最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ

文字の大きさ
184 / 270

180話 - 計画変更

しおりを挟む
 エステルのお兄ちゃんを囲う……か。

「クロムが見た中では命の危機を感じたのはその兄だけじゃったのか?」

『まぁそうだね。ハイエルフ全体的に栄養不足感は否めないけどね……。エステルも僕等と一緒になってだいぶふっくらしたとおもうし……』

 種族全体的にまともに食べてないんだろうなって感じはする。
 健康的にはとても見えないな。

「ふっくら……しましたか………私………」(ズーン……)

『ちがーう!!健康的になったってこと!!そっちの方が可愛い!!いっぱい食べなさい!!』

「それならよかったです!これからもしっかりご飯はいただきます!」

 おっと……ノンデリだった……
 あぶねぇ。

 エステル不思議なくらい太らないからな……
 かなり食うけど……どこに消えてるんだ……

「孫二人が仲良きことはよいことなのじゃ!……まぁ話を戻すぞぇ?そうであるのなら、ひとまずその兄に状況を説明して協力してもらえばよいのではないかぇ?皆が焦ることもなくなるし、転移なども事前に知っておくほうが少しは恐怖も和らぐのではないかと思うのじゃ。その兄がエステルが居なくなったことで衰弱しておるのなら、エステルの無事を知れば回復するのではないかぇ?」

「クロムさんが良ければ私は……エルン兄様は絶対に秘密を口走る方ではありません!お願いします……。きっと私のせいで……苦しんでいるのです……」

『ちがう!エステルのせいじゃない!あのクソエロフのせいで苦しんでるの!!』

 ふむ……ただ……そうだな。
 ある程度まで秘密にしてもらっておく。
 そして作戦を決行する1週間程前から手回しをしてもらえれば……。

 一応計画は考えているけれど迅速に行動する方がいいんだ……
 あと……考えてなかったけど可能であれば許可は取ったほうがいい。

『わかった。じゃあその人に状況説明しようか』

「クロムさん……ありがとうございます……」

「うむ。それの方がよいと思うのじゃ」

『ただ、1つだけ。エステルに』

「は、はい!」

『僕は本来当日までハイエルフとの接点を作るつもりがなかったんだ。その計画に変更するならエステルに今の状況を説明してもらう。見ず知らずの僕に”エステルは生きてる”って上っ面の説明されるより、実際エステルに直接会ってもらう方が絶対に良い』

「そうなのですか……クロムさんが説明するのかと……」

「ここでクロムが出てもただの回り道じゃ。まずクロムがエステルの仲間だと信用してもらえるかどうかすらわからんぞ?」

「確かに……そうでした……」

『この計画にするのは構わない。ただ、エステルの存在が他に知られてしまうとすべて台無しになる。だから計画が成功するまで勝手な行動はできなくなるよ?会うってことはそういう事だ。嫌な事見聞きしても我慢できる?』

「……わかりました……計画が破綻しそうな行動は慎みます。色々考えて頂きありがとうございます。私の為に……また計画が難しいものに……すみません……」

『いや、そんなことないよ?先に内部に協力者を作る頭が僕にはなかった。魔の森に偶然このタイミングで来て、おばあちゃんが家族になって。そのおかげで集落に来て。エステルの兄ちゃんの状況に気付いてさ?その上おばあちゃんが兄ちゃんを囲えって言ってくれたから出た発想だ』

「そうなのです……?」

『うん、全くなかった!僕が勝手に連れ去るイメージで計画立ててたもん。どうしようもなければゲートに押し込んだ方がいいかとも思ってた。それに計画話したでしょ?集落滅ぼすのに許可取っとくほうが気持ちは安らぐよ。僕にも罪悪感はあるもん。あとそれが出来るなら荷物まとめてもらったりもできるからね』

「多分それは全く問題ないと思いますよ?皆あの集落に嫌な思いしかしていませんので……。私も家族は心配していましたが集落への愛着など微塵もありません。むしろ喜ぶのではないでしょうか?私もあそこが消えても清々しい気持ちしかないです」

「我も話を聞いて集落を滅ぼしたい気しか湧かんかったぞ……。そんな悪い思い出などいらんわ。いっそ派手にやるのじゃ」

『そう?やっぱ人の家壊すって結構気分滅入るよ?大丈夫そうならよかったけど』

「クロムさんはまた1人で行おうとしてました!!怒ります!!」

『いつもすみません……本当に……。善処します……』

 そうなんだよなぁ……。
 誰かに協力してもらうって発想が僕には出てこないんだよなぁ……

「いっそ私がやりますよ?スッキリしそうです!!全部壊してやります!!」

『あ、ほんと?ってか事前に話せるのか。そんな感じなら集落壊すのやりたい人がやってもいいよ?僕がやりたいわけでもないし……』

「……そうなんです?」

『うん、全体的にちょっと計画変更する。多分出来ると思うけど……ってかそうじゃん!チーズの魔物!もし兄ちゃんが全員説得できるなら魔物も一緒に絶対連れてきてね!エルフには絶対やらん!!僕のチーズだから!!』

「ふふ、もちろんです♪」

『よっし、じゃあ明日の夜、兄ちゃんとこ行くか』

「はい……久しぶりに話せます……グス」

「よい流れになるとよいのぉ……」

 ・
 ・
 ・

 次の日の夜。21時くらい。
 エステルの兄は仕事には行っているみたい。
 ってか行かざるを得ないんだろう……

 あんな状況で……
 もう本当に骨みたいになってる……
 食事をとる様子もない……

『あの人で合ってるよね?』

「はい……エルン兄様……あんな……」

 エステルと同じ干し草のベッドに座ってうなだれてる。
 もう放心している……

 今エステルと兄の部屋の裏手の茂みに潜んでいる。
 他の家族は今日はお留守番だ。

 大人数で隠密行動する意味ないからね。

『じゃあ行くよ?』

「はい!!お願いします!!」

 最近めちゃくちゃ遮音とかのスキル使いまくってたじゃん?
 いちいちアイテムに付与しなくても一時的なものなら魔法にならないかなぁ
 ……と思ったらできた。

 創造魔法「音」

 ……そして空間魔法複合。

『”サイレントルーム”』(ホワッ)

「もういいのですか?全く見えません……」

『うん、大丈夫。あの家の範囲数メートルは外に音を通さなくなった。外からの音は聞こえるから誰かが来たらすぐ出ていくんだよ?あっちの木の窓から声かけて開けてもらって?大きい方の窓からなら何とか入れそうだ。あの辺り大きめに範囲とったから声出して大丈夫。お願いね?』

 魔法の方がめっちゃ融通聞く。
 完全遮音の防音室を作った。

 これめっちゃ便利だわ……。
 しかもMP消費僕にとって全く無いレベルだ。

 イメージで魔法つくれるもん。
 トカゲ活動も役に立ったなぁ。

「はい!では行きます!」



(……トントン……トントン)

「……誰?」

「エステルです!エルン兄様!開けてください!」

「……誰が……そんないたずらをするの?エステルは死ん……」

(ガチャ)

「……エステル」(ストンッ)

 あ、腰抜かしちゃった……
 まぁそうなるか……



 窓から家に潜入した。
 お兄さんとエステルはしばらく泣いて抱き合っていた……。

 いや、泣き終わらない……
 もう10分くらい経った……
 わかるんよ!?泣くよね!僕もそうなる!!

 うう……感動の再会の邪魔したくないよぉ……
 ここに割り込むのすごい嫌だよ……

『エステル……そんな急がなくてもいいんだけどね……ちょっと話し出す方がいいかなぁ……なんて……。多分……ずっと涙は止まらないと思うからさ……』

 ああ、エステルの兄ちゃんって感じだ……。
 2人セットだともう。

 またゆっくり話す時間作るからさ……
 ごめんよぉ……

「グス……そうでした!すみません!話します!」

「今の声は……?」

 もうね。
 協力してもらうなら秘密にする必要はない。
 どっちみち移動してもらうなら話すんだ。

 エステルが生きていた経緯。
 今後の計画の説明。

 それには僕みたいな例外が居る方が信憑性が増すはず。
 ……なんて話しだせばいいんだ。

 僕、初対面の人に話しかけるの結構苦手なんだけど……
 なんかすごく緊張するな……

『目の前のスライムだよ?ぼく……わるいスライムじゃないよ!』

 ・・・・・

「クロムさんは優しいスライムですよ?」

「グス……。ゴホンッ……。スライムに良いも悪いもないと思うけど……話せる子なの?」

 ぐふッ……
 そ、そうなるよね……

 ま、まぁ……ちょっと切り替えが出来たか。
 大いにスベったことも意味があったと思おう……

『はい、話せます。エルンさん?エステルのお兄様ですよね。エステルさんにはいつもお世話になっております』

「あ、こ、こちらこそ……エステルがお世話になってます……エステルはこの子にお世話になっているの?」

「はい!とっても♪いつも感謝しっぱなしです!」

 な、何をしとるんだ僕は!
 どうしよ……うまく話せない……

「そっか、よかったね?クロムくん、だっけ?僕とも仲良くしてほしいな?エルンでいいよ?気楽に話そ?」

「は、はい。よろしく……」

「どうしました?クロムさん……いつものクロムさんじゃないですよ?」

 緊急トラブル時にしか自分から話すことないんだもん!
 いや、今もそうなんだけど……

 人と話すときはちょっと偉そうなキャラ作ってるしさ……

 なんかエステルの兄ちゃん緊張するんだけど!
 すごいほわっほわしてるんだけど!!

 僕自分から普通に話しかけたことほとんどないぞ!
 いい人との初対面での接し方がわからあああん!!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学4巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜

Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか? (長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)  地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。  小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。  辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。  「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。  

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...