがククルカンを倒してしまっても同じことが起きるんじゃないかな…」
「それって…結構マズい状況なんじゃないですか?」
「いや、結構どころじゃないね…これは。かなりマズい」
「でも、どうしてホーカンはそんなことをするんですか!?」
――いや、もうほんとそれは腹立たしい限りだけど。
――人間なんてみんなこんなものなんだろうか。
――こんな世界、開拓者になって守ることに何の意味があるのだろうか。
――あぁ。あと五年で全てが滅びるならそれも良いかななんて一瞬思ってしまった。
「ホーカンの自分の利益のために決まってるさ」
なるほど。ようやく僕は彼の背後についてもなんとなく予想がついたのだった。
然れども景戒、性を稟くること儒しくあらず。濁れる意澄すこと難し。坎井の識久しく大方に迷ふ。能き巧の雕る所に、浅き工力を加ふ。心恉を寒さむことを恐り、手を傷はむことを患ふ。此れまた崐山の一の礫なり。ただし口に説くこと詳ならざるを以ちて、忘遺るゝこと多なり。善を貪ふことの至に昇へず、濫竽の業を示さむことを慄る。後に生るゝ賢き者、幸はくは𠹛嗤ふことなかれ。祈はくは奇しき記を覧る者、邪を却りて正に入れ。諸の悪は作すことなかれ。諸の善は奉り行へ。
無限回廊書架 DDC. 201
――諾楽右京薬師寺沙門・景戒『日本国現報善悪霊異記』上巻・序 - A.D. 822
「じゃあ、まずは召喚の魔法について考えてみよう。地下牢にいた少女が、どうやってそんなにも途方もないものを召喚できたのか」
僕の真剣な表情を見て、マリーも神妙な面持ちで頷く。ホーカンとクヤタは既に先の方へ行った。あっちはリズベツとイェスペルに任せておこう。僕らは後を追うように慎重に歩きながら話し始めた。
「魔法士でなくとも召喚魔法を使うだけならできる、ということでしたね」
「ああ、そうだ。けれどそのためには魔法陣と魔導書と、魔力源が必要なんだ。このうち、魔法陣と魔導書については僕がもう見つけたから、ここから考えられる可能性は二つだ。ホーカンがあの地下牢にいた少女を魔力源として召喚魔法を使ったか、あるいは…」
ハッと気づいたようにマリーが言う。「その子に魔法を使わせた?」
「うん、その可能性がある。というか、その可能性の方が高い。魔法的に言えばその方が簡単なんだ。他人から魔力を奪って魔法を使うよりも、自分の魔力で魔法を使う方がシンプルだからね。彼女が奴隷だったというならなおさら命令して無理やり使わせることも容易いだろうし」
マリーが少し浮かない表情をしている。
「オークスベルガの村の儀式魔法も…他の人の魔力を利用していますしね」
「そうだね…まぁそれは止むを得ないんじゃないかな…」
オークスベルガの儀式魔法の発動には人一人分の魔力と生命力が必要になる。それを百五十人ほどの住人に分担して、しかも一年かけて少しずつ集める。一人ずつの魔力の負担は微々たるものだろう。巫女の命を犠牲にしないためには仕方のないことだ。
その責任は決してマリーにあるわけではないが、村の歴史には住人からの魔力収集を失敗した過去もあり、今日までだって気にしないわけにはいかなかったのだろう。
「マリー、君が使っている儀式魔法は確かに他人の魔力を使って発動するものだけど、それは村の人たちの願いを乗せて、平穏を望むみんなの想いを叶えるために、君が代わりに行使しているに過ぎないんだ。だから、君が居なくちゃ僕たちの願いは叶わないし、僕たちの願いを代わりに叶えてくれる君に感謝こそすれ、文句なんてあるはずがないよ。むしろ、そんな事を言う奴がいたら僕がとっちめてやるさ」
「コーダさん…。ありがとう…ございます。やっぱりコーダさんには敵いませんね」
マリーも心の靄が消えたのか先ほどよりもスッキリとした表情をしている。
他人の魔力を使って魔法を発動させるのは悪いことではない。むしろその手法は、魔力は持っているが自分の使えない魔法を使う仕組みとして、魔道具や巻物というものに応用されている。
生徒会長のニコライが蜜酒醸山羊を討伐した際に撃った魔法刻印の刻まれた矢も魔道具の一種だ。矢がニコライから魔力を受け取って、予め組み込まれた魔法を発動したという原理だ。
「だけど、ホーカンのやり方は見過ごせるものじゃない…。あんな奴隷の女の子から衰弱するまで魔力を吸い上げるなんて酷すぎる。あれは魔力が枯渇してもそれだけでは足りず、さらに生命力まで引き出したせいだと思う…」
「そんなに酷い状態だったんですか…?」
「あぁ、僕が駆けつけた時には息も絶え絶えで、喋るだけでも辛そうだった…。おまけに全身は傷だらけで…」
「そんな…いくら奴隷だからって…酷いです」
「おそらく嫌がる彼女に無理やりホーカンが魔法を使わせたんだろう」
――いや、少し変だ。
だとすれば、彼女は何を嫌がったんだろうか。
傷だらけにされるまで召喚を拒む理由があったのだろうか。
彼女は言っていた。『たす…けて…』と。それから『あの子を…止めて…』と。彼女の言った「あの子」とはクヤタのことで間違いないだろう。だとすれば、クヤタを止めることが、クヤタを助けることになるということだろうか…。
「コーダさん…?」
いつの間にか考え込んでいた僕にマリーが心配そうに声をかけた。
「あぁ、ごめん。彼女が傷だらけになるほど召喚の魔法を使うのを嫌がったのだとして、どうしてそこまで嫌がったのかを考えてたんだ」
「何か使いたくない理由があったということですか?」
「おそらくね。僕が地下牢に行った時、彼女は自分の身よりもクヤタの方を案じていたんだ」
「えっ? でもクヤタは強大な聖獣なのではないですか?」
そうだ。クヤタほどの聖獣であればそんじょそこらのモンスターなどに遅れをとることもないだろうが…。
「リズが言っていた言葉を覚えてるか?」
マリーが考えを記憶の中に巡らす。リズと会った時、リズはクヤタについてどう言っていたか。
「ええと…確かホーカンが牛みたいな獣を使役していると…」
「そうだ。四万の足やら目やらがあるはずのクヤタを見て、何も知らないリズベツがどうしてそれを牛だと分かる?」
「あ。それもそうですね…。もしかして、大きさも、見た目も…」
「そう、クヤタは魔導書に書かれたままの姿ではなく、おそらく小型の牛の獣のような形で召喚されたんだ」
「それはつまり――クヤタは本来の姿ではなく、弱体化しているということでしょうか?」
「そう考えればあの少女が心配するのも納得できるんじゃないかと思ったんだ。しかも相手はこのピラミッドに祀られている神様かなんかだろ」
「確かにそうかもしれませんが…。でも、クヤタはホーカンに言われて無理やり召喚させられたんですよね? それなのになぜ彼女はクヤタのことをそんなに心配するのでしょうか…」
自分の意思に反して無理やり召喚させられた召喚獣に、果たして愛着は湧くのだろうか。あるいは、極度に精神が消耗していたから、形はどうあれ、自分の呼び出した聖獣に温もりを求めてしまったのだろうか。それほどまでに、彼女は精神的に追い詰められていたのだろうか。そうなるよう、クヤタを精神の拠り所としてしまうように、あえて弱らせられていたのだろうか。
「もしかすると、先に召喚したのはピラミッドの方だったのかもしれない…」
「クヤタが先じゃなくて、ですか?」
「ピラミッドにしてもクヤタにしても、呼び出すのに必要な魔力量を考えれば、どちらか片方だけですら到底一人の豚人族が賄える魔力量じゃない。だが、彼女から流れ出ていた魔力のうち、土属性の方は流れ込んでいたのだとすれば、一応の説明はつく」
「ええと、確か土属性と闇属性の魔力が見えたというお話でしたね」
「最初は闇属性の魔力が彼女に流れ込み、彼女の持つ土属性の魔力を抜き出しているんだと思っていたけれど、もしかするとそれは逆だったのかもしれない」
「彼女に土属性の魔力が供給され、闇属性の魔力が抜き出されたということですよね…。でも、彼女は豚人族ですし土属性の加護を受けているのでは?」
彼女から闇属性の魔力が出てくる理由、それも説明がつく。
「いいか、僕の仮説はこうだ。まず、彼女の本来持つ土属性の魔力と、月明かりと雪明かりで増幅されたヘルゲソン邸周辺のマナを用いて、ピラミッドを召喚した」
最初は明るかったはずの月も、いつの間にか翳り、森全体が薄暗くなってしまったのはきっとその魔力を使ったせいだろう。
だとしても、建物を、それも歴史的聖遺物を別の場所から呼び寄せるなど狂気の沙汰でしかない。元の土地のマナバランスも崩壊するし、呼び出した土地のマナバランスも崩壊する。
「けれど、ちょうど邸宅周辺のマナを使ったところだったから、そこに歴史的聖遺物が現れても、マナの競合や拒否反応が起きることもなく、ほとんど影響が出なかった」
「で、でも、それでもその子の命は尽きてしまうのでは…」
「そうだね。かなり危険な状態だったと思う。彼女の命の灯火が尽きる直前でそれを助けたのが、ピラミッドの加護の力だ」
「そんな…ピラミッドにそんな力が…」
「ねぇマリー、学院の教会にだって、光の加護があるだろ?」
「あ! そうです! あります! なるほど、それなら…」
得心がいったという顔をするマリー。普段、特にマリーの方がよく赴いている学院の教会だ。築八百年以上を誇る十分に歴史的聖遺物と言って差し支えない建造物で、それぐらいの年月を経れば建物にも魔力は宿る。特にピラミッドや教会のように、信仰に関する建造物は人々の祈りを集めやすい。
それから、僕が書斎で魔法陣を見つけた時、魔法陣に流し込んだ魔力がピラミッドの方に転送されたのを確認した。あの時、既にピラミッドと地下牢の少女の間で土属性の経路が繋がっていて、常に土属性の魔力がピラミッドから彼女に向けて流れ込んでいたのだろう。
「ピラミッドには土属性の加護の力があった。その力によって周辺一帯に、そして召喚した術者に膨大な土属性の魔力を補充した。お陰で彼女は生きながらえることができたわけだけど、一度瀕死になるほどの代償を払った魔法を、もう一度使えと言われて、素直に使えるわけがないよね」
「そうですね…そんな思いは二度としたくないでしょうね…。それでももう一度クヤタを召喚するために魔法を使わされて…」
「ああ…。おそらく僕が駆けつけたのはその後だろう…」
マリーは辛そうに唇を噛んで、目一杯手を握り締めて、立ち止まった。ぎりぎりの所で涙を堪えている。本当に一番辛いのは私じゃなくて彼女だと、そういう意思の表れに見えた。そして話を続けながら、再び二人は歩き出す。
「ピラミッドは魔力を供給するけど、召喚獣は魔力を消費する。けれどクヤタにとって必要な闇属性の魔力が彼女の体内に存在していなかった」
「ですよね? すると、クヤタが彼女の中の魔力を強制的に闇属性に変換してから吸い出してるってことですか?」
「その通り。しかもクヤタが現界し続ける限りずっと、ね。その強制変換が彼女の体に負担をかけてるんだ」
「そんな…」
もう何度目の絶望だろう。一体なぜ彼女がこんなにも酷い目に遭わなければならないのか。
「それから、多分マリーたちが遭遇した黒い煙は、クヤタの魔力の影響だと思う。いくら弱体化しているといっても聖獣は聖獣だ。存在するだけで周囲に何らかの影響を及ぼす力を持っている。だから、クヤタがピラミッドという結界の内部に入った時、一気にその黒い煙が消えたんだ」
「そ! そ、そういうことだったんですか…」
何度も驚き過ぎたのか、だんだんマリーの反応も不安定になってきた。頭の理解は追いついているのだろうが、気持ちの理解が追いつかないのだろう。気持ちを理解するにはホーカンのやり方は残酷過ぎたし、地下牢の少女の絶望さえも雀の涙ほどしか理解できないだろう。
「そして、このままだときっとクヤタが何者かにやられてしまうんだろう。彼女がクヤタを止めて助けて欲しいとお願いしたぐらいだ。けれど、分からないのは、なぜホーカンはクヤタをピラミッドに向かわせて、わざわざ召喚したのに何者かにクヤタを滅ぼさせようとしているのか…というところだな」
「…まさか、あろうことか聖獣を生贄にするつもりですか!?」
「生贄…確かにそれはありえるけど…。彼の目的は一体…」
――その時、僕らの前に突如として一つの影が立ちはだかった。
「神様の名前が分かった」
それは僕らの頼れる仲間の一人、リズベツだった。
「も、もう驚かないぞ」
「リズ、無事だったのね」
ここに戻ってくるまでにどんな危険なことがあったのだとしても、リズベツはこんな風に澄ました顔をしていそうな危うさがある。周りに心配をかけないようにしようというリズベツの気持ちを優しさだと感じると同時に、頼られない寂しさも感じてしまう。
――僕がもっと強くならなきゃな。
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「なっ!? その名前をどこで!?」
「? ホーカンが言ってた」
「こ、コーダさん、落ち着いてください。リズが調べてきたからに決まってます」
「あ、それもそうだな。むしろ僕が調べてってお願いしてたのに」
少し取り乱したが冷静になろう。
――マヤ神話の創造神にして至高神、ククルカン。
またの名を古代ナワトル語で「翼のある蛇」。
過去三回にもわたって人類の創造に関与し、人々に文明を授けてきた。火・水・土・空気すべての属性を司り、人身御供を辞めさせたといわれる平和を好む神だ。だがそのあたりは後世に付け足された神話だとする説もある。
後世に付け足されたとされる話は他にもあって、他の神に騙されて酒を飲み、酔って自分の妹と肉体関係を持ってしまったという、なんとも世俗的なエピソードだ。
他にも世界を支配する別の神を倒して自分が支配者になったのに、その倒したはずの神にまた倒されてしまうという、なにかと最後の詰めが甘いことの多い神様だ。
そんな神様が祀られているということは、このピラミッドはまさしく――
「そうか、これがチチェンイッツァと呼ばれるピラミッドなんだね」
なるほど、そうすると色々見えてきた。
「要するに平和の神様に聖獣を殺させることで、ホーカンは平和の神様というアイデンティティそのものを奪うつもりだね」
「そんなことが…奪われるとどうなるのですか?」
「神様を祀ったこのピラミッド自体が機能停止して崩壊し、神様や聖獣の残骸でこの周辺一帯が瘴気に満たされることになる…と思う。仮に、クヤタがククルカンを倒してしまっても同じことが起きるんじゃないかな…」
「それって…結構マズい状況なんじゃないですか?」
「いや、結構どころじゃないね…これは。かなりマズい」
「でも、どうしてホーカンはそんなことをするんですか!?」
――いや、もうほんとそれは腹立たしい限りだけど。
――人間なんてみんなこんなものなんだろうか。
――こんな世界、開拓者になって守ることに何の意味があるのだろうか。
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これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
無属性魔法しか使えない少年冒険者!!
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「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。
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【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
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~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
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世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
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断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
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至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
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普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
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