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第一章 高等学院編 第一編 魔法化学の夜明け(一年次・秋)
EP.IX 王都の雑貨屋
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その八咫烏の後より幸行でませば、吉野河の河尻に到りましき。時に筌を作りて魚を取る人あり。
ここに天つ神の御子、
「汝は誰ぞ」と問ひ給へば、
「僕は国つ神、名は贄持之子といふ」と答へ申しき。これは阿陀の鵜飼の祖。
そこより幸行でませば、尾ある人井戸より出で来たりき。その井に光あり。
ここに「汝は誰ぞ」と問ひ給へば、
「僕は国つ神、名は井氷鹿といふ」と答へ申しき。これは吉野首らの祖なり。
すなはちその山に入り給へば、また尾ある人に遇ひ給ひき。この人巖を押し分けて出でき。
ここに「汝は誰ぞ」と問ひ給へば、
「僕は国つ神、名は石押分之子といふ。天つ神の御子幸行でますと聞きしゆゑ参向へつるにこそ」と答へ申しき。これは吉野の国栖の祖。
その地より踏み穿ち越へて、宇陀に幸行でましき。
(原文)
從其八咫烏之後幸行者 到吉野河之河尻 時作筌有取魚人 爾天神御子問汝者誰也 答曰僕者國神 名謂贄持之子 此者阿陀之鵜飼之祖 從其地幸行者 生尾人自井出來 其井有光 爾問汝誰也 答曰僕者國神 名謂井氷鹿 此者吉野首等祖也 即入其山之 亦遇生尾人 此人押分巖而出來 爾問汝者誰也 答曰僕者國神 名謂石押分之子 今聞天神御子幸行故 參向耳 此者吉野國巣之祖 自其地蹈穿越 幸宇陀
無限回廊書架 DDC. 212
――『古事記』中巻 A.D. 712
「らっしゃい! お、今年の新入生か?」
小洒落たログハウスのような店内には、壁や梁やに、所狭しと多様な商品が陳列されていて、店のカウンターには銀色の狼の顔をした主人が立っていた。雄々しき銀色の鬣をまとうその姿は、狼人族の中でも一段と強力な能力を持つ種族の証であり、彼らは銀狼人族と呼ばれている。
「ん? なんだ、この姿にビビってんのか? 心配すんな、取って喰やしねぇよ」
「は、はじめまして…」
イェスペルが恐る恐る挨拶を返す。有名な開拓者というからどんな人かと思っていたが、まさか銀狼人族だとは思わなかった。それは多分、イェスペルも同じなんだろう。だが自分がこのお店に来たいと言った手前か、自ら話しかけに行った。
「あ、あの! 吸血鬼殺しの称号を持ってるって本当なんですか?」
「なんだテメェ、疑ってんのか?」
「い、いえいえ、違います!」
「まぁ眉唾だけどな」
「えっ?」
店主と話しているイェスペルにはお構いなく、僕とマリーとリズベツは店に陳列された色々な商品を物色していた。
「なになに? 海龍の鱗?」
「なんだか凄そうなアイテムですが、どれだけ凄いのかもよくわかりませんね…」
「こっちには天馬の羽根と、銀狼の鬣がある」
「えっ? あの店主、自分の鬣を素材として売ってんのかよ! そりゃたしかに希少なんだろうけどさ…」
このお店に来たがってたイェスペルはともかく、僕らはどんな武器や防具を持つべきか、その素材に何が必要かなんてことも、まだ何も知らなかったので、特に今は何が必要ということもなかった。
ウィンドウショッピングとは得てしてそういうものだろうけれど、せっかく来たのだからせめて何か収穫がほしいとも思ってしまう。
「火山牛の燻製ファルーコルヴなんてものもあるぞ? これでも買って帰るか?」
「へー、美味しそうですね!」
「これも美味しそう。虹孔雀の卵」
モンスター食材でも結構美味しそうなものが色々あるのだと初めて知った。これはたしかに普通の肉屋や八百屋なんかでは買えなさそうだ。
「すみません、これとこれください!」
カウンターにいる店主に向かって話しかける。あ、そういえばイェスペルが居たんだった。
「店主、彼と何の話をしてたんですか?」
「おぅ、コーダ、なんか買いたいものあったのか?」
「うん、美味しそうな食材が売ってたからつい」
店主に話しかけたところで、話の区切りが良かったのか、イェスペルが僕の買い物に興味を示してくる。しまった、三人で選んでたから三人分しか見繕ってない!
…まぁ、いいか。
「小僧、そいつに目をつけるとはお目が高いじゃねぇか!」
「何言ってるんですか、店主。ここにあるものはどれも一級品で最高品質のものしか無いんですから、何を選んでもお目が高いことになってしまいますよ」
「…ジャッハッハッハ! こいつは嬉しいことを言ってくれやがる! よーし、お前さんが持ってきたものを半額にしてやろう!」
「本当ですか! 銀狼人族って人間の大人より全然男前ですね!」
「ジャッハッハ! よーし、お前さんにはこれもおまけしてやろう!」
「おぉ! いいんですか、こんなに! ありがとうございます!」
僕が店主と話し始めたとことで会話の輪からあぶれたイェスペルは、マリーとリズベツの元に行って耳打ちしていた。
「コーダのやつ、よく物怖じせずに話せるな…」
「しかも口がうまい」
「意外ですねぇ…。私が知ってる昔のコーダさんは、あんなに話す方ではなかったはずなのですが」
店主と話す僕を尻目に、イェスペルはマリーとリズベツにそんなことをこそこそと話していた。
「…それでな、お前さんの学友が俺っちの冒険譚を聞きたいって言うもんで、吸血鬼に出会した時の話をしてやったのさ」
「ええっ! 吸血鬼に遇ったことがあるんですか! よく生きて帰ってこれましたね! さすが銀狼人族ですね!」
「実は 180 年前によ、吸血鬼の討伐クエストに参加したんだが、あれは次元が違いすぎた。とにかく、まともに戦える相手ではなかったんだ。たいそうに吸血鬼殺しなんて呼ばれているがよ、ただ唯一俺っちだけが生きて帰ってきたからそう呼ばれているだけで、別に倒したわけでもなんでもないんだ」
「え、180 年前…。(何歳なんだこの人…というかこの狼人…)
仲間は…みんなだめだったんですか…」
「あぁ、一人残らず殺られちまったよ。銀の装備とかニンニクのお守りとかが吸血鬼への対抗策なんて言われていたが、そんなのはでたらめだった。奴にはそんなのは全く効かなかったんだ」
吸血鬼に関する言い伝えは昔から有名だった。おとぎ話や物語にもよく登場するそれは、基本的に神出鬼没の悪役として描かれることが多い。そして、聖なる十字架や銀の調度品、ニンニクの臭いなどが弱点だとされていた。
誰も生きて帰ってきたことがないと言われているのに、それだけの弱点や背景ストーリーなど、どうやってその情報を伝えたというのだろうか。吸血鬼が自ら吹聴して回るわけもないだろう。確かに信じるには根拠の薄い話だった。
そもそもは銀の杭で胸を打たれると死ぬ、という話が元になって、銀を苦手とするという話が広まったのだろう。たしかに魔力が高いので、ある程度の自己治癒能力はあるのだろうが、決して自己再生能力ではない。
杭で胸なんて貫かれてしまえば、普通はどの生物も死ぬ。それは吸血鬼とて例外ではないというだけの話であって、そしてそれがたまたま銀の杭だっただけで、銀自体には何の意味もないのだろう。
他にもニンニクを苦手とするという噂だが、狼人族こそ、なぜそれが眉唾だと気付かなかったのだろうか。
吸血鬼は普通の種族よりも六感(五感と脈覚)が非常に優れている。当然それは嗅覚も非常に優れていることを意味している。ニンニクの臭いなんて人間でも苦手とする人は多い。より鋭敏な嗅覚を持つ吸血鬼にとっては人間以上にきついだろう。なので、臭いを嫌がるというのはある意味で正しいが、それ以上の効果はないだろう。
「店主は、どうやって帰ってこれたんですか?」
「語るのも恥ずかしい話だから、あんまり言わないことにしてるんだがな…。汚い手だったとは分かってる。矜持も何もない最低の手段だ。だが、生き残るためにはそれしかなかったんだ」
そう声色を落として話しはじめた店主は、神妙な面持ちをしていた。
「奴の娘を人質に取ったんだ。いや、正確には人質に取った振りをしたんだ。罠にかけてそいつの娘を封印魔法で拘束し、屋敷に火を放ったという話をしたんだ。もちろん実際にそんなことをするつもりも、余裕もなかった。だが、そう話した途端、奴は急に必死の形相になって自分の娘の居る根城に飛んで帰っていったんだ」
「ということは、それが吸血鬼の弱点だったってことなんですか?」
「まぁそうなるな。おかげで俺っちは何とか助かったわけだが、それで一つ思ったことがある。なぁ小僧、吸血鬼がなんで討伐クエストになっているのか知ってるか?」
「え…そりゃ沢山人を殺したから、とかではないんですか?」
「もちろんそうだ。奴は多くの同胞を殺してきた。だが、殺されたやつは皆、討伐に行って返り討ちにあっただけの話だ。吸血鬼が街を襲ったり、人々に危害を加えたことなんて何一つなかったんだ」
「そんな…。だったらどうして…?」
どうして吸血鬼が討伐対象になっているのか。ほとんどの民間伝承では、夜な夜な現れては人の血を吸う悪い魔物だと、悪魔だと描かれている。
夜にしか活動せず、異質な能力を持ち、血を吸って生きる。不気味と評するには充分な条件が揃っている。
神と悪魔は紙一重である。人智の及ばない異質の存在、畏怖の対象であるものは全て、神か悪魔のいずれかに分類される。畏れることと怖れることは本質的には同じだ。ただその違いは不気味か否か、それだけである。
少しでも不気味な要素があれば、悪魔として称えられる。あまつさえ勝手にそれに即したストーリーや伝承まで捏造される始末だ。人々は、毎日の平穏を神に祈る一方で、良くないことが起こるとそれを全て悪魔のせいにしてきた。何らかの攻撃対象がなければ、心の平穏を保てないほど人間たちの心は脆弱だった。
「そう、人間や獣人たちは異質な存在を受け入れられない。理解できない存在を極端に怖がる。その上、自分の心の闇を、悪魔のせいに仕立て上げる。吸血鬼伝説の典型的なパターンはこうだ。女性が夜道を歩いていると、突然襲われて血を吸われる。その女性は死ぬか、使徒となる、と。夜に女性が一人で外を歩いていたら、普通に襲われやすいと思わないか?」
「たしかに…。でもそう聞くと、さっきの話も、娘のことで顔色を変えるほど大事に想う、普通のいいお父さんのように思えるんですが…」
「だろ? それを見てからなんか開拓者やってていいのか分からなくなってさ…。ってこんなこと、これから開拓者になる小僧に言うことじゃねぇな。忘れてくれ」
店主はそう言うものの、実際には、珍しいという希少性だけで、あるいは強力なモンスターだからという理由だけで討伐されていることも多いのかもしれない。ただそこに棲んでいたからというだけで、あるいは単なる腕試しのために、人々は数多の無辜の種族を手にかけてきた。
それこそ『銀狼の鬣』なんかも、店主が自分で散髪した分を出品しているだけだから特に問題ないものの、そういった素材のために他種族に狩られたなんてことは、枚挙に遑がないのだろう。
「それで吸血鬼の話の続きだがよ――」
店主がこうやって生きている以上、彼の奸計で吸血鬼の恨みを買って命を狙われている、なんてことも無さそうで、結局どうなったのか気になるところだった。
「娘に危険が及ばないよう、断崖絶壁の無人島に別荘を建てて、そこに幽閉してしまったらしい。その周囲の海域に人が立ち入ることができないように幻惑魔法をかけたという念の入れ様だ」
話を詳しく聞くと、180 年前のそのいざこざがあった後ぐらいから、ある地域の漁師たちが普段の沖合の漁場に行けなくなったという話が出始めた。なんでも漁師によると急に濃い霧が立ちこめるようになり、一日か数日で消えると思われた霧だったが、その日から年中霧に覆われてしまい、その海域に近づけなくなったとのことだった。
そうやって聞くと、もしかすると希少種族である吸血鬼は絶対数も少なく、それこそ慎ましく暮らしていて、ただ単に臆病に閉じこもっていたかっただけなのかもしれない。
だから娘が無事だったのならそれで良くて、無闇に争い事を増やすくらいなら、娘を隔離しようと考えたのかもしれなかった。
ℵ
銀狼人の店を出て、次はリズベツのリクエストの店に向かう。
「なんか…正義って難しいんだな…」
「コーダが珍しく悩んでるな」
「イェスペル、お前はさっきの話は聞いてどう思った?」
「どうもなにも、自分が正しいと思うことをやるだけだよ。誰にとっても正しいことなんて一つもないと思うぜ」
「……それもそうか」
誰かの利益になった分、誰かが損害を被っていたり、
誰かの希望が溢れている分、誰かが絶望を撒き散らしている。
そうやって世界のバランスが成り立っている中で、あらゆる種族、個人に対して、誰しもがすべからく正しくあろうとするが、おしなべて正しい事柄なんてものは世の中には存在し得ないのだろう。
イェスペルは、たまにこういういいことを言うから侮れないやつだ。考えすぎて立ち往生してしまう僕とは、いい補完関係にあると思っている。
さて、リズベツの目的のお店の方に近づいてきた。そのお店は、暗器や毒ポーションなど、隠密士向けのグッズが揃っているとのことらしいが、なかなかに怪しそうだ。
目的の店に近づくにつれて徐々に仄暗い裏通りに入っていく。お世辞にも治安が良さそうな場所ではなかった。
「王都といっても、こういう場所もあるんだな」
表通りに比べると活気はないが、それなりの数の露店が並んでいる。並べられている品は、品質の悪い物が多そうだが、掘り出し物もあるかもしれない。
店主は皆、愛想よく話すこともなく、沈黙している。
見れば鎖に繋がれた、まだ僕らと同じぐらいの歳の獣人の少女が、赤褐色の肌にぼろ布一枚を巻きつけたような貧相な格好で薪割りをさせられている。あれは豚人族だろうか。
おそらく奴隷として買われたのだろうが、同じ獣人と言えど、先ほどの狼人族とは扱いが雲泥の差だ。
獣人の中でも豚人族と牛人族は地位が低く、ほとんどが奴隷扱いの差別を受けている。
ずっとオークスベルガにいて獣人に馴染みの薄い僕からすれば、他の獣人と何の違いがあるのかよく分からないが、見た目の美醜だとか、獣の序列だとか、どうもそういったもので決まってしまっているそうだ。そういえばクラスにも何人か獣人の生徒が居たはずだが、豚人族と牛人族は居なかった。
「お、結構可愛くない?」
「イェスペル…お前ってやつはどうしてそう見境がないんだ…」
せっかくさっきのいい台詞でちょっと見直したところだったのに、元の木阿弥だよ!
そんな光景を横目に、僕らは目的の店に向かって行った。
それは、お世辞にも、お店としての体裁を成しているとは言い難かった。
お店であるのに、入り口というものはなく、言うなれば窓口と呼べるものが一つあるだけで、それも檻のような鉄格子がはめ込まれていた。その一部をくり貫いてあり、そこから黒い手ぬぐいを頭に巻いて、灰色の鬚を生やして眼窩の窪んだ壮年の男性が、じっと座っていた。
牢屋のようなカウンターの奥には、物置のように怪しげな暗器や薬品が置かれている。品目の名前も値段も書かれていない。
それが何の為のものなのか、分かる人にしか売らないということのように思えた。
「なんでリズはこんな店知ってるの?」
「隠密士の御用達」
「なんだか変に物静かなところですね」
一見さんお断りのような雰囲気にも見えるが、特に追い返されたりということもなさそうだ。だが、治安の面から考えて、この付近でスリや強盗に合わないとも限らない。充分に警戒していよう。
さっきの店の時のイェスペルのように、今度はリズベツが店主と話すのかと思われたが、リズベツは無言で何か紙に書いたリストを店主に差し出しただけだった。
それを見た店主は表情一つ変えることなく、席を立ち、がさごそと後ろの荷物を漁りだした。
それらを一通り頭陀袋に入れると、ぶっきらぼうに金額だけを告げた。
「小銀貨16だ」
「ほい」
リズベツもそれに倣ってか、同じように素気無く返す。いや、普段からこんな感じか。彼女にはこの空気も合っているのかもしれない。
「リズっちは何買ったんだ?」
「盗賊の七つ道具」
「なんだそれ?」
「それは企業秘密」
「えー、いいじゃんかよぅ」
イェスペルがリズベツに尋ねるが、やはりそれも膠もなく返される。
「イェスペル、気になるなら同じのを買って見れば?」
「えー、でも16小銀貨だろ? ちょっと中身調べるためだけに買うのも勿体ないじゃんか」
「そうか、じゃあ僕は買ってこようかな」
「えっ! まじで? どうして?」
「すみません、盗賊の七つ道具一式ください」
「おい、シカトすんなよー」
僕は店主に目的の品を告げるとリズベツのと同じように袋に入れて出してくれた。
「小銀貨12だ」
「はい、そしたらこれで」
リズベツの時より安い。なるほど、リズベツは他にもいくつか入り用の物を買ったんだろう。
ちょいちょい、と袖を引っ張られる。後ろを振り返るとリズベツが不思議そうに僕を見ていた。
「コーダ、どうして?」
「そりゃリズベツに隠密士の素質があるって言ってもらったからさ。ってのはまぁ冗談だけど、でも興味はあるんだ」
「隠密士になるの?」
「ううん、そうじゃないけど、戦略や戦術の幅が広がるだろ? 魔法士ってさ、魔法しか使わないと思われてるでしょ?」
「ほー、たしかに。魔法と合わせて使うつもりなんだ」
「そういうこと。戦士の剣や弓士の弓のような武器は隠し持つには大きすぎるけど…」
「隠密士の暗器なら隠し持つのに最適、なるほど」
「今度使い方とか色々教えてよ」
「任された」
珍しくやる気のある感じで得意げな顔をしているリズベツが面白くて笑っていると、隣でマリーがむくれていた。
「あらあら仲のいいですこと」
「え、マリーどうしたの?」
「いえ、別に怒ってませんよ」
「えっ? いや、僕も怒ってるかどうかなんて訊いたつもりじゃなかった…んだけど…」
「マリー心配しないで。コーダの貞操は先にあげるから」
「ちょ! リズ! 先とか後とかそういう話じゃないです! というか本人の目の前でそんな話やめて下さい!」
リズベツがマリーをからかったりするなんて意外だ。よほどリズベツは上機嫌なのだろうか。いつもに増して明るい気がした。
次は、僕の行きたかったお店『アダムズ魔法堂』を目指すのだった。
ここに天つ神の御子、
「汝は誰ぞ」と問ひ給へば、
「僕は国つ神、名は贄持之子といふ」と答へ申しき。これは阿陀の鵜飼の祖。
そこより幸行でませば、尾ある人井戸より出で来たりき。その井に光あり。
ここに「汝は誰ぞ」と問ひ給へば、
「僕は国つ神、名は井氷鹿といふ」と答へ申しき。これは吉野首らの祖なり。
すなはちその山に入り給へば、また尾ある人に遇ひ給ひき。この人巖を押し分けて出でき。
ここに「汝は誰ぞ」と問ひ給へば、
「僕は国つ神、名は石押分之子といふ。天つ神の御子幸行でますと聞きしゆゑ参向へつるにこそ」と答へ申しき。これは吉野の国栖の祖。
その地より踏み穿ち越へて、宇陀に幸行でましき。
(原文)
從其八咫烏之後幸行者 到吉野河之河尻 時作筌有取魚人 爾天神御子問汝者誰也 答曰僕者國神 名謂贄持之子 此者阿陀之鵜飼之祖 從其地幸行者 生尾人自井出來 其井有光 爾問汝誰也 答曰僕者國神 名謂井氷鹿 此者吉野首等祖也 即入其山之 亦遇生尾人 此人押分巖而出來 爾問汝者誰也 答曰僕者國神 名謂石押分之子 今聞天神御子幸行故 參向耳 此者吉野國巣之祖 自其地蹈穿越 幸宇陀
無限回廊書架 DDC. 212
――『古事記』中巻 A.D. 712
「らっしゃい! お、今年の新入生か?」
小洒落たログハウスのような店内には、壁や梁やに、所狭しと多様な商品が陳列されていて、店のカウンターには銀色の狼の顔をした主人が立っていた。雄々しき銀色の鬣をまとうその姿は、狼人族の中でも一段と強力な能力を持つ種族の証であり、彼らは銀狼人族と呼ばれている。
「ん? なんだ、この姿にビビってんのか? 心配すんな、取って喰やしねぇよ」
「は、はじめまして…」
イェスペルが恐る恐る挨拶を返す。有名な開拓者というからどんな人かと思っていたが、まさか銀狼人族だとは思わなかった。それは多分、イェスペルも同じなんだろう。だが自分がこのお店に来たいと言った手前か、自ら話しかけに行った。
「あ、あの! 吸血鬼殺しの称号を持ってるって本当なんですか?」
「なんだテメェ、疑ってんのか?」
「い、いえいえ、違います!」
「まぁ眉唾だけどな」
「えっ?」
店主と話しているイェスペルにはお構いなく、僕とマリーとリズベツは店に陳列された色々な商品を物色していた。
「なになに? 海龍の鱗?」
「なんだか凄そうなアイテムですが、どれだけ凄いのかもよくわかりませんね…」
「こっちには天馬の羽根と、銀狼の鬣がある」
「えっ? あの店主、自分の鬣を素材として売ってんのかよ! そりゃたしかに希少なんだろうけどさ…」
このお店に来たがってたイェスペルはともかく、僕らはどんな武器や防具を持つべきか、その素材に何が必要かなんてことも、まだ何も知らなかったので、特に今は何が必要ということもなかった。
ウィンドウショッピングとは得てしてそういうものだろうけれど、せっかく来たのだからせめて何か収穫がほしいとも思ってしまう。
「火山牛の燻製ファルーコルヴなんてものもあるぞ? これでも買って帰るか?」
「へー、美味しそうですね!」
「これも美味しそう。虹孔雀の卵」
モンスター食材でも結構美味しそうなものが色々あるのだと初めて知った。これはたしかに普通の肉屋や八百屋なんかでは買えなさそうだ。
「すみません、これとこれください!」
カウンターにいる店主に向かって話しかける。あ、そういえばイェスペルが居たんだった。
「店主、彼と何の話をしてたんですか?」
「おぅ、コーダ、なんか買いたいものあったのか?」
「うん、美味しそうな食材が売ってたからつい」
店主に話しかけたところで、話の区切りが良かったのか、イェスペルが僕の買い物に興味を示してくる。しまった、三人で選んでたから三人分しか見繕ってない!
…まぁ、いいか。
「小僧、そいつに目をつけるとはお目が高いじゃねぇか!」
「何言ってるんですか、店主。ここにあるものはどれも一級品で最高品質のものしか無いんですから、何を選んでもお目が高いことになってしまいますよ」
「…ジャッハッハッハ! こいつは嬉しいことを言ってくれやがる! よーし、お前さんが持ってきたものを半額にしてやろう!」
「本当ですか! 銀狼人族って人間の大人より全然男前ですね!」
「ジャッハッハ! よーし、お前さんにはこれもおまけしてやろう!」
「おぉ! いいんですか、こんなに! ありがとうございます!」
僕が店主と話し始めたとことで会話の輪からあぶれたイェスペルは、マリーとリズベツの元に行って耳打ちしていた。
「コーダのやつ、よく物怖じせずに話せるな…」
「しかも口がうまい」
「意外ですねぇ…。私が知ってる昔のコーダさんは、あんなに話す方ではなかったはずなのですが」
店主と話す僕を尻目に、イェスペルはマリーとリズベツにそんなことをこそこそと話していた。
「…それでな、お前さんの学友が俺っちの冒険譚を聞きたいって言うもんで、吸血鬼に出会した時の話をしてやったのさ」
「ええっ! 吸血鬼に遇ったことがあるんですか! よく生きて帰ってこれましたね! さすが銀狼人族ですね!」
「実は 180 年前によ、吸血鬼の討伐クエストに参加したんだが、あれは次元が違いすぎた。とにかく、まともに戦える相手ではなかったんだ。たいそうに吸血鬼殺しなんて呼ばれているがよ、ただ唯一俺っちだけが生きて帰ってきたからそう呼ばれているだけで、別に倒したわけでもなんでもないんだ」
「え、180 年前…。(何歳なんだこの人…というかこの狼人…)
仲間は…みんなだめだったんですか…」
「あぁ、一人残らず殺られちまったよ。銀の装備とかニンニクのお守りとかが吸血鬼への対抗策なんて言われていたが、そんなのはでたらめだった。奴にはそんなのは全く効かなかったんだ」
吸血鬼に関する言い伝えは昔から有名だった。おとぎ話や物語にもよく登場するそれは、基本的に神出鬼没の悪役として描かれることが多い。そして、聖なる十字架や銀の調度品、ニンニクの臭いなどが弱点だとされていた。
誰も生きて帰ってきたことがないと言われているのに、それだけの弱点や背景ストーリーなど、どうやってその情報を伝えたというのだろうか。吸血鬼が自ら吹聴して回るわけもないだろう。確かに信じるには根拠の薄い話だった。
そもそもは銀の杭で胸を打たれると死ぬ、という話が元になって、銀を苦手とするという話が広まったのだろう。たしかに魔力が高いので、ある程度の自己治癒能力はあるのだろうが、決して自己再生能力ではない。
杭で胸なんて貫かれてしまえば、普通はどの生物も死ぬ。それは吸血鬼とて例外ではないというだけの話であって、そしてそれがたまたま銀の杭だっただけで、銀自体には何の意味もないのだろう。
他にもニンニクを苦手とするという噂だが、狼人族こそ、なぜそれが眉唾だと気付かなかったのだろうか。
吸血鬼は普通の種族よりも六感(五感と脈覚)が非常に優れている。当然それは嗅覚も非常に優れていることを意味している。ニンニクの臭いなんて人間でも苦手とする人は多い。より鋭敏な嗅覚を持つ吸血鬼にとっては人間以上にきついだろう。なので、臭いを嫌がるというのはある意味で正しいが、それ以上の効果はないだろう。
「店主は、どうやって帰ってこれたんですか?」
「語るのも恥ずかしい話だから、あんまり言わないことにしてるんだがな…。汚い手だったとは分かってる。矜持も何もない最低の手段だ。だが、生き残るためにはそれしかなかったんだ」
そう声色を落として話しはじめた店主は、神妙な面持ちをしていた。
「奴の娘を人質に取ったんだ。いや、正確には人質に取った振りをしたんだ。罠にかけてそいつの娘を封印魔法で拘束し、屋敷に火を放ったという話をしたんだ。もちろん実際にそんなことをするつもりも、余裕もなかった。だが、そう話した途端、奴は急に必死の形相になって自分の娘の居る根城に飛んで帰っていったんだ」
「ということは、それが吸血鬼の弱点だったってことなんですか?」
「まぁそうなるな。おかげで俺っちは何とか助かったわけだが、それで一つ思ったことがある。なぁ小僧、吸血鬼がなんで討伐クエストになっているのか知ってるか?」
「え…そりゃ沢山人を殺したから、とかではないんですか?」
「もちろんそうだ。奴は多くの同胞を殺してきた。だが、殺されたやつは皆、討伐に行って返り討ちにあっただけの話だ。吸血鬼が街を襲ったり、人々に危害を加えたことなんて何一つなかったんだ」
「そんな…。だったらどうして…?」
どうして吸血鬼が討伐対象になっているのか。ほとんどの民間伝承では、夜な夜な現れては人の血を吸う悪い魔物だと、悪魔だと描かれている。
夜にしか活動せず、異質な能力を持ち、血を吸って生きる。不気味と評するには充分な条件が揃っている。
神と悪魔は紙一重である。人智の及ばない異質の存在、畏怖の対象であるものは全て、神か悪魔のいずれかに分類される。畏れることと怖れることは本質的には同じだ。ただその違いは不気味か否か、それだけである。
少しでも不気味な要素があれば、悪魔として称えられる。あまつさえ勝手にそれに即したストーリーや伝承まで捏造される始末だ。人々は、毎日の平穏を神に祈る一方で、良くないことが起こるとそれを全て悪魔のせいにしてきた。何らかの攻撃対象がなければ、心の平穏を保てないほど人間たちの心は脆弱だった。
「そう、人間や獣人たちは異質な存在を受け入れられない。理解できない存在を極端に怖がる。その上、自分の心の闇を、悪魔のせいに仕立て上げる。吸血鬼伝説の典型的なパターンはこうだ。女性が夜道を歩いていると、突然襲われて血を吸われる。その女性は死ぬか、使徒となる、と。夜に女性が一人で外を歩いていたら、普通に襲われやすいと思わないか?」
「たしかに…。でもそう聞くと、さっきの話も、娘のことで顔色を変えるほど大事に想う、普通のいいお父さんのように思えるんですが…」
「だろ? それを見てからなんか開拓者やってていいのか分からなくなってさ…。ってこんなこと、これから開拓者になる小僧に言うことじゃねぇな。忘れてくれ」
店主はそう言うものの、実際には、珍しいという希少性だけで、あるいは強力なモンスターだからという理由だけで討伐されていることも多いのかもしれない。ただそこに棲んでいたからというだけで、あるいは単なる腕試しのために、人々は数多の無辜の種族を手にかけてきた。
それこそ『銀狼の鬣』なんかも、店主が自分で散髪した分を出品しているだけだから特に問題ないものの、そういった素材のために他種族に狩られたなんてことは、枚挙に遑がないのだろう。
「それで吸血鬼の話の続きだがよ――」
店主がこうやって生きている以上、彼の奸計で吸血鬼の恨みを買って命を狙われている、なんてことも無さそうで、結局どうなったのか気になるところだった。
「娘に危険が及ばないよう、断崖絶壁の無人島に別荘を建てて、そこに幽閉してしまったらしい。その周囲の海域に人が立ち入ることができないように幻惑魔法をかけたという念の入れ様だ」
話を詳しく聞くと、180 年前のそのいざこざがあった後ぐらいから、ある地域の漁師たちが普段の沖合の漁場に行けなくなったという話が出始めた。なんでも漁師によると急に濃い霧が立ちこめるようになり、一日か数日で消えると思われた霧だったが、その日から年中霧に覆われてしまい、その海域に近づけなくなったとのことだった。
そうやって聞くと、もしかすると希少種族である吸血鬼は絶対数も少なく、それこそ慎ましく暮らしていて、ただ単に臆病に閉じこもっていたかっただけなのかもしれない。
だから娘が無事だったのならそれで良くて、無闇に争い事を増やすくらいなら、娘を隔離しようと考えたのかもしれなかった。
ℵ
銀狼人の店を出て、次はリズベツのリクエストの店に向かう。
「なんか…正義って難しいんだな…」
「コーダが珍しく悩んでるな」
「イェスペル、お前はさっきの話は聞いてどう思った?」
「どうもなにも、自分が正しいと思うことをやるだけだよ。誰にとっても正しいことなんて一つもないと思うぜ」
「……それもそうか」
誰かの利益になった分、誰かが損害を被っていたり、
誰かの希望が溢れている分、誰かが絶望を撒き散らしている。
そうやって世界のバランスが成り立っている中で、あらゆる種族、個人に対して、誰しもがすべからく正しくあろうとするが、おしなべて正しい事柄なんてものは世の中には存在し得ないのだろう。
イェスペルは、たまにこういういいことを言うから侮れないやつだ。考えすぎて立ち往生してしまう僕とは、いい補完関係にあると思っている。
さて、リズベツの目的のお店の方に近づいてきた。そのお店は、暗器や毒ポーションなど、隠密士向けのグッズが揃っているとのことらしいが、なかなかに怪しそうだ。
目的の店に近づくにつれて徐々に仄暗い裏通りに入っていく。お世辞にも治安が良さそうな場所ではなかった。
「王都といっても、こういう場所もあるんだな」
表通りに比べると活気はないが、それなりの数の露店が並んでいる。並べられている品は、品質の悪い物が多そうだが、掘り出し物もあるかもしれない。
店主は皆、愛想よく話すこともなく、沈黙している。
見れば鎖に繋がれた、まだ僕らと同じぐらいの歳の獣人の少女が、赤褐色の肌にぼろ布一枚を巻きつけたような貧相な格好で薪割りをさせられている。あれは豚人族だろうか。
おそらく奴隷として買われたのだろうが、同じ獣人と言えど、先ほどの狼人族とは扱いが雲泥の差だ。
獣人の中でも豚人族と牛人族は地位が低く、ほとんどが奴隷扱いの差別を受けている。
ずっとオークスベルガにいて獣人に馴染みの薄い僕からすれば、他の獣人と何の違いがあるのかよく分からないが、見た目の美醜だとか、獣の序列だとか、どうもそういったもので決まってしまっているそうだ。そういえばクラスにも何人か獣人の生徒が居たはずだが、豚人族と牛人族は居なかった。
「お、結構可愛くない?」
「イェスペル…お前ってやつはどうしてそう見境がないんだ…」
せっかくさっきのいい台詞でちょっと見直したところだったのに、元の木阿弥だよ!
そんな光景を横目に、僕らは目的の店に向かって行った。
それは、お世辞にも、お店としての体裁を成しているとは言い難かった。
お店であるのに、入り口というものはなく、言うなれば窓口と呼べるものが一つあるだけで、それも檻のような鉄格子がはめ込まれていた。その一部をくり貫いてあり、そこから黒い手ぬぐいを頭に巻いて、灰色の鬚を生やして眼窩の窪んだ壮年の男性が、じっと座っていた。
牢屋のようなカウンターの奥には、物置のように怪しげな暗器や薬品が置かれている。品目の名前も値段も書かれていない。
それが何の為のものなのか、分かる人にしか売らないということのように思えた。
「なんでリズはこんな店知ってるの?」
「隠密士の御用達」
「なんだか変に物静かなところですね」
一見さんお断りのような雰囲気にも見えるが、特に追い返されたりということもなさそうだ。だが、治安の面から考えて、この付近でスリや強盗に合わないとも限らない。充分に警戒していよう。
さっきの店の時のイェスペルのように、今度はリズベツが店主と話すのかと思われたが、リズベツは無言で何か紙に書いたリストを店主に差し出しただけだった。
それを見た店主は表情一つ変えることなく、席を立ち、がさごそと後ろの荷物を漁りだした。
それらを一通り頭陀袋に入れると、ぶっきらぼうに金額だけを告げた。
「小銀貨16だ」
「ほい」
リズベツもそれに倣ってか、同じように素気無く返す。いや、普段からこんな感じか。彼女にはこの空気も合っているのかもしれない。
「リズっちは何買ったんだ?」
「盗賊の七つ道具」
「なんだそれ?」
「それは企業秘密」
「えー、いいじゃんかよぅ」
イェスペルがリズベツに尋ねるが、やはりそれも膠もなく返される。
「イェスペル、気になるなら同じのを買って見れば?」
「えー、でも16小銀貨だろ? ちょっと中身調べるためだけに買うのも勿体ないじゃんか」
「そうか、じゃあ僕は買ってこようかな」
「えっ! まじで? どうして?」
「すみません、盗賊の七つ道具一式ください」
「おい、シカトすんなよー」
僕は店主に目的の品を告げるとリズベツのと同じように袋に入れて出してくれた。
「小銀貨12だ」
「はい、そしたらこれで」
リズベツの時より安い。なるほど、リズベツは他にもいくつか入り用の物を買ったんだろう。
ちょいちょい、と袖を引っ張られる。後ろを振り返るとリズベツが不思議そうに僕を見ていた。
「コーダ、どうして?」
「そりゃリズベツに隠密士の素質があるって言ってもらったからさ。ってのはまぁ冗談だけど、でも興味はあるんだ」
「隠密士になるの?」
「ううん、そうじゃないけど、戦略や戦術の幅が広がるだろ? 魔法士ってさ、魔法しか使わないと思われてるでしょ?」
「ほー、たしかに。魔法と合わせて使うつもりなんだ」
「そういうこと。戦士の剣や弓士の弓のような武器は隠し持つには大きすぎるけど…」
「隠密士の暗器なら隠し持つのに最適、なるほど」
「今度使い方とか色々教えてよ」
「任された」
珍しくやる気のある感じで得意げな顔をしているリズベツが面白くて笑っていると、隣でマリーがむくれていた。
「あらあら仲のいいですこと」
「え、マリーどうしたの?」
「いえ、別に怒ってませんよ」
「えっ? いや、僕も怒ってるかどうかなんて訊いたつもりじゃなかった…んだけど…」
「マリー心配しないで。コーダの貞操は先にあげるから」
「ちょ! リズ! 先とか後とかそういう話じゃないです! というか本人の目の前でそんな話やめて下さい!」
リズベツがマリーをからかったりするなんて意外だ。よほどリズベツは上機嫌なのだろうか。いつもに増して明るい気がした。
次は、僕の行きたかったお店『アダムズ魔法堂』を目指すのだった。
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