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181話 - 兄妹
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「なるほどね……奴隷か……。エステルにそんなことを……。僕のせいで……ごめんねエステル」
「いえ、そのおかげで私はクロムさん達と念願の旅に出られましたので!それにエルン兄様のせいではないです。私こそ勝手に居なくなってすみません」
「ん~ん。本当に無事でよかった。僕がエステルを殺してしまったのかと……」
エステルのお兄ちゃんが体調が悪いのは思った通りだった。
エステルのことを自分のせいだと思っていたからだった。
思いつめて食事も喉を通らなくなっていたと。
そもそももう食事をとる気力もなかったらしい。
それでも家族に強引に食事を詰め込まれていた。
だから今まだ命をつなぎ留められている状況だった、と……
『集落にはどんな伝わり方をしてるんですか?』
「エステルが居なくなった日に任期交代で入れ替わりのエルフがやってきたんだ。そのエルフがエステルは集落から脱走した、だからその場で切り捨てた。という話だね?僕は僕のせいで屋敷に連れて行かれたエステルに悪いことがあってそのせいで脱走したのかと思い込んでいてね……。僕だけじゃなくて皆落ち込んでいるよ」
『そうですか……。まぁ、言ってたままか。じゃあ多分生き残りが居てそいつが交代のエルフに知らせたんだろうなぁ』
「そうですね……。私のせいで皆に心配をかけてしまいました……」
「エステルのせいじゃないよ?それに、その話だとエステルは逃げ出していなくともこちらには処刑したと伝わるはずだったんだよね?状況はかわらない。生きていてくれて感謝しかないよ?ありがとうエステル」(ナデナデ)
「ありがとうございます……兄様……グス」
いい兄ちゃんだ。
話に聞いてた通りだな。
『それで反乱とかは起きなかったんですか?』
「いや……。少し危なかったんだよ……。ただ、これ以上反発するなら皆処刑すると言われてね……少し切られた家族もいる。殺されてはいないよ」
武力弾圧したってことか……
「そんな……」(ググッ)
「それからというもの、味を占めたのか何か気に入らないことがある度に剣を出してエステルの処刑のことをエルフが言うようになったんだ。あのハイエルフのように、と。それで皆を脅している。今はもう誰も反発できなくなっているよ。以前より労働も生活も過酷になっている。かなり状況はわるいね」
「…………」(ググッ)
『エステル、助けるから。もうちょっと待ってくれ』
『わかって……います……』
エステルの処刑を利用して脅し文句にしてるのか……
マジで質が悪いな……
『すみません。そこまでの想像は及んでいませんでした。僕のせいでもあります』
「クロムさんのせいではありません!」
「そうだよ?クロムくん、ありがとう。僕の大切なエステルをずっと守ってくれて……」
『は、はい……全然大丈夫です。僕が一緒に来て欲しいと思ったので……』
『僕の命の恩人でもあるんだ。僕ももう生きていけないと思っていた。大切なエステルが僕のせいでって考えるとここから先どうすればいいのか……。感謝さえすれど謝られることなんてないよ?本当にエステル共々ありがとう、クロムくん』
「改めて、ありがとうございますクロムさん」
『ここにこのタイミングでこれたのは偶然です。エステルと仲間のおかげです。僕の方が助かってます』
いや、本当に。
助けるつもりではあったけど僕じゃここに来るって発想はなかったからね。
状況を聞けて良かった。
急がないとな……
・
・
・
「それで今は冒険者をしながら獣人国で暮らしているのです!私がですよ?夢のような生活です!強くなったんですよ?素敵な家族に囲まれてとっても幸せです!だから心配しないでください♪」
「そうなんだね、あはは♪夢がかなってよかったね?エステルの幸せそうな顔が見れてよかった!」
この家にこの時間に人が来ることはないようだ。
もし来てもエルン兄ちゃんが時間を稼いでくれるって。
それなら別に急ぐ必要もない。
久々の再開だからゆっくりエステルの話を聞きたいって。
どんな生活をしてきたのか知りたいってさ。
まぁ僕も気付くしそれならゆっくり話してって伝えた。
今はエステルの冒険の話をしている。
僕はお邪魔しないようにお茶係をしている。
エステルが強くなったことに信憑性を持って欲しいからね。
その方が安心して移動も可能だろうし。
のんびり話すといいさ。
おばあちゃんにこっそり電話を掛けた。
お兄さんは話通りとてもいい人そうだ、と。
積もる話もあるから皆でご飯を食べて先に寝てくれと伝えた
『クロムさんのおかげで命が助かってクロムさんのおかげで家族が増えてクロムさんのおかげでここに戻ってこられたのです!これが全てです!!』
『…………』
いいえ?
そんなことないと思います。
「クロムくんはすごいねぇ~あはは♪」
「クロムさんはすごいんです!ふふ♪」
『いや……そんなことないです……』
話が盛られまくっている気がするけどね……。
ヒョイッ
「クロムくん、助けてくれただけじゃなくてこんなにエステルを幸せにしてくれてありがとう。こんなに幸せそうなエステルは初めて見たよ。いつも悲しい顔をしていたからね。お礼がいっぱいだ、返せるかなぁ~?あはは♪」
うん、あまり気にしないようにしてたけれど……
何故に僕はエステルのお兄様にずっと抱かれているんだろうか。
今たかいたかーいされたみたいになったが……。
エステルの話を聞きながら僕が膝の上で抱きしめられている……
どういう状況だ……
「長く話させてごめんね?ありがとう。とりあえず僕は理解したよ?エステルの死はエルフの嘘だったことも。エステルが生き残れた理由も。強くなったことも。知らせに来てくれてありがとうね」
もっと話通らないと思ってたけどなぁ……
エルンさんはすごくすんなり信じてくれるなぁ……
『何故そんな簡単に信じていただけるのでしょうか……?』
「クロムくん……。そろそろ普通に話して?エステルと僕の命の恩人なのに。むしろ僕の方が丁寧に話さないとゴホッゴホッ……」
「大丈夫ですか兄様!!」
ピョンッ
『”ウォーターエイド”』(ホワーッ)
「ふぅ……ありがとうクロムくん……。うるさくてごめんね?それでも今日はかなり体調がいいんだ。昨晩から急に楽になってね?なんで回復してしまうんだ……って昨日は思ったんだけど。今日エステルに会えてよかったよ。神様が多分……」
「それもクロムさんですよ?ふふ♪」
「そっか。神様はクロムくんだったんだね?命の恩人で神様だね?あはは♪」
いえ!使いっぱしりですから!!
わー。
この兄妹すっごい似てるわー。
でもなんか緊張するんだよなこの人……。
今は頬もこけてて骨が見えちゃいそうなくらいやつれてるんだけどさ……
この人が瓶割ったときは顔見る余裕なんかなかったけど。
エステルと同じ淡い金髪。
くるんくるんのミディアムヘアー。
この人100歳超えてるんだよね?
エステルと双子みたいだよ……
スマイルで後光差しそうだ。
王冠乗せたい。
どこの星の王子様なんだ……
本来ってハイエルフってこんな感じの性格なのかもしれないな。
エステルを鑑定した時に奔放な性格って書いてあったんだよ。
のんびり暮らしてほしいなぁ……
『ゴホン、話進まないし……。じゃあ頑張って……。何でそんな簡単に信じてくれるの?』
「うん、それでいいよ?ありがと。簡単な話だよ。エステルは嘘なんかつかないよ?」
なるほどね。
エステルの日頃の行いか。
エステル嘘なんかつかないもん。
『僕が話せるのは驚かないの?』
「んー。実際今目の前にいるんだから驚いてもね?せっかくエステルと再会できたし、クロムくんにも会えたのに。時間の無駄じゃない?それに僕スライム大好きだしね」
「ハイエルフはスライムを愛でているってお話した事ありましたよね?その中でもエルン兄様は特にスライムが大好きな方です、ふふ♪」
「見ていると幸せな気持ちになるんだ~。まん丸でぷにぷにしててかわいいよね~ゴホッ」
あまり回復してないなぁ……
元々体弱いって聞いてたし。
ただ、一気に回復させるとなぁ。
あと栄養失調は食べないとどうしようもないよ……
そうだな……じゃあ……
『もっと回復できるんだけどあまり回復しても不自然だから……飴舐める?』(ポイッ)
飴くらいなら舐められるでしょ。
あまり急に食べられないだろうし。
「どこから出したの……?それに砂糖菓子かい?こんな高価なもの……いいの?」
『ん?異空間。いいよいいよ……あ、お茶おかわり。はい』(トントンッ)
「本当にすごいんだね~?どんな本にも書いてなかった魔法だよ?」
『あと、これ僕が作ったポーション。あんまり不自然にならないようにちょっとずつ隠して飲んでね』(トントントントンッ)
「ポーションまでつくれるんだねぇ~?すごいなぁ、あはは♪」
作戦その1……
力を見せまくる。
僕が持っている力の中でも転移魔法は1番上級と言っても過言ではない。
だからあらかじめ力を見せて安心感を出す!
秘密にする意味はない!
『エステル氷入れて?』
「はーい!精霊さんお願いします♪」(カランカラン)
作戦その2……エステルが本当に強いことを見せる。
ハイエルフでも強くなれるってことが目の前でわかる方がいい。
移動先でも安心ってわかってもらわないと!
強くなった話のダメ押しだ!
「あ!わかった!僕に力を見せようとしてくれてるんでしょ?あはは♪大丈夫だよ?エステルが冒険者だってこともクロムくんに力があるってことも信用してるよ?」
あらぁ?
一瞬で全部バレた。
「それにわざわざ危険を冒して戻ってきて、強くなって戻ってきた、なんてくだらない嘘は誰もつかないでしょ?エステルが魔の森で生き残って1年ほども経ってから戻ってきたんだから。それがもう強い証明でしょ?」
『エルンさんってかなり切れ者?』
「そうですね♪多分集落で1番!私は勉学やその他全てのことは兄様から学びました」
「普通だよ?本ばかり読んでいたからね、あはは♪僕は気が小さいし、体もあまり強くないからさ?今こんなに気楽に話せてるのもクロムくんがスライムだからだよ?エステルとは年も近いし僕とずっと一緒にいたから、勉強は僕が教えたけどね?」
『……おいくつなんですか?』
「あまりしっかり数えてないなぁ。180くらいだったと思うけどなぁ?」
………スケールが違う。
150歳は歳近いんだ……
「じゃあ沢山話もできたし、そろそろ本題に入ろうか。エステルの無事の報告とこっちの現状確認。あとはエステルの今の生活。でも、きっとそれが伝えたいことじゃないでしょ?本題はきっと別だね?僕に付き合ってくれてありがとう。でも、それだけ言いに戻ってはこないよね?エステルは消えた存在のままの方が安全だったんだからさ?」
おぉ……すごいなぁ……
・
・
・
「皆をここから……その皆の説得を僕にお願いしたい、が本題かい?」
『そういうことだね』
「獣人国の王の許可までとってるのかい?クロムくんはとんでもないね?」
『いや、あの人はそもそもそんな人だからなぁ?獣人国はここ狙ってないって言ってるよ。助けられるもんなら助けたいって』
「これを聞いて、エルン兄様はどうですか?集落を出たいと思います?」
「僕?僕はでるよ?エステルを助けてくれたクロムくんの提案でしょ?乗るに決まってるよ。エステルから素敵な話も聞けたし。僕らも毎日楽しく過ごせるんでしょ?今集落の状況もわるい。元々不満だらけだったのにもう耐えられないよ」
「そうですね……本当に……」
『皆を説得はできそう?』
「もう皆この集落で過ごすことは限界だよ?出れるものなら出たい。ただ……あとはその話にどれだけ現実味を持たせるかが勝負だと思うかな?正直なところ、僕等にとってそんな生活夢物語過ぎてね……皆信じられないと思うんだ?僕は君達を見ることができたから大丈夫だけど……」
「現実味ですか……私も今の状況を集落にいるときに想像はできなかったですから……」
「その転移って魔法、僕に試させてくれないかな?想像ができないんだ。魔石なくても使える?」
そうだな……
1回試してもらうほうがいいな。
部屋の端から端とかでいいか。
『”ゲート”』
ボワンッ
『はい、これが転移魔法。魔石でも同じだよ?僕が作るからね』
「不思議な穴だねぇ?ここに入るのは怖いなぁ、はは……」
そうだよなぁ……
いや、本当に怖いもん。
エルンさん顔ひきつっちゃってるもん……
「私が先に入って見せますね!」(ヒュッ……ストン)
「……すごいねぇ?本当に一瞬で移動できた……これは見ないと、信じられないなぁ……くっ」(ヒュッ……ストン)
おお!行った!!
「はぁー!こわかった!あはは♪ふわっとするね?」(ヒュッ……ストン)
おお、1回行くと平気そうか。
「クロムくんありがと!慣れるとおもしろいね?でもこれを見ずに説得はむずかしいと思うな?僕はエステルとクロムくんを全面的に信用してるけど……それでも話だけでこんな魔法の想像はつかないもん」
「そうですよねぇ……」
『そうだよなぁ……』
「この魔法は事故は起きない?」
『起きないね。入れない場所に開いたら入れない。あともし途中で切れたらどちらかにはじき出される。どちらかはわからないんだけどね。絶対安全だよ』
このゲートって魔法作った時に1番怖かったのは空間切断。
途中でゲートが切れた時に体真っ二つとか怖すぎるじゃん。
それはなかったんだ。
どちらかにはじき出される。
物体の干渉避けるみたいなんだよね。
真っ二つになることは絶対ないんだ。
僕がそういうイメージでビビりながら魔法を作ったからかもしれないな?
空間切断は絶対やめて!って気持ちいっぱいで作ったからね。
分裂体でも試すのめちゃくちゃ怖かった……
そうじゃなかったら昨日魔石割れそうなときに早く通って!
って言わないからね。
ちゃんと実験済み。
本当に怖いだけですごく安全なの。
「この魔石はクロムくんにとっては簡単に作れるの?すごい魔法だってことは理解しているよ?」
『1分程このゲートが開くものなら。それ以上のものを作れるかを試行錯誤してる感じかなぁ。出来るだけ急ぐけどもう少し時間かかると思う』
「そっか。じゃあ途中なのに僕の体調を見て助けにきてくれたんだね?ありがとう。本当に恩返しできないなぁ……」
そこに一切触れてないのになぁ。
すげぇなこの兄ちゃん……
「じゃあ頼りっぱなしついでにもう1つお願い!いくつか作ってくれない?それがあれば、それを持って皆を絶対に説得する。僕が皆の前で使う方が信憑性高くなるでしょ?エステルのことも含めもちろん当日まで口留めしておくよ。ハイエルフに秘密を漏らすような人はいないから大丈夫。自分達の首を絞めるだけだしね。皆出られるなら出たいんだから」
あ、そうか……
魔石もって回ってもらえばいいのか……
「この夢のような魔法をみたら現実味はすぐ湧くんじゃないかな?少なくても大魔術師が仲間にいるとは思われるよね?その魔法を実際目にすれば説得は簡単かな?ただ、魔石がないと皆を説得することは厳しいと思うな?」
「クロムさんお願いします……」
事前に魔法をみせておいて
……の方がいいのか。そうだな。
もうそれで無理なら事前に無理ってわかるしな。
当日のリスクも減らせるか。
『わかった。1分の片道通行の方でいいなら。とりあえず10個程でいい?出来る限り早く届けるよ』
「ありがとう。じゃあ代金代わりに僕を使って?これからは君のいう事を何でも聞くよ。奴隷にしてもらってもいい。君の奴隷になれるなら本望だね。あはは♪」
『は!?』
「兄様!?」
「僕だってこの魔法の価値くらいわかるよ?おとぎ話でも見たことの無い魔法だった。そんな虫のいい話しないよ?それに、エステルの命の恩人で僕の命の恩人。その上集落の皆まで助けてもらおうとしてるんだ。僕1人の命じゃ安すぎる。それでも、皆の為におねがいしていいかい?」
『いや、大丈夫です!僕はエステルに気持ちよく過ごしてほしいだけ!別に言う事聞けとか……あ。やっぱり何でも言う事は聞いてほしい!』
「うん、ありがと。それでいいよ?」
「クロムさん……それなら私が奴隷になります!」
『え!?何言ってんの!?新しい土地で覚えないといけないこと多いでしょ!ここにあれ作ってーとか、採れた作物はここに置いてーとか!それ覚えてもらいたいだけだけど!?僕交易しないといけないから商品まとめて置いておいて欲しいんだけど!!すごい頭よさそうだから向いてるかなと思っただけなの!!全部僕が指示できないからうまい事やって欲しいだけだが!!村長して欲しいだけです!!僕は奴隷は要らんの!!』
「それなら絶対エルン兄様が1番向いています!今も集落でそのような事をしているのは兄様なので」
『あ、そうなの?』
「そんなことでいいのかい?やるに決まってるよ?でも足りなくないかい?もっとこき使ってくれてもいいんだけどねぇ?あはは♪」
「……私もです」
『足りる!充分!エステルはなんで!?』
「いえ、そのおかげで私はクロムさん達と念願の旅に出られましたので!それにエルン兄様のせいではないです。私こそ勝手に居なくなってすみません」
「ん~ん。本当に無事でよかった。僕がエステルを殺してしまったのかと……」
エステルのお兄ちゃんが体調が悪いのは思った通りだった。
エステルのことを自分のせいだと思っていたからだった。
思いつめて食事も喉を通らなくなっていたと。
そもそももう食事をとる気力もなかったらしい。
それでも家族に強引に食事を詰め込まれていた。
だから今まだ命をつなぎ留められている状況だった、と……
『集落にはどんな伝わり方をしてるんですか?』
「エステルが居なくなった日に任期交代で入れ替わりのエルフがやってきたんだ。そのエルフがエステルは集落から脱走した、だからその場で切り捨てた。という話だね?僕は僕のせいで屋敷に連れて行かれたエステルに悪いことがあってそのせいで脱走したのかと思い込んでいてね……。僕だけじゃなくて皆落ち込んでいるよ」
『そうですか……。まぁ、言ってたままか。じゃあ多分生き残りが居てそいつが交代のエルフに知らせたんだろうなぁ』
「そうですね……。私のせいで皆に心配をかけてしまいました……」
「エステルのせいじゃないよ?それに、その話だとエステルは逃げ出していなくともこちらには処刑したと伝わるはずだったんだよね?状況はかわらない。生きていてくれて感謝しかないよ?ありがとうエステル」(ナデナデ)
「ありがとうございます……兄様……グス」
いい兄ちゃんだ。
話に聞いてた通りだな。
『それで反乱とかは起きなかったんですか?』
「いや……。少し危なかったんだよ……。ただ、これ以上反発するなら皆処刑すると言われてね……少し切られた家族もいる。殺されてはいないよ」
武力弾圧したってことか……
「そんな……」(ググッ)
「それからというもの、味を占めたのか何か気に入らないことがある度に剣を出してエステルの処刑のことをエルフが言うようになったんだ。あのハイエルフのように、と。それで皆を脅している。今はもう誰も反発できなくなっているよ。以前より労働も生活も過酷になっている。かなり状況はわるいね」
「…………」(ググッ)
『エステル、助けるから。もうちょっと待ってくれ』
『わかって……います……』
エステルの処刑を利用して脅し文句にしてるのか……
マジで質が悪いな……
『すみません。そこまでの想像は及んでいませんでした。僕のせいでもあります』
「クロムさんのせいではありません!」
「そうだよ?クロムくん、ありがとう。僕の大切なエステルをずっと守ってくれて……」
『は、はい……全然大丈夫です。僕が一緒に来て欲しいと思ったので……』
『僕の命の恩人でもあるんだ。僕ももう生きていけないと思っていた。大切なエステルが僕のせいでって考えるとここから先どうすればいいのか……。感謝さえすれど謝られることなんてないよ?本当にエステル共々ありがとう、クロムくん』
「改めて、ありがとうございますクロムさん」
『ここにこのタイミングでこれたのは偶然です。エステルと仲間のおかげです。僕の方が助かってます』
いや、本当に。
助けるつもりではあったけど僕じゃここに来るって発想はなかったからね。
状況を聞けて良かった。
急がないとな……
・
・
・
「それで今は冒険者をしながら獣人国で暮らしているのです!私がですよ?夢のような生活です!強くなったんですよ?素敵な家族に囲まれてとっても幸せです!だから心配しないでください♪」
「そうなんだね、あはは♪夢がかなってよかったね?エステルの幸せそうな顔が見れてよかった!」
この家にこの時間に人が来ることはないようだ。
もし来てもエルン兄ちゃんが時間を稼いでくれるって。
それなら別に急ぐ必要もない。
久々の再開だからゆっくりエステルの話を聞きたいって。
どんな生活をしてきたのか知りたいってさ。
まぁ僕も気付くしそれならゆっくり話してって伝えた。
今はエステルの冒険の話をしている。
僕はお邪魔しないようにお茶係をしている。
エステルが強くなったことに信憑性を持って欲しいからね。
その方が安心して移動も可能だろうし。
のんびり話すといいさ。
おばあちゃんにこっそり電話を掛けた。
お兄さんは話通りとてもいい人そうだ、と。
積もる話もあるから皆でご飯を食べて先に寝てくれと伝えた
『クロムさんのおかげで命が助かってクロムさんのおかげで家族が増えてクロムさんのおかげでここに戻ってこられたのです!これが全てです!!』
『…………』
いいえ?
そんなことないと思います。
「クロムくんはすごいねぇ~あはは♪」
「クロムさんはすごいんです!ふふ♪」
『いや……そんなことないです……』
話が盛られまくっている気がするけどね……。
ヒョイッ
「クロムくん、助けてくれただけじゃなくてこんなにエステルを幸せにしてくれてありがとう。こんなに幸せそうなエステルは初めて見たよ。いつも悲しい顔をしていたからね。お礼がいっぱいだ、返せるかなぁ~?あはは♪」
うん、あまり気にしないようにしてたけれど……
何故に僕はエステルのお兄様にずっと抱かれているんだろうか。
今たかいたかーいされたみたいになったが……。
エステルの話を聞きながら僕が膝の上で抱きしめられている……
どういう状況だ……
「長く話させてごめんね?ありがとう。とりあえず僕は理解したよ?エステルの死はエルフの嘘だったことも。エステルが生き残れた理由も。強くなったことも。知らせに来てくれてありがとうね」
もっと話通らないと思ってたけどなぁ……
エルンさんはすごくすんなり信じてくれるなぁ……
『何故そんな簡単に信じていただけるのでしょうか……?』
「クロムくん……。そろそろ普通に話して?エステルと僕の命の恩人なのに。むしろ僕の方が丁寧に話さないとゴホッゴホッ……」
「大丈夫ですか兄様!!」
ピョンッ
『”ウォーターエイド”』(ホワーッ)
「ふぅ……ありがとうクロムくん……。うるさくてごめんね?それでも今日はかなり体調がいいんだ。昨晩から急に楽になってね?なんで回復してしまうんだ……って昨日は思ったんだけど。今日エステルに会えてよかったよ。神様が多分……」
「それもクロムさんですよ?ふふ♪」
「そっか。神様はクロムくんだったんだね?命の恩人で神様だね?あはは♪」
いえ!使いっぱしりですから!!
わー。
この兄妹すっごい似てるわー。
でもなんか緊張するんだよなこの人……。
今は頬もこけてて骨が見えちゃいそうなくらいやつれてるんだけどさ……
この人が瓶割ったときは顔見る余裕なんかなかったけど。
エステルと同じ淡い金髪。
くるんくるんのミディアムヘアー。
この人100歳超えてるんだよね?
エステルと双子みたいだよ……
スマイルで後光差しそうだ。
王冠乗せたい。
どこの星の王子様なんだ……
本来ってハイエルフってこんな感じの性格なのかもしれないな。
エステルを鑑定した時に奔放な性格って書いてあったんだよ。
のんびり暮らしてほしいなぁ……
『ゴホン、話進まないし……。じゃあ頑張って……。何でそんな簡単に信じてくれるの?』
「うん、それでいいよ?ありがと。簡単な話だよ。エステルは嘘なんかつかないよ?」
なるほどね。
エステルの日頃の行いか。
エステル嘘なんかつかないもん。
『僕が話せるのは驚かないの?』
「んー。実際今目の前にいるんだから驚いてもね?せっかくエステルと再会できたし、クロムくんにも会えたのに。時間の無駄じゃない?それに僕スライム大好きだしね」
「ハイエルフはスライムを愛でているってお話した事ありましたよね?その中でもエルン兄様は特にスライムが大好きな方です、ふふ♪」
「見ていると幸せな気持ちになるんだ~。まん丸でぷにぷにしててかわいいよね~ゴホッ」
あまり回復してないなぁ……
元々体弱いって聞いてたし。
ただ、一気に回復させるとなぁ。
あと栄養失調は食べないとどうしようもないよ……
そうだな……じゃあ……
『もっと回復できるんだけどあまり回復しても不自然だから……飴舐める?』(ポイッ)
飴くらいなら舐められるでしょ。
あまり急に食べられないだろうし。
「どこから出したの……?それに砂糖菓子かい?こんな高価なもの……いいの?」
『ん?異空間。いいよいいよ……あ、お茶おかわり。はい』(トントンッ)
「本当にすごいんだね~?どんな本にも書いてなかった魔法だよ?」
『あと、これ僕が作ったポーション。あんまり不自然にならないようにちょっとずつ隠して飲んでね』(トントントントンッ)
「ポーションまでつくれるんだねぇ~?すごいなぁ、あはは♪」
作戦その1……
力を見せまくる。
僕が持っている力の中でも転移魔法は1番上級と言っても過言ではない。
だからあらかじめ力を見せて安心感を出す!
秘密にする意味はない!
『エステル氷入れて?』
「はーい!精霊さんお願いします♪」(カランカラン)
作戦その2……エステルが本当に強いことを見せる。
ハイエルフでも強くなれるってことが目の前でわかる方がいい。
移動先でも安心ってわかってもらわないと!
強くなった話のダメ押しだ!
「あ!わかった!僕に力を見せようとしてくれてるんでしょ?あはは♪大丈夫だよ?エステルが冒険者だってこともクロムくんに力があるってことも信用してるよ?」
あらぁ?
一瞬で全部バレた。
「それにわざわざ危険を冒して戻ってきて、強くなって戻ってきた、なんてくだらない嘘は誰もつかないでしょ?エステルが魔の森で生き残って1年ほども経ってから戻ってきたんだから。それがもう強い証明でしょ?」
『エルンさんってかなり切れ者?』
「そうですね♪多分集落で1番!私は勉学やその他全てのことは兄様から学びました」
「普通だよ?本ばかり読んでいたからね、あはは♪僕は気が小さいし、体もあまり強くないからさ?今こんなに気楽に話せてるのもクロムくんがスライムだからだよ?エステルとは年も近いし僕とずっと一緒にいたから、勉強は僕が教えたけどね?」
『……おいくつなんですか?』
「あまりしっかり数えてないなぁ。180くらいだったと思うけどなぁ?」
………スケールが違う。
150歳は歳近いんだ……
「じゃあ沢山話もできたし、そろそろ本題に入ろうか。エステルの無事の報告とこっちの現状確認。あとはエステルの今の生活。でも、きっとそれが伝えたいことじゃないでしょ?本題はきっと別だね?僕に付き合ってくれてありがとう。でも、それだけ言いに戻ってはこないよね?エステルは消えた存在のままの方が安全だったんだからさ?」
おぉ……すごいなぁ……
・
・
・
「皆をここから……その皆の説得を僕にお願いしたい、が本題かい?」
『そういうことだね』
「獣人国の王の許可までとってるのかい?クロムくんはとんでもないね?」
『いや、あの人はそもそもそんな人だからなぁ?獣人国はここ狙ってないって言ってるよ。助けられるもんなら助けたいって』
「これを聞いて、エルン兄様はどうですか?集落を出たいと思います?」
「僕?僕はでるよ?エステルを助けてくれたクロムくんの提案でしょ?乗るに決まってるよ。エステルから素敵な話も聞けたし。僕らも毎日楽しく過ごせるんでしょ?今集落の状況もわるい。元々不満だらけだったのにもう耐えられないよ」
「そうですね……本当に……」
『皆を説得はできそう?』
「もう皆この集落で過ごすことは限界だよ?出れるものなら出たい。ただ……あとはその話にどれだけ現実味を持たせるかが勝負だと思うかな?正直なところ、僕等にとってそんな生活夢物語過ぎてね……皆信じられないと思うんだ?僕は君達を見ることができたから大丈夫だけど……」
「現実味ですか……私も今の状況を集落にいるときに想像はできなかったですから……」
「その転移って魔法、僕に試させてくれないかな?想像ができないんだ。魔石なくても使える?」
そうだな……
1回試してもらうほうがいいな。
部屋の端から端とかでいいか。
『”ゲート”』
ボワンッ
『はい、これが転移魔法。魔石でも同じだよ?僕が作るからね』
「不思議な穴だねぇ?ここに入るのは怖いなぁ、はは……」
そうだよなぁ……
いや、本当に怖いもん。
エルンさん顔ひきつっちゃってるもん……
「私が先に入って見せますね!」(ヒュッ……ストン)
「……すごいねぇ?本当に一瞬で移動できた……これは見ないと、信じられないなぁ……くっ」(ヒュッ……ストン)
おお!行った!!
「はぁー!こわかった!あはは♪ふわっとするね?」(ヒュッ……ストン)
おお、1回行くと平気そうか。
「クロムくんありがと!慣れるとおもしろいね?でもこれを見ずに説得はむずかしいと思うな?僕はエステルとクロムくんを全面的に信用してるけど……それでも話だけでこんな魔法の想像はつかないもん」
「そうですよねぇ……」
『そうだよなぁ……』
「この魔法は事故は起きない?」
『起きないね。入れない場所に開いたら入れない。あともし途中で切れたらどちらかにはじき出される。どちらかはわからないんだけどね。絶対安全だよ』
このゲートって魔法作った時に1番怖かったのは空間切断。
途中でゲートが切れた時に体真っ二つとか怖すぎるじゃん。
それはなかったんだ。
どちらかにはじき出される。
物体の干渉避けるみたいなんだよね。
真っ二つになることは絶対ないんだ。
僕がそういうイメージでビビりながら魔法を作ったからかもしれないな?
空間切断は絶対やめて!って気持ちいっぱいで作ったからね。
分裂体でも試すのめちゃくちゃ怖かった……
そうじゃなかったら昨日魔石割れそうなときに早く通って!
って言わないからね。
ちゃんと実験済み。
本当に怖いだけですごく安全なの。
「この魔石はクロムくんにとっては簡単に作れるの?すごい魔法だってことは理解しているよ?」
『1分程このゲートが開くものなら。それ以上のものを作れるかを試行錯誤してる感じかなぁ。出来るだけ急ぐけどもう少し時間かかると思う』
「そっか。じゃあ途中なのに僕の体調を見て助けにきてくれたんだね?ありがとう。本当に恩返しできないなぁ……」
そこに一切触れてないのになぁ。
すげぇなこの兄ちゃん……
「じゃあ頼りっぱなしついでにもう1つお願い!いくつか作ってくれない?それがあれば、それを持って皆を絶対に説得する。僕が皆の前で使う方が信憑性高くなるでしょ?エステルのことも含めもちろん当日まで口留めしておくよ。ハイエルフに秘密を漏らすような人はいないから大丈夫。自分達の首を絞めるだけだしね。皆出られるなら出たいんだから」
あ、そうか……
魔石もって回ってもらえばいいのか……
「この夢のような魔法をみたら現実味はすぐ湧くんじゃないかな?少なくても大魔術師が仲間にいるとは思われるよね?その魔法を実際目にすれば説得は簡単かな?ただ、魔石がないと皆を説得することは厳しいと思うな?」
「クロムさんお願いします……」
事前に魔法をみせておいて
……の方がいいのか。そうだな。
もうそれで無理なら事前に無理ってわかるしな。
当日のリスクも減らせるか。
『わかった。1分の片道通行の方でいいなら。とりあえず10個程でいい?出来る限り早く届けるよ』
「ありがとう。じゃあ代金代わりに僕を使って?これからは君のいう事を何でも聞くよ。奴隷にしてもらってもいい。君の奴隷になれるなら本望だね。あはは♪」
『は!?』
「兄様!?」
「僕だってこの魔法の価値くらいわかるよ?おとぎ話でも見たことの無い魔法だった。そんな虫のいい話しないよ?それに、エステルの命の恩人で僕の命の恩人。その上集落の皆まで助けてもらおうとしてるんだ。僕1人の命じゃ安すぎる。それでも、皆の為におねがいしていいかい?」
『いや、大丈夫です!僕はエステルに気持ちよく過ごしてほしいだけ!別に言う事聞けとか……あ。やっぱり何でも言う事は聞いてほしい!』
「うん、ありがと。それでいいよ?」
「クロムさん……それなら私が奴隷になります!」
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「それなら絶対エルン兄様が1番向いています!今も集落でそのような事をしているのは兄様なので」
『あ、そうなの?』
「そんなことでいいのかい?やるに決まってるよ?でも足りなくないかい?もっとこき使ってくれてもいいんだけどねぇ?あはは♪」
「……私もです」
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